大阪や和歌山など関西地域にて、リトリートセラピストとして活動している、Earth and Hands Retreatの平井博美さんのセラピストライフを紹介します。
【リトリートセラピスト】編はこちら
平井さんはこれまで16年にわたってセラピースクールを行ってきました。
現在は、「まほうの手 美しいストローク(Body/facial)」と、「地球浴リトリートセラピスト・プロコース」を行っている他、オンラインでの学びや、「地球浴リトリート」の体験会も行っています。
相手が持っている知識と経験を引き出していく
元々貿易関係の営業職に就いていた平井さんは、「人の体に触れる仕事がしたい」とアロマテラピーを学び、縁あって2005年から大阪の「ザ・リッツ・カールトン ホテル」にて、ホテルサロンのインストラクターとして活動することになります。
当時、ホテルで行われていたのがボディへのトリートメントを中心としたサービスだったことから、平井さんはフェイシャルのメニュー開発に携わることができたそうです。
「フェイシャルのメニューについて、人から教わったそのままじゃなく、自分でいろいろな場所で学んで得たものを組み合わせて作りあげていきました。そういった意味ですごく良い経験をしたと思います」(平井さん談)
その頃の経験について平井さんに聞くと、苦労した思い出を教えてくれました。
インストラクターを任されたとはいえ、当時はまだ現場経験の乏しかった平井さん。
それにも関わらず彼女のもとには、キャリアの長いエステティシャンが新人として入ってくることも多かったそうです。
内心では「私が教えていいんですか?」と戸惑いながらも、仕事として任されているのだから、と気を張って教えていたとのこと。
しかし、それが息苦しく感じられていて、少しずつ自分なりのスタイルを模索していったそうです。
やがて、自分のやり方を押しつける教え方ではなく、相手が持っている知識と経験を引き出すような形になっていきます。
「“私はリッツでやっている方法を教えるから、あなたは今まで経験した方法を教えて”というスタンスに変えたら、なんだか気持ちが楽になりました」(平井さん談)
私って、触れ方を大切にしているんだ
その後、平井さんは2012年に自宅サロンを開業し、2016年には北堀江に店舗を持ちます。
開業当初はホテルスパを応用した高級路線で、しばらくすると「リッツのトリートメントを教えてほしい」というリクエストがあり、個人スクールもスタートさせます。
個人でスクールを始めてからも、ホテルスパのインストラクターとして身に付けた指導スタイルを活かしていたようで、「生徒から教えてもらえることも多かった」と平井さんは笑顔で話してくれました。
特に、自分の施術の特徴が「触れ方」にあることを、強く意識するようになったことは、生徒と交流する中で得た貴重な気づきだったそうです。
「生徒さんの中にはすでに技術を持っている人もいて、私と他の先生との違いを教えてくれるんですね。その中で、“私って、触れ方を大切にしているんだ”って気づかされました」(平井さん談)
こうした気づきによって、「まほうの手」を教えるカリキュラムができあがっていくのです。
そして、2018年に、自分のこれからのセラピストライフを模索するために「未来予想図」を描く中で、日常から離れて自分を取り戻す時間を持つという「リトリート」と、トリートメントの組み合わせによるセラピーを着想します。(【リトリートセラピスト】編参照)
和歌山県和歌浦にあるホテル「ネイチャーリゾート“エピカリス”」とのご縁もあり、リトリートセラピーを形にするために、屋外で着衣のままできる方法としてヘッドスパの施術方法も平井さんは試行錯誤します。
瞑想やマインドフルネス、コーチングなど、改めて学ぶことも多かったそうです。
そして2020年から、オンライン授業と、リゾートホテルでのリトリートセラピーの実践を組み合わせた「地球浴リトリートセラピスト プロコース」が始まります。
「素晴らしい生徒さんたちが集まってくれたこともあるんですが、このカリキュラムを始めたら、めちゃくちゃ楽しくて! 本当に幸せです。自然の中で過ごすことを実体験してもらいながら、一緒に活動していける仲間を増やしていきたいと思っています。」(平井さん談)
校長からのメッセージ
前述の「地球浴リトリートセラピスト プロコース」は、約4ヶ月の受講期間に10回のオンライン授業と、リゾートホテルでの合宿が2回あり、受講料は220,000円。
最近は、動画配信やホームページなどを通して平井さんの存在を知り、SNS(InstagramやFacebook)などで最新の情報を把握して、平井さんにアクセスしてくるのだそう。
オンラインでの授業を体験できるため、生徒の多くがしっかりと事前の情報収集をしてから本格的な学びに入るとのこと。
生徒はセラピストとしてのスキルをすでに持っている人が多いようですが、中には美容師や介護職などのセラピスト以外の職業能力者がヘッドスパを学びに訪れる方もいるとのことです。こうしたセラピーの取り入れ方は、今後増えていくだろうと思います。
さて、【リトリートセラピスト】編も含めて、今回のインタビューでは、「窮屈さへの違和感」が平井さんのセラピストライフに影響を与えてきたことが感じられました。
「窮屈さ」に慣れるのではなく、行動を変えることで違和感を解消することが、彼女のセラピストライフの足跡になっていったのだろうと思います。
そして何よりも、リトリート自体が窮屈な日常からの解放そのものとなります。
その価値を見出し、そこに立ち位置を見つけるとともに、仲間のセラピストにもオープンにしていることが、平井さんセラピストとしてのスタンスを表現しているように思えます。
現在のコロナ禍では、ステイホームが呼びかけられて、人と直接会う機会も減っています。
行動としても、精神的にも抑圧された生活が続いたことで、世界中が「窮屈さ」を感じているのかもしれません。
今後はその窮屈さからの解放を求めて、多くの人が動き出すでしょう。その時に、リトリートをガイドできるセラピストがいることがニーズを掴み、セラピストの活動スタイルの1つとして日本に定着するきっかけになるのかもしれない。
そんな「未来予想図」がふと頭に浮かんだインタビューでした。
Earth and Hands リトリート
https://holistic-facial.com/