北海道千歳市にて、セラピーサロン、セラピスト養成スクール、一般向けの出張講座など対外活動を運営している、3人のセラピスト古幡さん、大橋さん、長瀬さんのセラピストライフを紹介します。
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リンパケアサロンHealing和を運営する3人は、サロンとは別に、15年に渡って「なごみの会」を運営し、講習会の主催をしています。
内容は、リンパセルフケアや運動法、食事法など、一般の方に向けた健康教室で、内容によっては外部講師を呼んで行うこともあるそう。その中には千歳市の社会福祉教育団体として委託された活動もあるということです。
こうした講習会を、月に2〜3回のペースで、千歳市を中心とした様々な場所で開講しています。
こうした活動をするきっかけを聞いたところ、
「とにかく最初の頃は、リンパケアの素晴らしさを1人でも多くの人に知ってもらいたいという一心でした」(古幡さん談)と話してくれました。
彼女たちが活動を始めた頃は、千歳市周辺の地域ではリンパケアがまったく知られておらず、その素晴らしさを広めていくためには、とにかく一度体験してもらいたいという思いがあったそうです。
この活動を始めた頃は40名の参加者のうち、「リンパ」のことを知っている人はわずかに1人だけだったときもあったそうです。
やがて徐々にテレビなどのメディアがリンパに関する情報を取り上げるようになったこともあり、さらに多くの受講生が集まるようになりました。また、千歳市から委託された非営利活動が教育関係などにも広がりを見せています。
「千歳市の公立小中高校はほぼ訪問させていただいたのではないでしょうか。」(大橋さん談)
講習会で扱う内容も、当初は3人が得意とするリンパケアに関するものだったのが、運動法や食事法など、日々の生活の中で生かされるものへと派生していきます。
15年にわたるこれまでの活動で千人をゆうに超える方に教室に参加してもらったことになるそうです。
講座のどれ1つとして同じものはない
出張講座など対外活動に取り組んでみて分かったことは?をお聞きしたところ、「講座のどれ1つとして同じものはない」と言います。
たとえ同じテーマであっても、受講する方や会場、時間帯などが違えば、まったく別の雰囲気になるそうです。
実はこの3人、この活動を始めるまで人前で話すことなどまったく経験がなかったのですが、ライブ感覚で受講者に説明をするスキルも経験を積み重ねることで上がっていったそうです。
そして、このスキルがサロン運営やスクールの質の向上にもつながっていったと話してくれました。
広く一般の方を対象とする対外活動を始めようと考えているセラピストに対するアドバイスを求めたところ、「難しくしすぎない」「会場やコミュニティーごとの雰囲気を大切にする」「どんなに小規模な集まりであっても一つ一つの準備は決して怠らない」などを挙げてくれました。
それは、本当に基本的ながら、慣れてくるうちに疎かにしてしまいがちな、とても大切なことです。
この基本を守り続けているからこそ、15年も続く講習会を作れているのでしょう。
校長からのメッセージ
「リンパ」という言葉が浸透していない頃から15年にわたって活動を続けてきた3人にとって、出張講座などの対外活動はまさに「開拓の歴史の1つ」。「千歳のリンパケアなら和(なごみ)」というブランド構築は、この地道な活動によって成されたのだと考えられます。
また、一般向けの講座活動をきっかけに、サロンのお客さまやスクールの生徒になった人は数多くいますから、種まきのような一面もあるのかもしれません。
3人それぞれが大事にしていることを聞きました。
「出会ったお客様に入り込みすぎず、離れすぎない。セラピストとお客様の関係を大切にしていきたい。」(長瀬さん)
「その時その時に求められるものを、必要な人に提供し続けられるよう日々学んでいきたい。」(大橋さん)
「これらの活動全般を通して、お客様に寄り添う気持ちを持って自身も成長し高めていきたい。」(古幡さん)
一般の方向けの講座の受講料は、多くても3,000〜5,000円と高額ではありません。
そのため、準備などの時間と手間を考えれば、セラピストにとっては「割の合わない」働き方と見られがちです。
ですが、3人のお話を聞いていますと、金銭的な利益以外の、他では得がたいものを対外活動から得ているように思えました。
もちろん、広報活動や情報収集、スクールの生徒募集という面もあるでしょうが、それはあくまで副産物で、重要なのは「人と出会うこと」なのだろうと思います。
セラピストの多くは、「人を癒やすことが生き甲斐」という希有で素敵な人たちです。
そして多くの人に学びの場を提供し、直に対面して伝えたときのリアクションからエネルギーを得るのも、育成セラピストの在り方の1つではないでしょうか。
お客様や参加者を大切にするのも、誰かに必要とされるための学びも、自分を高めたいという気持ちも、セラピストライフを歩くためのエネルギーに変えてしまっているかのような印象を、3人から受けました。