北海道札幌市にて、21年にわたって有限会社アズールを経営し、色彩心理・色光心理による個人セッションの提供やスクールの運営、さらに企業に対して色に関する様々なサービスを提供している、島田敦子さんのセラピストライフを紹介します。
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島田さんは、百貨店、商工会、企業など、様々な法人に対し、色と光を用いたサービスを提供しています。
その活動の幅は広く、
ここに挙げたのはごく一部ですが、例えば「企業イメージを高めるためのブランディング」1つとっても、ロゴやパッケージの配色、施設や店舗の色遣い、企業イメージの統一など、内容は多岐にわたるようです。
それだけ、経済活動における色の役割は、思うよりも広く、また可能性を秘めているということなのでしょう。
こうした活動をとても一言ではとても表せませんが、考えて見れば「広告代理業+カラーセラピスト」という島田さんの特徴が存分に活かされる活動内容ばかりです。
もはや「企業活動のおける色の何でも相談」という印象です。
島田さんの経歴については【カラーライトセラピスト編】で紹介しましたが、彼女が「カラーワークス札幌」としてサロンとスクールを始めたのは、20年程前のこと。
実は、企業に対するサービスを開始したのも、開業後すぐのことだったそうです。
一番最初の依頼について振り返ってもらうと、島田さんは「あの時は恥ずかしかったなー」と照れ臭そうに語ってくれました。
島田さんが企業から初めて依頼を受けたのは、あるユニフォームメーカーから。色の心理的効果や重要性について、社員に講演して欲しいというものでした。
ただ、衣料品メーカーには、当然、色彩検定を持っていたり、経験も長い人もいます。
そのような方たちに対して、何かプラスアルファのことを言わなければ、講習に価値を感じてもらえない。
そんなプレッシャーがある上に、当時の島田さんは一度も大勢の人の前で話したことがなかったため、一生懸命に原稿を用意して臨んだそうです。
「初めて人前で話した時はすごく緊張しました。原稿を読んでいたら、原稿を追えば追うほど、途中からどこをしゃべっているかが分からなくなってしまって……。それで、もう原稿を読むのをやめたんです。その後、夢中で話をして、結果的に上手く行きましたが、本当にお金をいただいていいんですかって思ったくらいでした」(島田さん談)
講演では、いまだに緊張するという島田さん。
それでも、講習参加者の反応や表情が変わったときには、手応えを感じるそうです。
例えば、病院での講演で、会場後方にいる医師たちが島田さんの話を聞いて頷いたり、メモを取ってくれていることもあるのだそう。
日本の医療では、色の効果はごく一部にしか取り入れられてはいないものの、現場の医師たちは色の持つ可能性を知っているということなのかもしれません。
また、社員研修で講演した後に、職場内のコミュニケーションが良くなったなどの報告もあるそうで、島田さんはその度にやりがいと喜びを感じるそうです。
はじめは「色のなんでも相談」だった
島田さんの経歴を思い返せば、幼い頃に「人間ウォッチングが好き」だった、ある意味で内向的な性格でした。
そんな彼女が、人前で、しかも大勢の前で話すわけですから、きっと大きな緊張があるはず。それでも、企業からの依頼に応えようとしたのはなぜか。
その事を島田さんに聞くと、「単純に、声を掛けてもらったことがとても嬉しかったんです」と笑顔で答えてくれました。
初めての依頼以降、「私でできることが何でもします」という気持ちで依頼に応え続けていく内に、サービスは増えていったそうで、こうして今にいたります。
やはり「企業活動における色の何でも相談」だったわけです。
島田さんに、企業向けの活動をするためのポイントを聞くと、「お問い合わせがあった時には断らないことかな」と言います。
講習料などの条件は企業によってバラバラで、規模や業界によっても違うそうです。
だから、特に開業当初のセラピストであれば、「依頼があれば喜んで行く」というスタンスで臨んだ方がよいのではないかと、島田さんは言います。
もちろん、講習料に関係なく真摯に対応することが大切で、依頼を受けるに当たっては調査や摺り合わせを怠らないことも重要なポイントなのだそう。
「それぞれの企業さん、法人さんの特徴や望みを知ることは大切です。その業界のことを調べて現状を少しでも知って、どういうことを求められているのかを聞き出しておきたいですね。やっぱり、ためになった、聞いて良かったと思ってもらわないと意味がないので、そこはちゃんと調査しますね」(島田さん談)
依頼者の声に耳を傾け、何を望んでいるのかを推し量る。それはカウンセリングであり、島田さんが広告代理業において心掛けてきたことにも重なります。
また、島田さんがスクールにおいて、色彩や色光に関する知識やスキルを「ツールの1つ」と表現していたことも、企業に対する活動でも当てはまるように思えます。
つまり、島田さん自身が色をツールとして企業活動に貢献する、その見本を実践しているわけです。
カラーセラピーは、心理テストのようなもの。そんなイメージを持っている人は、きっとたくさんいるはず。
ですが、これほどまでに、色が人間の社会生活や経済活動と密接な関係を持っていることを知れば、自分の身の回りに溢れる色について考え直す機会になるでしょうし、まだまだこれからも活用の幅も広がっていくのではないでしょうか。
校長からのメッセージ
「色って言語なんですよね」と言う島田さん。
ロゴや看板、施設など、設計された色遣いは、見る者に制作者の意図を一瞬で使えるものという意味で、言語に通じるのだそうです。
考えてみれば、飲食店は食欲の湧く色の看板を掲げていますし、クリニックは清潔感のある外観をしています。
店名を読まずとも遠目から「あれはラーメン屋かな?」と推測したりとか、逆に「ずっと美容室かと思ってたら、実はオシャレなパン屋さんだった」なんて錯覚も起こすこともあるわけです。
島田さんによると、見る色によって自律神経にも変化が現れるため、場面が違えばマイナスになる場合もあるそうです。
こうした効果は、無意識に生じるので、使い方を熟知すると共に、色の違いを繊細に感じ取れる能力も必要なのだろうと思います。
さて、最近では、メンタルヘルスを含めた健康経営について、国が企業に求める動きがあります。
社員など労働者の心身の健康に配慮した経営が、経営者には求められているわけです。
ただ、スポーツジム使用の推奨・補助などは一部の企業で見られるものの、メンタルヘルスという面においてはまだまだ検討途上であるように思えます。
島田さんも多くの企業と接する中で、そうした課題に対する意識を持っているそうです。
色という接点から企業に対してサービスを提供することによって、メンタルヘルスへの理解を深めてもらい、活用してもらう方法について模索していると言います。
色というありふれたものが、普段は曖昧模糊として捉えづらいメンタルの働きを知るためのツールになる。
メンタルの働きを身近なものとして感じられるようになれば、自分のメンタルにも、他人のメンタルへも意識を向けるきっかけになるのかもしれません。
目には見えないけれど、メンタルというものの存在を認識すること。それが、メンタルヘルスの第1歩なのでしょう。
「人って、それぞれがすごいスペック持ってるのに、自分では気づけないものですよね」と彼女は笑顔で言います。
人が持てる能力を発揮していけば、人生が充実するはず。
そして、企業は人の集まりなのだから、携わる1人ひとりの能力が発揮されれば、関係性も良くなるし、皆が豊かになる。
さらに、お客様の心も豊かにする。そんな心の籠もった経済活動の姿を、島田さんは思い描いているのかもしれません。
アズール カラーワークス札幌