東京都世田谷にて、8年にわたって「オーダーメイドリラクゼーションサロンmah (マー)」を営んでいる西村麻里さんのセラピストライフを紹介します。
【個人サロンセラピスト編】はこちら
西村さんは個人サロンを経営する一方で、セラピースクール「オーダーメイドエステリラクゼーションスクールmah 」を、これまで6年にわたって行っています。
彼女のこだわりは、「マンツーマンの完全個別指導」であること。
さらに、すでに何かしらの手技を身に付けている方を対象にした、「ブラッシュアップ」のための講座であることにあります。
経験者を対象に、できるだけ短時間で現場で使えるレベルにまで高めることに特化しています。
なぜ、「マンツーマンの完全個別指導」での「ブラッシュアップ」にこだわるのでしょうか。
彼女にそのことを聞くと、「生徒さん1人ひとりの手の感覚だったり、手の形に合う施術にアレンジを加えることも大切だと思うので」と笑顔で答えてくれました。
聞けば、大手サロン勤務時代の西村さんは、自分の手のことでコンプレックスを持っていたと言います。
彼女いわく「小さくて薄い。関節は鋭くて、指先は細い」という彼女の手。
広くて厚みのある、いかにも気持ちよさそうな手と比べて、同じ技術をしてもお客様に与える感覚が違ってくることに悩んでいたそうです。
本来の能力を発揮できていないセラピストのために
長い研鑽の結果、彼女が身に付けたのは、圧を点で加えたり、リズミカルな手の動きを加えたスタイルでした。
それは彼女の手の特徴に合わせたスタイルで、今ではお客様から「受けたことがない感覚」と感銘されることもあるのだそう。
こうして、自分の手の特徴を活かした施術に磨きを掛けてきた西村さん。
やがて彼女は、自分の同じように体に合った施術ができないことで、本来の能力を発揮できていないセラピストが他にもいるのではないかと考えるようになります。
そこで、生徒1人ひとりに合わせたブラッシュアップメソッドを構築し、育成セラピストとしての道を歩むようになりました。
「生徒さんの特徴を掴むために、手を直に見て、触れて、私に当ててもらい、その上で考えていきます。写真も撮るんですよ。お客様が気持ち良さや、驚きを感じるような体感に仕上げていくようにしています。これはマンツーマンの個別指導だからできることだと思います」(西村さん談)
「体系的に技術を学ぶことはとても大切なことなので、初心者が長期的にしっかりとしたカリキュラムを組んだスクールに通うことは重要なこと」と彼女は言います。
ですが、同じカリキュラムを受けた全員が、同じように技術を身に付けられるかと言えば、そうとは限らないことを、彼女は身をもって知っています。
生徒全員の身体の特徴は、それぞれだからです。
「基本を身に付けた後のプラスアルファという感じですね」と西村さんが言うように、彼女は自身の立ち位置をしっかりと定めて、スクール運営に取り組んでいます。
まずは生徒の話をよく聞くことから
とても興味深いことに、こうしたスタイルのスクールにしたことで、セラピストだけでなく、美容師、ネイリスト、エステティシャンなど「触れる仕事」をしている方が、西村さんのスクールに集まることになりました。
自分の仕事にプラスアルファの価値を加えるために、学びやすいスタイルが歓迎されているようです。
できるだけ短期間で現場で活かせるレベルにするために、彼女が大切にしていることは、生徒の話をよく聞くことなのだそうです。
たとえば、「できるだけたくさんの手技を学びたい」というリクエストだったとしても、実際に使う状況をよく聞いてみると、実は1つか2つの手技を突き詰めていくほうが現実的である、ということもあるそうです。
生徒が求めていることを聞きつつ、今の段階で必要なことは何かを正確に把握することが、育成の難しさです。
1人ひとりの希望と体とペースに合わせながら、ブラッシュアップさせていくという育成スタイルは、常に試行錯誤が必要になるでしょう。
それでも「教えることは楽しくて好き」と西村さんは笑顔で語ってくれました。
これからもサロンの現場に立ち続けながら、スクールでは生徒1人ひとりの成長を促していくのでしょう。
校長からのメッセージ
西村さんのスクールは基本的には単発の講座を行っており、生徒が持っている技術をブラッシュアップする「技術オーダーメイドコース」は1時間で20,000円〜と、学び方にも柔軟性を持たせています。
なお、一番長いコースでも3日(1日5時間)の深層筋フェイシャルコース(150,000円〜)であり、これも生徒の手の特徴に合わせて教えるスタイルです。
短期集中であることは、仕事をしながらでも学びやすいスタイルですし、完全個別指導であることを魅力に感じる生徒も多いのだろうと思います。
また、セラピスト以外の生徒も多いとのことですから、セラピースキルをそれぞれの現場で活かすためのアレンジ力も求められているのでしょう。
さて、【個人サロンセラピスト編】でお話ししたように、西村さんは大学でマーケティングを学び、大手サロンで技術と店舗経営の経験を積み、しっかりと下調べした上でサロンをオープンしています。
彼女のように学生時代からセラピストを目指して着実に個人サロンに向けて歩を進めてきたケースはあまり多くはありません。
こうして計画性を持って順調にセラピストライフを歩んできたように思える西村さんですが、壁を一つ一つ乗り越えてきた経験があることも前述しました。
彼女が乗り越えてきた壁とは、実は自立したセラピストとなるために、必ずと言ってよいほど誰もが乗り越えていかなければならない壁の1つです。それはつまり、技術を“自分のもの”とすること。
誰かに教わった通りではなく、自分に与えられた条件や信条に合わせて、学んだ技術を自分専用にアレンジする過程です。
ときには、まったく新しいメソッドを作るセラピストもいます。
だからこそ、セラピストのスタイルが多様性でありながら、それぞれのセラピストが一貫性を持った軸を持っているのです。
この“技術を自分のものする過程”は、体系的に技術を学んだ後の段階に来るので、通常はセラピストが各々で悩みながら、試行錯誤することになります。
悩んだあげく、挫折してしまうセラピストも少なくないだろうと思います。
そういう意味では、西村さんのような自力で試練を乗り越えた先輩が、自分だけのスタイルを一緒に考えてくれるスク−ルがあることは、とても心強いことでしょう。
「なかなか上手くできずに自信をなくしている人に、“気持ち良くない手はひとつもない”と伝えたい。生徒さんの手を最大限に輝かせられるように、1人ひとりの個性に合わせて考えていきたい」と語る西村さん。
1人でも多くのセラピストが自信を持てば、施術を受けるお客さんの満足度も上がり、その積み重ねがセラピー業界の向上につながっていくはず。
彼女のように、悩みを乗り越えるためのアシストができるセラピストが、今後、もっと増えていって欲しいと思いました。
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