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佐藤マイアさんのセラピストライフ~育成セラピスト

2022/04/29
佐藤マイアさんのセラピストライフ~育成セラピスト

 東京都世田谷区でセラピストを育成し始めて12年目になる、日本五感療法協会代表の佐藤マイアさんのセラピストライフを紹介します。

 

 佐藤さんが現在力を入れているのが、「アロマ音叉セラピスト」の育成です。

 

「アロマ音叉セラピー」とは、音と香りとタッチングで心と体を整え、五感を満たすという、佐藤さんのオリジナルメソッド。

 

 海外では音楽療法が古くから研究されており、医療として扱う国もあるそうです。

 

 佐藤さんはアメリカの医師から学んだものを元に、世界各国で行われている音楽療法のエッセンスを取り込みつつ、長く行ってきたアロマテラピーに脳科学や心理学を融合させて、日本人向けにアレンジ。オリジナルメソッドに体系化されていったということです。

 

 音叉といえば、楽器のチューニングで使われるU字の金属が広く知られてますが、セラピーで使用する音叉は「メディカル音叉」と呼ばれ、海外では医療などにも用いられる、セラピー用に調整されているもの。

 

 通常のU字のものと、U字の先端に重しの付いたものの2種類を使い分け、筋肉やリンパ、ツボ経絡上に直接振動を与えていくだけでなく、身体の周囲に音を響かせるなど、多方面から心と体のエネルギーを整えていくのだそうです。

 

 佐藤さんのもとで学ぶ生徒さんには、セラピストはもちろん、10年以上の経験を持つエステティシャンもいれば、鍼灸師や管理栄養士、医療従事者の方々、それ以外にも事務以外経験したことがないようなOLさんや、専業主婦の方など、さまざまな職種の方がいらっしゃるそうです。

 

 最近の生徒さんの傾向についてお尋ねすると、手に職を付けるという理由とは別に、「生き方そのものを探している方も増えている」と話してくれました。


 

 こうした理由もあって、現在、佐藤さんのスクールでは、1年間で200時間ほどのカリキュラムの中に、音叉とアロマを用いて行う施術技術を習得する講座以外に、「自分を掘り下げる」ための自己考察の時間もしっかりと設けられているとのことでした。

 

「自分が何者なのか?どう生きたらいいのか?と、“生き方そのもの”を探究される方達がセラピーの学びに辿り着かれるのは自然なこと。“自分の喜びとは何か”を考えたときに、“誰かに喜んでもらいたい”という純粋な気持ちからセラピストとしての在り方に目覚める方も多いように思います。自分と向き合い、自分を深く掘り下げ、結果、自己理解が進むことで、そのままそれが人間的にも、セラピストとしての厚みにもなる。結局は、自分らしさの探究が、セラピストとしての生き方や真の自立に繋がっていくのだと思います」(佐藤さん談)

 

 セラピースクールは、スキルの習得の場のみならず、人間としての成長の場でもあるという信念が、彼女の言葉から強く感じられました。

自分の不調の裏になにがあるのか?

 佐藤さんにセラピストライフを歩み始めた経緯を聞くと、1995年の阪神淡路大震災がきっかけであることを教えてくれました。

 

 震災当時、佐藤さんは最も揺れの激しかった兵庫県に住んでいて、数年後、東京に戻り、そこから被災に因るPTSDを患うことになります。

 

 長く投薬治療をしても思うように快復せず、セラピーやヒーリングなど、独自の解決方法を探したといいます。


 いくつもの自然療法を受けるうちに、佐藤さん自身もセラピーを学びたいと考えるようになっていきます。

 

「自分の不調にはどんな意味があるのか?」「不調にならなければならなかったのは何故か?」という心と身体のメカニズムが明らかになり、学びを深めるほどに、次第に心身の調子が整っていくのを実感したそうです。


 すると、彼女のことを知る周りの人たちから「最近、調子が良さそうだけど、どうしたの?」と訊かれるようになっていき、それに答えている内に、周囲の人も興味を持ちだし、佐藤さんは自然にセラピーを提供するようになります。


 そんな彼女が音楽療法に注目したきっかけは、ボイスヒーラーとコラボで行った、音と香りのワークショップを開催したことでした。

 

 参加者の中には、思わず泣き出してしまう方や、心の防御を解いて自分の内面を吐露し始める方もいて、もしや音と香りによって五感が刺激され、深い潜在意識へ働き掛けられたのではないかと、推測したそうです。


「音と香りは、どちらも潜在意識に働くもの。その2方向からのアプローチには抑え込まれた感情エネルギーを開放する何かがあるんじゃないかと思うようになりました。その頃、音叉を使ったセラピーの話を、立て続けに3人のお客様から聞く機会があり、ますます興味が湧きました。もともと私の母も姉も、音楽をやっていることもあり、馴染み深さもありましたね」(佐藤さん談)



セラピーをする側に立つことの意義

 こうして音楽療法について調べ始めた佐藤さん。

 ある日、アメリカのドクターが音叉を使った音叉療法のワークショップを開催しているという情報が彼女の耳に入り、すぐに渡米を決めます。

 

 そして、そのドクターから学んだものを原型に、国内外の専門家や音楽療法家の叡智を加え、既に身に付けているアロマセラピーとともに、「独自のアロマ音叉セラピー」として体系化していったのです。

 

 佐藤さんに、セラピストを育成する理由を聞くと、「セラピーを提供する側に立つことの意義」について笑顔で語ってくれました。

 

 アロマセラピストとして日々施術を提供する中で、1つの気づきがあったそうです。

 それは、セラピーを受けた方が、いったんは調子が良くなるのに、しばらくするとまた元に戻ってしまう現象が多く見受けられるということ。

 

 その傾向として、心身のトラブルの改善を、セラピストに丸投げしているような、どこか頼り切っている姿があるように感じられたといいます。

 

 つまり、起きている不調の原因を見ようとせず、自分事として捉えていないことに、根本的な問題があるのかもしれないと考えたのです。

 

 そして、そうした問題に対する解決法を、佐藤さんは自身の経験の中から見出していきました。


「私の好きな言葉の一つに、“健康になりたければ、牛乳は毎日飲むより、配る人になれ”というものがあります。それは、牛乳を飲むことが健康につながる云々…ということではなく、つまり、立ち位置を変えることで、それまで受動的だった生き方から、能動的な生き方へ切り替わっていく。それによって、健康度が増していくのだと思います。」


「自分自身が経験したからよく分かりますが、セラピーを受ける側から提供する側に軸足を変えると、相手の体の調子を良くするためによく考え、よく学ぶようになります。すると、セラピーを提供する側も健康になっていくし、人の役に立つことでさらに元気になっていくのでしょう」(佐藤さん談)


 セラピストになる過程こそが、実はセラピーであり、セラピスト的な視点を身に付ければ、ずっと向上し続けていけるし、人の役に立つ喜びも味わい続けられる。


 それは、セラピストを仕事として捉えるだけでなく、生きる上での在り方にも繋がっていくはず。

 それに気がついたからこそ、佐藤さんは育成セラピストを自分の道として定め、10年以上も歩き続けてこれたのです。


「”人生は本当の自分と出会う旅”、と言われているように、自分は何者なのか?ということを一生探求していくことが人生の質を上げるのだと思います。その旅の途中で出会ってくださる方は、皆さん自分の映し鏡なんです。セラピストの場合、目の前のお客様が映し鏡になって、自分が何者なのかのヒントを与えてくださいます。施術を提供して、”ありがとう”と感謝され、喜んでもらえるなんて、セラピストは本当に素晴らしいお仕事です。たぶん、終わることは一生ないと思います。」(佐藤さん談)


 人生を「本当の自分と出会う旅」と喩えてくれた佐藤さん。


 彼女がスクールで生徒に自分を掘り下げるように導くのは、きっと、一人ひとりの人生が素晴らしいものであるという信頼と、それに気づくことで、生徒たちが自らの足で旅を楽しむための準備なのでしょう。

 

 より良い旅を続けるためのツールとしてセラピースキルを手渡しているのではないでしょうか。



校長からのメッセージ

 複数の短期講座を段階的に学ぶスタイルのスクールが多い中、1年を通して隔週で講座を開き、合計200時間ほどにもなるという佐藤さんのスクールは、いまや珍しいスタイルと言えます。

 

 聞けば、以前は全カリキュラムをいくつかに切り分けて、段階的に受講してもらうスタイルをとっていたそうです。

 

 しかし、数年前から1年間を通貫するスタイルに変えたということでした。

 

 その理由は、佐藤さんが自己考察を重要視していることにあります。

 

 生徒さんのセラピストとしての自覚を明確にするために、自己考察する時間を多くとっていることは、本編でも紹介しました。

 

 自己考察にはグループワークを重要視しているそうで、その日のテーマについて自分の言葉で表現しながら、他の生徒の言葉を受け入れ、互いを鏡として自分の本質を掘り下げていくようです。

 

 佐藤さんはファシリテーターとして、グループワークがスムーズに進むように促しているそうです。

 

 そうして作られた自己考察によって「揺るぎない自分」を作り、それを土台にしてセラピースキルを身に付ける。

 

 そうした過程を経るためには、短く切り分けることはできないということなのでしょう。

 

 なお、「揺るぎない自分」を持つことで、セラピーを仕事にする、しないに関わらず、生きやすくなると彼女は言います。

 

 自分はどんな人間なのか? それを考える時間を持てる人は、現在ではあまりいないのかもしれません。

 

 1日のスケジュールに追われているうちに、あっという間に1週間、1ヶ月、1年と過ぎていて、ある日ふと「自分は何がしたかったんだろう」と虚しさを覚えるという話もよく耳にします。

 

 そう考えてみれば、現代社会で隔週で自分と向き合う時間を作るということは、実はとても贅沢な時間の使い方なのかもしれません。


 とは言え、長いカリキュラムには、よく挙げられる課題があります。

 それは「生徒のモチベーションの維持」と「記憶の維持」です。

 

 モチベーションという点では、短期集中スタイルの方が維持しやすく、長期継続スタイルでは中だるみしやすいもの。

 

 さらに、長期継続スタイルでは、最初の方で学んだことの記憶が、終盤になるころには薄れているという問題も起きやすいので、度々記憶を想起させるような工夫が必要になるのではと私は思います。

 

 彼女のスクールでは、カリキュラムの前半を自己考察の時間に当てているそうです。

 

 つまり、記憶力を必要とする座学よりも、自分の本質を知り、意思を確かめるワークを優先しているので、それは忘れようがないもの。

 

 また、生徒さんのモチベーションに関しては、自らが強力なモチベーターであることを、インタビューをする中で感じ取ることができました。

 

 講座内容が面白いとか、言葉で励ますとかだけでなく、すべてを受け入れてくれて、共に過ごすうちになぜか元気になってしまう。

 

 生徒さんから尊敬されつつも、壁を感じさせないことで、コミュニティが自然と形成されていくものです。

 

 おそらく彼女もそうした講師であり、なにより育成セラピストとしてきっと生徒さんと結んだ関係性は卒業後も続いていくのでしょう。

 

 今後も、佐藤さんの「スクールというセラピー」を経験したセラピストが、それぞれのお客様と良い関係を結び、誰もがありのままの自分で生きられるコミュニティを広げていくのではないか。

 

 そんな期待感を感じながら、インタビューを終えました。

 

◆一般社団法人 日本五感療法協会◆

https://5kan.tokyo/

 

◆株式会社 Sun& Moon

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