2007年横浜で開業、その後、今の千葉県佐倉市で自宅サロン「Aremiti(アレミティ)」を経営し、セルフヒーリングなどのスピリチュアル講座なども開催している、松浦 マサコさんのセラピストライフをご紹介します。
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松浦さんのサロン名「Aremiti(アレミティ)」は、タヒチの言葉で「波」という意味。
心のわだかまりを流し、ゆだね、宇宙の波に乗る。そんな意味を込めたそうです。
現在、松浦さんが提供しているのは、クラニオセイクラルセボディワークと、リーディング、ヒーリングを組み合わせた、オリジナルのセッションセラピーです。
繊細なタッチングで体に触れ、ボディ・マインド・スピリットを調和へと導くのだそうです。
松浦さんの施術の特徴としては、お客様のオーラからエネルギーの滞りを読み取り(リーディング)、これを解放すること(ヒーリング)が、ボディワークと一体になっていることにあります。
お客様は30〜40代の女性が多いとのことですが、お客様が不調として感じるものを肉体的な変調としてだけなく、ボディ・マインド・スピリットのズレとして捉え、それらを一致させられるように、お客様に気づきを促すことを目指しているそうです。
そのため、セラピストの介入をできるだけ少なくしていて、お客様が自らの生命力で回復していくのを見守るようにしているとのこと。
こうした特徴があるため、人生の岐路で自分の望みが分からなくなっていたり、感覚が鈍ってしまっているような違和感を抱えていたりと、スピリチュアルや心理カウンセリングの領域とオーバーラップする悩みを抱くお客様も、彼女のサロンを訪ねてくるようです。
「クラニオも、リーディングも、ヒーリングも、ツールの1つだと思っています。ボディー・マインド・スピリットを統合するツールとして、私が使っていて一番うまくいく方法を採用しています。できるだけ自然な形でその方の生命力に触れさえすれば、花が開くように変わっていく。その方がナチュラルだし、定着しやすいかな、と考えています」(松浦さん談)
今の活動に至るまでの経緯を聞くと、幼少期からスピリチュアルな経験をしていたことを、松浦さんは笑顔で語ってくれました。
将来就きたい仕事。それは「霊能者」。
松浦さんは、新潟の信心深い地域で生まれ育ち、親族にも心霊体験をした人が何人もいたそうです。
彼女自身も子どもの頃は、大人には見えない相手と会話をすることは日常茶飯事。ママゴト遊びもしていたと話してくれました。
また、心霊体験ではなく、脳の障害で植物状態となった従兄弟と唯一コミュニケーションが取れたのも、彼女だったとのこと。
幼少の頃から松浦さんにはリーディングの素地があったことがうかがえます。
そんな彼女が「将来就きたい仕事」として幼少期に思い描いていたのが、なんと「霊能者」。
テレビ番組でその存在を知り、松浦さんは「亡くなった人も、残された遺族も癒やす仕事」として興味を持ったそうです。
ただ、周囲に奇異に見られることを恐れて、そうとは言い出せず、小学校の卒業アルバムには、遠慮して「占い師」と書いたとのことでした。
その後、松浦さんは「何かの形で人を癒やしたい」という気持ちを持ったまま成長しますが、霊能者や占い師になる方法が分からず、周りに合わせて学生生活を過ごします。
そして、高校卒業後に上京し、東京でアパレル関係の仕事に就きます。しばらくして結婚しましたが、結婚生活は長続きせずに離婚。
その頃に松浦さんが出合ったのが、ロミロミでした。
その気持ち良さに感動するとともに、松浦さんは自分の身体と精神がどれほど弱っていたのかを自覚したと言います。
松浦さんは自らもロミロミやホットストーン、リフレクソロジーなども習得したそうです。
さらに、そこでリーディングやヒーリングにも出合い、心から癒やされる経験をした松浦さんは、世界的な透視能力者が主催する学校に通い始めました。
その学校では、それまでの価値感や世界観が崩されるような経験を何度もしながら、なんとか卒業できたとのことでした。
その後、松浦さんは再婚し、妊娠します。しかしその与えられた命は死産という形となってしまいます。
その悲しみを松浦さんはヒーリングで癒やしながらも、身体的なダメージへの対処方を探したそうです。
その中で、クラニオセイクラルセラピーに出合い、心と身体のバランスを取り戻していったといいます。
こうして、辛いことも含めた様々な経験と学びの中で、松浦さんは心と身体の不可分な関係性を知り、その探求を深めていきます。
そして、スピリチュアルとフィジカルを跨いだ領域で活動するセラピストの道を、松浦さんは歩むことになったのです。
松浦さんが自宅サロン「Aremiti(アレミティ)」を開いたのは、2007年のこと。
セラピストとして歩むことで、幼少期の「人を癒やしたい」という夢が叶ったともいえます。
宇宙の波動と人間のリズム(波)を共鳴させることを目的に、タヒチ語の「波」をサロン名にしたこと。
そして自身の学びに合わせてメニューも変化させていき、現在はクラニオセイクラルセラピーを中心に提供しています。
メニューが変わっても、サロン名と施術内容が乖離していないように思えるのは不思議です。
納得感からくる‟静かな小さな声“を受け止めたい
松浦さんがセラピストとして歩み始めてから15年近くが経ちました。その間、スピリチュアルに向ける世間の目線の変化を感じてきたそうです。
「インターネットの影響なのかもしれませんが、端的な答えを求める人が増えていると感じています。検索してすぐに答えが見つかるように、見えない世界からすぐに答えが得られるというような。あるいは、“こうすれば願いが叶う”というような呪術的な理解で止まっている方もいます。そうではなくて、精神的な成長、霊的な成長、人間的な成長を含めて、スピリチュアルだと私は考えています」(松浦さん談)
度々、端的な答えを求めるお客様がサロンを訪ねてくる状況に、松浦さんは「正直、リーディングが嫌で嫌でしょうがなかった時もありますね」と、笑いながら言います。
それでも、松浦さんがサロンを開き続けているのは、彼女の活動に理解を示してくれる人たちがいるから。
例えば、松浦さんのセッションを受けていたことで、社会の空気に惑わされることなく、地に足が着いた判断ができるようになった、というような感想とともに、「松浦さんの話を聞いておいてよかった」と感謝されたことがあったとのこと。
あるいは「自分の感覚に信頼をおくことがわかりました」という感想をもらうこともあるそうです。
松浦さんの活動は、大勢の人に理解されることは難しいかもしれません。ですが、数は少なくても理解と感謝の声を聞くたびに、松浦さんは安堵するとともに、その人を起点に、安心感や平穏な心が波紋のように広がることを願っているとのこと。
「セッションでお伝えしたことを自分に落とし込んで、自分のものにしてくださっている方からいただける声は、納得感からくる静かな小さな声です。多くの声や大きな声よりも、納得した静かな声の方が、魂や宇宙にすごく響くんですよ。だったら、その静かな声を聞くためだけに、私も静かにやり続けるしかないんだろうなって思います」(松浦さん談)
セラピストとして活動する上で大切にしていることを聞くと、「セラピストもお客様も対等であることですね」と、松浦さんは笑顔で答えてくれました。
セラピストとお客様の間の関係性は、心理的にどちらかが上になりやすく、下の立場になった側が無意識に上の意向に従うような構造になりがちです。
特に松浦さんのようなスピリチュアルとオーバーラップするスタイルで活動をしていると、「教えを請う」「救いを求める」ような姿勢のお客様もいるそうで、自ら師弟関係のような関係性を結びたがる人もいるそうです。
しかし、彼女は「そこから脱却してこそ。だと思っているので」と言います。
先生と呼ばれることも避けているとのことで、「好きに呼んでって言うんです。マチャコって呼ぶ人もいるし。それで私はいいと思っています」と屈託のない笑顔で語ってくれました。
「セッションを受けていると、皆さん自分で自分の答えを出して、それを実行していくんですよね。私が言わなくても、“自分がやりたいこと”や“自分がどうありたいか”が心に浮かんでくるんです。外から、ああしなさい、こうしなさいって言われるよりも、自分の内から聞こえる声に従う方が地に足を着けて生きてけるはずです」(松浦さん談)
松浦さんは、セッションも講座も含めて、自分の活動を「宇宙からの期待に応えること」と感じているそうです。
望むと望まざるとにかかわらず、その方向に自分の足が向くし、自分の活動に触れたい人が集まってくる。そんな感覚でしょうか。
そして、ボディー・マインド・スピリットの統合を助けることで、お客様にも「宇宙から期待されている」、その囁き声に耳を傾ける力、誰もが持っているはずのメッセージを受け取る力に気付いて欲しい。
そんな願いが松浦さんの大らかで明るい笑顔に秘められているのではないか。そんな事を考えたインタビューでした。
校長からのメッセージ
松浦さんの自宅サロン「Aremiti」は佐倉市にありますが、千葉市内、都内、横浜市などに出張することもあるそうです。
また、ボディーワーク以外はオンラインでも行っています。
情報発信については、ホームページやブログに加え、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターなどのSNSを利用しているとのこと。
ただ、実際には、ホームページやブログを見てアクセスしてくるお客様がほとんどで、SNSを高頻度で利用するお客様がほとんどいない、ということですから驚きです。
もしかすると、SNSで流れる情報のあまりの多さや、そこに含まれる「人の思い」のようなものに敏感に反応しすぎてしまうような、あるいはそれに拒否感を抱いているような方が多いのかもしれません。
SNSのような瞬間的な情報よりも、ホームページやブログに記載された松浦さんの経歴やスタンスを読み込んだ上で、「ここなら自分の苦しみを分かってくれるんじゃないか」という期待感を抱いて、アクセスしているのだろうと思いました。
さて、今回は、スピリチュアルとオーバーラップする領域で活動するセラピスト、松浦さんを紹介しました。
スピリチュアルというと、「目には見えない世界からメッセージや答えが得られる」という漠然とした世界観を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、松浦さんの場合、クラニオセイクラルワークを通して解剖生理学を学んでいますし、【育成セラピスト編】でも紹介するように、発達心理学や行動心理学、神経生理学に近いアカデミックな学びも修めています。
ここに、松浦さんが幼少期から備えていた、リーディングのような微細な情報を読み取る力が重なって、宇宙の運行をも含めた大きな世界観の中で、自分を位置づけている。
そんな立ち方をしているような印象を受けました。
私がこれからの目標を聞くと、彼女はこんな風に笑顔で応えてくれました。
「私は目標を思い描けない人なので、自分から何かをリクエストするっていうよりは、これからも宇宙の期待に自分がどれだけ応えられるか、ですね。だから、そこに自分が立ち向かっていけるポテンシャルを、体力的にも経済的にも常に持ち続けたいなっていうのはあります」(松浦さん談)
スピリチュアルの名の下に、自分の世界観に引きこもる人もいるだろうと思います。
しかし、心を開いて社会に溶け込むような、地に足の着いたスピリチュアルの在り方だってあってもいいはずです。
松浦さんはそれを自ら実践しているのかもしれません。
聞けば、松浦さんは、地域の商店街の皆さんから気軽に声を掛けられるそうです。
そんな“愛されキャラ”である彼女の笑顔を見ながら、「そういえば、時代劇などでたまに描かれる“村の気さくなお坊さん”って、彼女の様な存在だったのかも」……私はそんなことを思い浮かべていました。