〜 サロン経営・スクール運営&講師活動・出張&イベントノウハウ・ブランディングからブラッシュアップ、広告やネット戦略、税・法務等周辺知識まで。今あなたに必要な「学び」と「出会い」がここに 〜
  1. セラピストニュース&コラム
  2. 谷口校長コラム
  3. 佐々木久美子さんのセラピストライフ~自宅サロンセラピスト
 

佐々木久美子さんのセラピストライフ~自宅サロンセラピスト

2022/07/04
佐々木久美子さんのセラピストライフ~自宅サロンセラピスト

 宮城県大崎市にて4年にわたって、自宅サロン「Lu・cuore(ル・クオーレ)」を営んでいる、佐々木久美子さんのセラピストライフを紹介します。

 

 佐々木さんのサロンでは、ボディとフェイシャルへのリンパドレナージュ、ヨモギ蒸し、モリンガ蒸しなどのデトックスメニューの他に、ラジオ波を用いた痩身エステメニューなどを提供しています。

 

 モリンガ蒸しとは、ヨモギの代わりにモリンガの葉を使う方法で、ヨモギ蒸しよりも子宮収縮作用が強くないため、使用に関する禁忌が少ないということです。

 

 デトックスメニューでは、リンパケアを中心にしながらも、肩甲骨を動かすなど、筋肉のコリを解す手技も加えているとのこと。

 

 さらに、メニューの最後に、岩盤浴のできるマットにお客様を包むことで発汗を促し、デトックス効果をより引き出す工夫をしているそうです。

 

 佐々木さんのサロンは女性専用で、30〜40代の方が多いとのこと。

 

 サロンは週6日営業で、1日に2、3人のお客様をお迎えしているということですが、お客様の8割ほどがリピーターで、皆さん、帰り際に次回の予約を入れていってもらえるそうです。

 

「体の中の老廃物や余分な水分は、通常なら尿や便で出していくものですが、それがうまくいかずに溜まってしまう方がいます。リンパケアと肩甲骨周りを動かす手技、それに岩盤浴マットを組み合わせることで、“本当に体が軽くなった”と喜んでいただけます。接客に関しては、高級サロンのようにはできないけど、とにかく明るく会話をして、いっぱいコミュニケーションをとります。朗らかで話しやすいって、皆さんに言われるんですよ!」(佐々木さん談)



突然の辞令から始まったセラピストライフ

 佐々木さんにセラピストになったきっかけを聞くと、「きっかけとしては、ちょっとおかしいんですけどね」と笑顔で答えて、これまでのことを語ってくれました。

 

 20代前半の頃、佐々木さんがしていたのは、フルコミッション(完全歩合制)の営業職でした。すなわち、営業成績が振るわなければお給料がもらえない仕事で、売上をあげるためがむしゃらに働いたそうです。

 

 そんなある日、会社から新規でエステ事業部を作るから転属するようにと辞令があり、突然のことに驚きながらも、佐々木さんはエステ事業の立ち上げに携わることになります。

 

 実は、彼女はその仕事の前にアパレル店で働いていて、立ち仕事で疲れた足と体をリフレクソロジーサロンやリラクゼーションサロンで癒やしていたそうです。

 

 そうした経験もあり、佐々木さんは「やれるんだったら、習ってみようかな」と、エステ事業への異動を受け入れたといいます。

 

 ただ、新規事業の立ち上げとあって、エステ事業部での仕事も過酷だったとのこと。

 

 リンパドレナージュを含めてエステの技術を学んだ後は、街でのチラシ配りから、施術、化粧品などの物販、継続契約など、エステティシャンそれぞれがこなさなければならない状態で、苦しいことも少なくなかったと、当時を振り返ってくれました。

 

 2年間ほどエステティシャンとして勤めた後、佐々木さんはその会社を離れ、当時住んでいた東京のマンションの一室で、個人サロンにチャレンジしてみたそうです。

 

 会社の方針に縛られずにやってみたい、という気持ちからのチャレンジでしたが、経営ノウハウを学ばずに始めたために、残念ながら半年もたなかったといいます。

 

 その後、また都内で別のリラクゼーションサロンに勤めるようになったのですが、しばらくして佐々木さんは実家に戻らなければならなくなりました。

 

 ご両親のお世話が必要になったのです。

 

 佐々木さんは一生懸命にご両親のお世話をして、隙間時間でスーパーマーケットでのアルバイトをしながら、生活を支えたそうです。

 

 再び佐々木さんがセラピストライフを歩み始めたのは、ご両親をお見送りしてからのこと。

 

 セラピストとしてのキャリアをイチから積み直したいと思い立ち、佐々木さんは仙台市内のサロンに入社したのです。

 

「最初に身につけたリンパケアとエステの技術は、介護期間でブランクがあったので、初心者の気持ちで勉強できる場所を探しました。入った仙台のサロンでは、研修で他の店舗へ行けましたし、技術テストもすごく厳しかったですね。資格もそこで取得できました。勉強することが多くて大変でしたが、今思えば、本当に行って良かったと思います」(佐々木さん談)



 その後、佐々木さんは大崎市古川の自宅に、サロン「Lu・cuore(ル・クオーレ)」をオープンさせ、今にいたります。

 

「事務作業がそんなに得意ではないので、サロンワークの全てを自分1人でするというのは大変です。でも、逆に言えば、自分で考えて、自分で全て決められるということ。思ったことを自由に形にできるのは、自分には合ってるなって思います」(佐々木さん談)

 

 これまで4年間、自宅サロンを続けてこられたポイントについて、佐々木さんに聞くと、「家族の支えと理解があったからできたことですね。その感謝が土台にあります」と笑顔で答えてくれました。

 

 聞けば、今のご自宅は、サロンを始めるずっと前に旦那さんと一緒に買ったそうなのですが、いつか自宅サロンをすることをぼんやりとイメージしていたと言います。

 

 そして、旦那さんも、佐々木さんの夢を応援してくれて、自宅でサロンを開くことを快諾してくれたそうです。

 

 今後は、同じ地域に店舗を持って、自分とは違う技術を持った人とコラボできるような、新しい営業スタイルを模索していけたら、と語ってくれました。

 

 突然の辞令から始まった佐々木さんのセラピストライフは、苦労も、失敗も、悲しいことも積み重なる中で、人を癒やして感謝されることにやり甲斐を見出してきたからこそ、一度途切れてもなお紡がれてきたのだと思います。

 

 今回のインタビューで「今が一番楽しい」と屈託なく笑う佐々木さん。

 

 彼女のお話を聞いていると、帰り際に「じゃあ、また来るね!」と楽しそうに次の予約を入れる、お客様たちの姿が目に浮かぶようでした。



校長からのメッセージ

 地方という立地条件の場合、近隣に競合のサロンが少ない代わりに、自分のサロンの存在を適切に知らせる発信力が大切になります。

 

「適切に知らせる」というのも意外に重要なことで、「何でも屋」ではかえって正体が分からなくなりがちです。

 

 自分がどんな施術が得意で、どんな効果が期待できるのか。

 

 そうした情報を、伝えたい人に伝える工夫ができてこそ、「お客様が求めるもの」と「自分が提供できるサービス」とのマッチングがされるのです。

 

 こうした状況は、お客様が検索するシーンで考えるとイメージしやすいかもしれません。

 

 例えば、地方のサロンの場合、「地名」+「目的 or セラピー名」で検索されることが多く、そこからさらにHPやブログ、インスタグラムなどへのアクセスがされます。

 

 最近は、サロンの雰囲気を伝えるデザインや写真などのビジュアルが優先して注目され、書かれている内容は後回しになる傾向にあるように思えます。

 

 佐々木さんの場合、柔らかい雰囲気のサロン内写真や、得意な施術のビフォーアフターの写真を入れたり、ところどころに看板猫のラッシュ君とカプリちゃんを登場させたりすることで、サロンの雰囲気や佐々木さんの人となりが伝わっているのかもしれません。

 

 もちろん、お客様に一度来ていただくだけでは、サロンの経営は安定しませんから、リピーターになっていただくことも大切です。

 

 これも最近の傾向ですが、新規客の多くが初回割引で来店しても、次にまた来店してくれる割合が低いと言われています。

 

 そんな中でも、本編でも紹介したように佐々木さんのサロンは8割のリピーターに支えられていて、新規の枠もネットからの申し込みでほぼ埋まるそうです。

 

 では、佐々木さんがどんな工夫をしているのか?

 

 話を聞いていると、誰にも出来るはずなのに、実は意外に難しいことであるように思えました。

 

 それは、毎日の小さな事の積み重ね。

 

 どんなに疲れていても、お客様と笑顔で明るく話をする。

 お客様のお見送りは外に出て、車が見えなくなるまで。

 LINEなどに来るお問い合わせや感想などには、丁寧に返信をする。

 ブログなどでの発信は欠かさずに続ける。そして、

 セラピストの仕事に協力してくれている家族に感謝すること。

 

 これらはインタビューで聞いた限りなので、実際にはもっとたくさんの「小さな事の積み重ね」があるのだろうと思います。

 

 そうした、「小さな事の積み重ね」を怠らないことが、佐々木さんがサロンを続けるために己に課した覚悟なのかもしれません。

 

 彼女がそうした覚悟を持つに至った背景とは何だろうかと考えると、やはり成績次第では給料が得られない過酷な営業職時代と、セラピストライフから離れざるを得なかった時を経て、夢を応援してくれる家族と、信頼関係を結べるお客様たちによって、今のスタイルが保たれている。

 

 そうした経歴を持つ佐々木さんだからこそ、家族にも、お客様にも、誰に対しても一対一の信頼関係をちゃんと結ぶことの大切さが、身に染みているのではないでしょうか。

 

「お客様と心が通じてるかどうか、というところを常に意識しています。悪い意味で慣れが出てきて、お客様との関係がなあなあになったり、いつも来てくれてるからいいか、みたいな、そういう粗雑な対応をしないようにと。やっぱり家族の支えとお客様ありきのお仕事なので、いつも私の姿勢を見ていてもらっていると意識しています」(佐々木さん談)

 

 信頼を寄せてくれている人たちが、いつも見守ってくれている。その有り難さを知っているからこそ、信頼を裏切れない。

 

 そんな良い意味での緊張感が、周りの人からの信頼感に繋がっていくのでしょう。

 

 常に笑顔で朗らかな話し方をしてくれる佐々木さん。

 

 そんな彼女の奥にある、しなやかで強い1本の軸が見えたようなインタビューでした。

 

Lu・cuore

https://ameblo.jp/healingsalon0407/