セラピストにはライフサイクルと変化のポイントがある
セラピストには、「ライフサイクル」というべきものがあります。
このサイクルには、3つのステージと、各ステージの間にターニングポイントが存在します。
こうしたセラピストライフサイクルを考えることで、今後2〜3年の中長期を見据えて、これからすべきことを自らが見定めていくことができます。
このような発想は、将来に役立つだけでなく、日々の活動にも生かされていきます。
目の前のクライエントに対して、望むものを適切に、ときには望んだ以上のものを提案できる力を養うことにつながるのです。
それこそがプロフェッショナルなセラピストであり、今後求められるセラピスト像です。
セラピストライフサイクル
個人セラピストが活動を続けていく過程には、大きく3つのステージがあります。
それは、ランエリア、ブレイクエリア、フライエリアです。
そして、各ステージへの移行には、それぞれ変化のポイントがあります。
これらのステージやポイントにどう向き合うべきか? どの方向に向かうべきなのかが課題になります。
■ セラピストライフサイクルの波図
ランエリア(期間の目安:1年から3年)
ランエリアは、セラピストとしての活動を始める、最初のステージです。
各々にセラピストになろうと志すきっかけとなる最初のスターティングポイントがあり、セラピストとなるべく、何らかのセラピー技術の習得(資格取得など)を経て、肩書としてセラピストを名乗って活動を始める時期です。
ターニングポイント(期間の目安:3ヶ月から1年)
ランエリアから次のブレイクエリアに移行するきっかけとなるのが、ターニングポイントの期間です。
この時期は、一瞬ではなく、数ヶ月から1年ほどの期間をかけてブレイクエリアに進んでいくケースが多いのも特徴です。
ブレイクエリア(1年から3年)
ランエリアからターニングポイントとなる出来事を経て、多くのセラピストたちはブレイクエリアに移行します。
このステージでは、新規のクライエントからリピーターになる方も増え、あわせて今までのクライエントへの対応も含め、とても忙しい日々を過ごすことになります。
ティッピングポイント
ティッピングポイントというのは「小さな出来事が重なり、臨界点となること」です。
ブレイクエリアは、このティッピングポイントがおとずれやすいステージです。
こうした状況に置かれることで、セラピストは今までの状態を続けていても望むキャリアは描けないことに気づきます。
フライエリア
臨界点(ティッピングポイント)を乗り越えた後のステージを、フライエリアといいます。
ここでは、既存のクライアントと深い関係性を保ち、セラピストとしての軸を持って自分らしいスタイルを構築していきます。
本当に必要とされることをぶらさないスタイルやメソッド、あるいはメニューの構築に注力するセラピストが増えるのも、フライエリアの特徴です。
新たなスターティングポイント
フライエリアを経て、そこからまた新たなステージに向かうケースがあります。
これは新たなスターティングポイントです。
セラピストライフサイクルをベースにセラピスト本人が選択していく時代に
人生100年時代と言われて久しい中で、一人ひとりが自らのキャリアプランを構築していくことは、いまや社会に生きるためには必須なのではないでしょうか。
個人セラピストもキャリアプランを視野に入れつつ、自らの活動を選択し、決断してくことが、今後ますます求められていくと私は考えています。
その際に、セラピストライフサイクルを意識することは、自分自身が今どのステージにいるのかを知り、それぞれのステージにおける自らの姿を俯瞰する手助けになります。
俯瞰した視点を持つことで、今後の社会の変化や、起こりうるさまざまな出来事に対しても、しなやかに対応できるようになるはずです。
これからのセラピストには
自分らしさを見失わず、クライエントから求められるセラピストであり続けるために大切なこと。
それは、大きな変化の前に起こる出来事──ターニングポイント、ティッピングポイント、スターティングポイントを見極め、乗り越え、取り入れることです。
そして、自分らしいセラピストライフを生み出し、自ら選択した道を歩み、長く将来に渡ってセラピストであることこそが重要です。
すでに述べたように、今の日本のセラピスト業界は、第二揺籃期に向けての移行期であると、私は考えます。
この移行期では、今後待ち受ける第二揺籃期に向けてセラピスト一人一人が、どの方向に向かうかを自分自身で決めていかなくてはなりません。
この事から、セラピストライフは、2〜3年後といった長いスパンで考えるべきなのです。
セラピストの皆さんには、目先のことだけにとらわれず、自分がセラピストとしてどのような人生を歩んでいくのかを中長期的に認識した上で歩みを進めて欲しいと思います。
※セラピストライフサイクルについての具体的事例や詳細は、今後、会報誌にて随時レポートしていく予定です。