2007年横浜で開業、その後、今の千葉県佐倉市で自宅サロン「Aremiti(アレミティ)」を経営し、セルフヒーリングなどのスピリチュアル講座なども開催している、松浦 マサコさんのセラピストライフをご紹介します。
【セッションセラピスト編】はこちら
現在、松浦さんがスピリチュアル講座で伝えているのは、「グラウンディング講座」「セルフヒーリング講座」「多次元リーディング講座」「エンパワーメントヒーリング講座」など。
ネガティブ思考からの脱却して安心感を取り戻す「グラウンディング講座」を入門編として、社会や他者から受けた影響を取り除く「セルフヒーリング講座」へ、その後、他人を対象としたリーディングやヒーリングへと進めるように、段階的な学習が準備されています。
また、すでにヒーリングを学んだ方を対象にして、それをさらに使いこなせるようになるための、いわゆるブラッシュアップための講座もあるとのことです。
講座はすべて、深い自己開示が必要であるため、マンツーマンを原則としているとのこと。
希望する方には、最初の数回を対面で行いますが、基本はオンラインで行っているとのことでした。
また、特徴的なのは、6ヵ月間の間でお互いの予定に合わせて3〜6回の講座を開き、その期間内であればカリキュラム終了後も、問い合わせやフォローを受け付けているというスタイルです。
「回数を決めて行うだけでは、講座が終わった後に、結局実践しない人もいます。また、実践しても、1人でやっている内に分からない部分が出てくるものです。だったら、6ヶ月と期間決めて、その間ならフォローを無料にして、何かあればご連絡ください、教えますよっていう風にした方がいいなと、思いました」(松浦さん談)
人ってすごく尊いよという事を伝えたい
松浦さんが講座を開くようになったのは、8年ほど前のこと。
サロンのお客様から求められたことがきっかけ。そこで、次の施術までの間にできそうな、セルフヒーリングの基礎を教えるようになりました。
しかし、すぐに結果を求める人がいることに悩み、松浦さんはいったん教えることをやめたそうです。
それでも、真剣に自分の問題と向き合おうとするお客様たちと出会うことで、松浦さんに「いっその事、ちゃんとしたプログラムにしよう」という気持ちが湧き、どうすれば目指す方向性が伝わるのかを探りながら、自らも新しい学びを深めていきました。
「時代背景なのか、スピリチュアルが呪術的なおまじないか、あるいは単なる能力開発みたいに思われていることに、私はすごく疑念を抱いています。そこで、分かりやすく説明するために体系化されたものはないかと探している内に、インテグラル理論に出合い、関連の書籍をかき集めて勉強しました。最近では、トラウマが神経系に宿るというポリヴェーガル理論にも興味がありますね」(松浦さん談)
この記事での解説には限界がありますので詳細は省きますが、インテグラル理論とは文化論や生理学をも含めた発達心理学といいましょうか、人間の精神的な成長によって、自分と世界との関係性への認識がどのような段階を経て変化するかを説明しているようです。
また、ポリヴェーガル理論は、動物の体が形成される過程を説明する発生学的な理論であり、とくに神経の発生と無意識の領域との関係性を説明しているようです。
加えて、松浦さんはクラニオセイクラルセラピーで解剖生理学を学んでいるので、アカデミックな世界観とスピリチュアルな世界観をオーバーラップさせて理解しようと試みていることがわかります。
逆に、アカデミックな世界観とは縁遠い立ち位置でスピリチュアルを捉えている人にとっては、松浦さんの講座に面食らうことになるだろうと思いました。
さらに、松浦さんは学んだものを自分の体に落とし込むための試みもしているようです。
YouTubeのトレーニング動画を参考にしたり、ホメオパシーやフラワーエッセンスで自分にどんな反応が出るのかを試したり。
これはと思うものを自分で試して、常に実感をもって人に伝えられるようにしていることも、お話を聞いている中でうかがえました。
今とは違う世界の見え方があると人に伝えることも、新しいことや難しい分野を勉強することも、とても大きなエネルギーが必要なはずです。
そこまでして、どうして伝えようとしているのか? それを聞くと、松浦さんは少し考えた後、こんな風に説明してくれました。
「伝えなきゃいけないっていう囚われはなくて、ただ純粋に伝えてるっていうだけのような気がします。たぶん、人ってすごく尊いよっていうところを伝えたいんだと思う。自分も他人も等しく尊いんですよ。プラス地球のためかな。地球も自分なんだっていうところが伝われば、地に足が着くんじゃないかと思います」(松浦さん談)
次に、講座を通して教える立場として大切にしていることを聞くと、「私から追わないし、私のことも追わせないことですね」と笑顔で答えてくれました。
「その人の人生を、私が追わないようにしてます。だから、私のことも追わないでって思う。大切なのは、私に繋げ続けることじゃなくて、私の元から解き放って、自分の場所に立たせるっていうことなんです。それでも、本当に困った時には戻ってくるので、そういう時はもちろん“どうしたの”って話を聞きますけどね」(松浦さん談)
何かを追うということは、原動力としてであろうと、囚われとしてであろうと、「他者からの影響を取り除く」という意味でヒーリングの妨げになり、精神的な自立から遠ざかることになる、ということなのでしょう。
松浦さんが生徒さんに望んでいるのは、自分の足で立って、それぞれが社会の中で幸せになることなのでしょう。
もちろん、松浦さん自身も、何ものにも囚われない生き方を目指しているのだろうと思います。
ただ、社会の全てのから解き放たれてしまえば、社会との接点をすべて失って、世捨て人のようになってしまうはずです。
彼女がそうしないのは、やはり、この社会の中でやるべきことがあると心得ているからなのでしょう。
「目指す世界と現実とを行ったり来たりしているみたい」そう言って笑う松浦さん。
彼女はスピリチュアルの世界の水先案内人のようでありながら、同時に屈託なく笑う姿はどこか夏休みの子どもの姿と重なって見えました。
社会に囚われず、自分の気持ちに正直にいること。それはもしかすると子どものような心を取り戻すということなのかもしれない。そんな事を考えさせえられたインタビューでした。
校長からのメッセージ
これまで 松浦さんの講座に参加したのは、ほとんどがサロンでセッションを受けたお客様なのだそうです。
ボディ・マインド・スピリットを調和させるために、松浦さんの力を借りていた段階から精神的に成長し、自分の力で調和できるようになりたいという気持ちが自然に芽生えていったということなのでしょう。
つまり、ホームページやブログをきっかけにサロンにアクセスして、セッションの中でボディ・マインド・スピリットを感じられる力を取り戻していき、次の段階として自分で調和を取り戻す力を付けるために講座がある、という構造になっているようです。
ちなみに、サロンも講座も、生徒さんやお客様からの紹介で新規客が来ることはないそうです。【セッションセラピスト】編でも紹介したように、SNSをほとんどしないお客様ばかりで、友人・知人に進んでサロンや講座を紹介するタイプではないのかもしれません。
さらに推測するに、SNSをほとんどしないのは、SNSで一喜一憂するのが苦手だったり、SNSを楽しめなかったりするのだろうと思いますが、もしかすると、そんな自分の感覚が周りの人と違うように思えて、その違和感の正体を確かめたい気持ちが、松浦さんの元に足を運ばせるのかもしれません。
さて、ボディー・マインド・スピリットの統合であったり、それがズレる感覚について、私自身の思考の整理もかねて、私なりに身近な世界に落とし込んで考えてみます。
私たちの社会では、同調圧力や世間の空気感が自然に醸成され、人々の行動や思考に影響を及ぼすことがあります。
これをブームやムードと呼ぶこともあります。
こうしたブームやムードに流されている状態とは、自分のマインド(意志)を働かせず、スピリット(本当の自分)は置き去りで、ボディ(身体)だけがフラフラと行動している、ということになるのではないでしょうか。
そして、その状況が続くうちに、心や体に徐々にズレが生じ、いつしか不調を来たしてしまう、ということなのかもしれません。
反対に、使命感に燃え、自分の考えで行動している時には、心にも体にもエネルギーが満ち溢れているような感覚を覚えるのではないでしょうか。
それを、「ボディー・マインド・スピリットの統合」と捉えれば、誰にでも身に覚えのある感覚と繋がるように思えます。
このような意味での「スピリチュアル」ならば、多くのセラピストが共有できる感覚であり、またお客様や生徒さんに伝えたい思いとも重なるのではないでしょうか。
今回、インタビューをして感じた事は、松浦さんがご自身の言葉でシンプルに表現してくれているということです。
とはいえ、目には見えない世界を、誰にでも分かるように表現することはとても難しいことだろうと思います。
誰しもが違ったバックボーンを持っているので、1人ひとりの目線に合わせて伝えなければならないはずだからです。
それでも、少しずつでも心を開いてくれる人に対しては、じっくりとゆっくりと、その人のペースに合わせて言葉を選びながら、まっすぐに言葉を届けようとしているように思えました。
それは、きっと、とても根気のいる仕事であるはずです。しかし、松浦さん自身には力みも気負いもないようで、とても自然体です。
彼女は「宇宙の期待に応える」と、自身の活動を表現していました。
例えば、川の水が「頑張って流れる」なんてことはないわけですが、それと同じようなニュアンスで「宇宙の期待に応える」ことの意味を捉えてみる。
すると、その言葉が彼女の自然体をとてもよく表しているように思います。
どこか雲を掴むようなスピリチュアルの世界。今回は、その新しい切り口を見せてもらえたようなインタビューでした。