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Yukiさんのセラピストライフ~育成セラピスト

2023/04/06
Yukiさんのセラピストライフ~育成セラピスト

 20年にわたってセラピストとして活動し、現在は東京巣鴨にて「たまよろ庵」を主宰し、一般社団法人内臓マッサージ協会の代表理事として後進の指導・育成をしている、Yukiさんのセラピストライフを紹介します。


 Yukiさんが伝えているのは、彼女のオリジナルメソッドYuki式チネイザン。


 チネイザンとは「気内臓療法」とも呼ばれる、古代道教(タオ)に伝わる伝統療法です。


 内臓と感情が関連していて、その影響が心身の不調の要因になるという考えのもと、腹部へのマッサージによって負の感情をデトックスし、心身の不調を改善するのだそうです。


 Yukiさんは、ヨガ、アーユルベータ、マクロビオティック、カウンセリング、タイ式マッサージ、アロマテラピー、陰陽五行、温泉学などを学んでいて、それらの知見をもとにチネイザンを日本人向けにアレンジし、Yuki式チネイザンとして発表しています。


 彼女がスクールで提供しているプログラムは、大きくわけて3つ。


 1つは、チネイザンセラピストを育成する「YUKI式チネイザン・マスターコース」。


 2つ目は、セルフチネイザンを教えられる資格を取得できる「セルフチネイザン・ムーンスタイリスト養成講座」。


 そして3つ目は、内臓の活性化と神経のバランスを整える「内臓美カッサ」。これも、セルフケア部門と、セラピスト養成講座の2本立てになっています。


「セラピストはお金をいただきながら、ありがとうって言っていただけるとても幸せな仕事ですよね。それに、成長したいという向上心があれば、セラピスト自身がすごく磨かれるんです。プロとして活動してなくても、スクールで学んだことを活かして、自分で自分を癒やしていくうちにメンタルも体調も落ち着いてきて、健康的に痩せられれる人もいます。家族関係がよくなったという声もよく聞きますね」(Yukiさん談)


 Yukiさんは、お客様の不調の根本的な解決には、習慣的なセルフケアが重要で、お客様にセルフチネイザンをお伝えすることもセラピストの大切な役割りだと考えているそうです。


 ですので、チネイザンセラピストを目指す生徒が、セルフチネイザンをお客様にお伝えするスキルを同時に身に付けるケースが多いそうです。


 なお、現在、彼女が主催する「たまよろ庵」は、スクールで認定を受けたセラピストたちが施術を行っており、Yukiさん自身は後進の指導や、執筆活動、協会の活動に軸を移していて、現在は一般のお客様向けには施術を行っていないそうです。


 それでも、お子さんを育てながらの活動ということもあり、忙しいながらも充実した生活を送っているYukiさん。


 そんな彼女がどのようなきっかけでセラピストになり、Yuki式チネイザンを生み出すまでに至ったのか。その歩みを伺いました。


自分を幸せにできるのは世界中でただ一人、自分しかいないんだ

 私がYukiさんに「昔からセラピーに興味があったんですか?」と訊くと、

「学生時代は外交官にみたいな日本と世界を繋ぐ架け橋のような仕事がしたかったんですよ。だから、大学で国際関係や国際政治について勉強していました」と、Yukiさんは笑顔で振り返ってくれました。


 この大学時代に、一年間のスペインへの留学も経験したそうです。


 帰国後に大学院に進んで、発展途上国の開発支援について学ぼう。そう考えていたYukiさんでしたが、なんと大学院の試験のタイミングを逃してしまったそうです。


 そこで、彼女は社会経験を積みながら大学院の学費を稼ごうと、外資系コンサル会社に勤めることに。


 Yukiさんはそこでバリバリ働きながら、休日を利用して海外旅行にも出かけたといいます。


 その後、スペインのカタルーニャ州政府機関で日本企業の誘致にも携わり、さらに日本のPR代理店、中米大使館、大手IT通信企業など、新しい環境の中で刺激を受けながら学びと経験を積んでいきました。


 Yukiさんとセラピーの接点は、外資系コンサル会社に勤めていた頃のこと。


 以前から女性特有の体調不良に悩まされていて、さらにハードな仕事で忙しい毎日に不安を感じるようになったYukiさんは、ヨガのインストラクター養成講座に通い始めたそうです。


 そして、休日を利用してヨガの原点を求めてインドにも訪れます。


「独り旅でインドのリシケシっていうヨガの聖地に行ったんです。そこでは、川辺に人々が集まって儀式をしていたんですけど、私も川辺で佇んでボーッとしたら、自分が自然に溶け込んで一体になるみたいな、凄く気持ちいい感覚があって。求めているのは、ビジネスでの成功じゃないな。私が求めてる幸福感はこういうことなんだって、なんだか悟りを開いちゃったような気持ちになっちゃって」(Yukiさん談)


 ただ、そこで得られたせっかくの幸福感も、日常に帰って忙しくしていると消えてしまうし、心身の不安も解決されないまま。


 そんな状況におかれたYukiさんは、マクロビオテックや断食などにも学びを広げていったそうです。


「20代の私はずっと自分を探す旅みたいなことを続けていましたね」


 当時をそう振り返りながら、Yukiさんはそう苦笑します。


「チネイザン」という名を初めて耳にしたのは、Yukiさんが28歳の時。


 交流のあったヨガの指導者から「世界で最高のデトックスマッサージ」としてチネイザンの名を聞かされたのです。


 Yukiさんはさっそく「チネイザン」について調べ、チェンマイで指導を受けられる場所を探し、訪ねたそうです。


「その出会いで、私は本当に救われました。チネイザンをすると便通もよくなるし、身体も軽くなったんです。なによりも、自分の不調が感情と繋がりがあったということに気づいたんです。マクロビとか断食とか、身体のためにいろいろしているのに、仕事でストレスを溜めて、暴飲暴食をしてしまう。自分がそんなループに陥っていたってことが腑に落ちて」(Yukiさん談)


 こうしてチネイザンに魅了され、師についてチネイザンを学ぶ中で、Yukiさんにある思いが芽生えます。


「チネイザンを日本人の女性達に伝えたい。私と同じ悩みを抱えている人はきっと何百人もいるはずだから」


「結局、自分を幸せにできるのは、世界中でただひとり、自分しかいないんだ」


 その思いによって、Yukiさんは「日本人女性向けで、セルフでできる」というコンセプトのもと、学び身につけたチネイザンを日本人女性のために、より高めたものとすることを思い立ちます。


 オリジナルメソッド化するにあたり、ヨガやマクロビ、陰陽五行論、タイ式マッサージなど、Yukiさんがこれまでに学んできたメソッドが大いに役立ったとのこと。


 彼女が20代を費やした“自分を探す旅”が結実したといえます。


「世界を回ってみて思ったのですが、肌も心も繊細な日本人には、海外の方法をそのまま用いるのでなくて、より繊細なアプローチが必要なんじゃないでしょうか。それに、チネイザンをセラピストがするマッサージとして提供するだけでなく、自分で自己の気づきを促すセルフチネイザンをもっとみんなに知ってもらうことが、日本人女性の自己肯定感を高めることにもなるはずなんです」(Yukiさん談)


 Yukiさんが本格的にセラピスト活動を始めたのが、2011年の1月でした。


 そう、東日本大震災の直前です。


 この震災によって被災地のみならず、日本中の人が負の感情を抱え、メンタルが低下したのは記憶に新しいでしょう。


 Yukiさんはこの状況に「セルフチネイザン」の一刻も早い普及が必要だと考え、活動に力を入れてきました。


 そして、執筆活動にも力を入れ、2013年から書籍やDVDを次々と発表。


 それらがサロン「たまよろ庵」と一般社団法人内臓マッサージ協会の活動と相俟って、彼女のセラピストライフを前へ前へと進めていきます。


「自己肯定感を上げようって言うと、ちょっと抵抗感があるかもしれませんけど、自分を大切にしようって言うと、皆さんハッとします。女性たちが自己肯定感を底上げしていくと、まずは家族が変わって、周りが変わって、エリアが変わっていく。そんな風に少しずつですけど、日本社会が変わっていくのかな、と考えています。だから、まずは自分達を癒やす、セルフヒーリングを伝えていきたいんです。ヒール ユア セルフは、ヒール ザ ワールドなんですよ。だから自分を大切にしようというのが、今の活動の“裏テーマ”なんですよ」(Yukiさん談)


 私がYukiさんに今後の方向性について聞くと、企業の健康経営としての働きかけや、リゾートホテルへの展開など、セラピストの地位を向上させることも含めたアイディアを熱く語ってくれました。


 そのすべてをこの記事でご紹介することはできませんが、彼女のこれまでの歩みを考えれば、いずれは彼女自身の言葉や行動で、新しいアイディアは世に発表されるだろうと思います。


 そして、彼女はその新しいアクションの中で、また新しい景色を見るのでしょう。


 その時には、今回のインタビューを思い出しながら、「あの時に語ってくれた未来像がこんな風に現実になったんですね」と、再びお話を聞ける日がきっとくる。


 思わずそんな想像をしてしまったインタビューでした。


校長からのメッセージ

「日本と世界を繋ぐ仕事がしたかった」──その思いから外交官を目指して海外へ旅立った一人の女性が、今はセラピストとして自分の生きる道を見出している。


 今回、Yukiさんのストーリーを伺う中で、セラピストライフの面白さ、不思議さについて改めて考えさせられました。


 Yukiさんが学生時代に日本と海外の架け橋になることを目指したのは、「私は見たことのない世界、出会ったことのない人たちに刺激を受けて成長できるタイプなんです」と、その理由を話していました。


 別の文化を持つ人たちとの交流は、新しい価値感を知り、視野を広げてくれるので、人間的な成長のきっかけになるのだろうと思います。


 そうした経験をたくさんの人と共有できる立場になることが、「日本と世界を繋ぐ仕事に就く」という夢に繋がっていたのでしょう。


 ならば学生時代のYukiさんと、セラピストである今のYukiさんとでは、まったく別の道を歩いているのでしょうか?いや、きっとそうではないはずです。


 というのも、「世界を知ること」と「自分を知ること」は、まったく別のもののように見えて、実は表裏一体のものだと思うからです。


 日本人が海外に出たことで、知らなかった世界を知っただけでなく、逆に日本に居たときには気が付かなかった自分のアイデンティティに気が付く、という話はよく耳にします。


 世界を知ることが、曖昧だった自分の輪郭をはっきりとさせる。


 一方で、セラピーの多くは五感を通して人の内側へアプローチすることになります。


 特に、セルフチネイザンや瞑想、マインドフルネスなどは自分の内側に意識を向けるという意味では、より内側に向かうもののように思えます。


 例えばモヤモヤとした不安を抱えているとすれば、それがいつ、どんな時に、何に対して感じられるのかなど、深く向き合うことになるはず。


 それが、モヤモヤに輪郭を与えるような試みだとするならば。


 自分が何に対して不安を持っているのか?その解像度を高めていくと、対処法も分かるし、無駄な不安もなくなって、外の世界の見え方も変わるのではないかと思うのです。


 つまり、自分を知ることが、いつの間にか世界の見方も変えることに繋がっているのではないでしょうか。


「世界を知ること」が「自分を知ること」になり、「自分を知ること」が「世界を知ること」になる。


 そう考えれば、日本人と世界を繋げようとしていた学生時代のYukiさんも、セルフチネイザンで自分との対話を提案する今のYukiさんも、同じ地平に立っているように思えるのです。


 そして、セラピストがお客様に提供できるのが、単なる不調の一時凌ぎではなく、お客様が自分で自分を癒やせるようになるまでの伴走役なのだと捉え直すことができるのなら、それこそが今後のセラピストに求められる新しい価値になるのかもしれません。


たまよろ庵HP:https://tamayoro.com/

一般社団法人内臓マッサージ協会:https://chineitsang.or.jp/

Yukiのインスタ:https://www.instagram.com/yukichandra/