山口県宇部市にて個人サロンやスクールを運営しながら、周南市や福岡市に定期的に出向いての出張施術を行っている、上利麻美さんのセラピストライフを紹介します。
上利さんは、山口県宇部市で個人サロンを14年にわたって経営しています。
現在提供しているセラピーは、ボディーやフェイシャル、リフレクソロジー、吸玉、頭蓋調整、岩盤浴など多彩。
これらのセラピーを、お客様に合わせたオーダーメイドで提供しているそうです。リピーターは90%、時間数では月の半分ほどサロンワークをしています。
上利さんは、セラピーを通してお客様のお体との会話を楽しんでいるそうですが、トリートメントの前後に行われるカウンセリングも、お客様にとっての振り返りや気づきの時間として、とても大切にしています。
すると、お客様からは「体のことをすぐにばれるから隠し事できないね」というご感想をいただけるそう。
トリートメントだけでなく、談笑する時間もセラピーの一部。そんな雰囲気のサロンです。
サロンを開業するために
上利さんは、学生時代にベンチャービジネス学を学んでいたそうですが、加えてご自身の健康状態から自然療法に興味を抱いたことで、将来的に自分でサロン経営をしたいと思ったそうです。
そして、経験を積むために3年という期間を区切って、卒業後に大手サロンに就職。セラピストライフをスタートしました。
そして大手サロンを退職後、そこで得た自己資金(運転資金約3ヶ月分)をもとに、サロンを開業します。
サロンが今のようなスタイルになっていく転機となったのは、開業して数年経った頃にした結婚、そして妊娠・出産だったそうです。
9ヵ月間休業したことで、サロンを1から再構築すべく現在の場所に移転することになります。
お客さまとの関係性がそのまま
サロンを開業して14年が経ちます。その中でわかったことは何でしょう?と聞くと、
「お客様との関係性がサロンの形となっていくこと」と言います。
当初はお客様の要望に合わせすぎていたそうです。
すると、お客様のわがままにお付き合いするような形になってしまい、窮屈な関係になってしまったのです。それではセラピストは力を発揮できず、お客様を満足させるセラピーの提供も難しくなるものです。
こうした経験を踏まえ、上利さんは自分自身の軸を見直し、自分のサロンのあるべき姿をはっきりとさせていったそうです。
その試行錯誤の中で、今のようなサロンの形ができていったそうです。
実際に個人でサロンを開業して、開業前の想像と違っていたことについて聞いたところ、集客について話してくれました。
まず、大手サロンと違うのは、まず何よりもセラピスト自身を知ってもらうことが大切なのだそうです。
当初は彼女は紙のフリーペーパー等を活用してサロンを紹介していました。
彼女がサロンを開業した14年前は、スマホもなく、ホームページもSNSも今ほど活用されていない時代。
広告といえば紙のフリーペーパーや雑誌がメインでしたから、それは自然な選択だっただろうと思います。
しかし、あまり反応がなかったそうです。
それでもスタートアップがうまくいったのは、大手サロン時代に知り合った人のご縁などがあったからでした。
また、新規のお客様の獲得のために、イベントへ出店したり、地元商工会の企画に参加したりと、実際に顔を合わせて自分を必要としてくれる方とつながれる場を作っていったとのこと。
そうして出会った方々が、何年もの間リピートしてくださるお客様になっていったそうです。
その先のつながりを持てるように
これから個人サロンを始めたいセラピストへのアドバイスを求めました。
すると、「技術を学ぶにしても、その先のつながりを持てる用意をしておくこと」を勧めてくれました。
それはつまり、やみくもに技術を身に付けるだけでなく、「その先にどういった活動をしていくのか」という出口を見据えることも大切にすべきということなのだと思います。
また、個人サロンを続けていくためには、自分自身とお客様を飽きさせないことが大切だと、上利さんは言います。
自分自身の軸を持ちながらも、お客様が求めるものにアンテナを常に張っておき、変化できるように準備すること。
そして、変化すること自体を楽しめる気の持ちようが、個人サロンを継続する要諦なのでしょう。
これからはスクールの卒業生が活動できる場としても自分のサロンを活用することや、コーチングやセッションなどのメニューを加えることなど、今後の展望もあるそうです。
校長からのメッセージ
上利さんは学生の頃からセラピストとして働くことを考えていたという、比較的珍しいケースです。
地道に準備を整えていくことや、常に新しいものを取り入れていく姿勢などは、今後セラピストライフを始めようとする人には、とても参考になるはずです。
お客様の平均単価は16,000円くらいで、月に半分程度の営業時間に30名ほどの来店があるそうです。
家賃も決して高くない場所を選んでいるので、十分に収益は挙げられています。
コミニケーションを取りながら、お客様の体と心を繋げていく。そのような、個性を活かしたスタイルを構築できているのは、何よりセラピスト本人が楽しめる環境を自ら整えているからでしょう。
もちろん、始めからそのスタイルを明確に構想していたわけではないだろうと思います。
おそらく、今のスタイルやメニューを、開業した14年前には考えていなかったはずです。
それが今できているようになっているのは、お客様の要望と自らの感性を上手に融合していったからだと思います。
彼女自身、「ポリシーとしてこうじゃなきゃいけない」というものは、どんどん少なくなっていると言います。
「ただお客様が困っていることに対して、自分の引き出しから最も良いものを取り出し、それを通してお客様を後押しできればいい」と話してくれました。
サロンとは、セラピストとお客様が居てこそ成立する空間である。
そんな当たり前のことの意味を、改めて考えさせられるインタビューでした。
上利麻美さんのサロンRE therapy