広島県広島市にて10年にわたって介護施設でアロマテラピーを提供しながら、自宅サロンと自宅スクールを運営している砂川沙央里さんのセラピストライフを紹介します。
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砂川さんは、広島県広島市にて4年にわたって、介護アロマセラピストを育成する自宅スクール「訪問介護アロマ&スクール Micro(ミクロ)」を運営しています。
このスクールでは、アロマセラピーの基本的な学習はもちろんのこと、高齢者特有の解剖生理学や疾患についても学びます。
介護が必要な高齢者は、一般の成人と比べて、骨も筋肉も弱い上、血圧などの身体機能にも注意が必要です。立ったり座ったりするだけでも気を遣わなければなりません。
また砂川さんの経験を基にした実践的なカリキュラムが用意されていることが特徴と言えます。
現在はマンツーマンスタイルで、72時間の授業を半年かけて学びます。
生徒については、当初は、アロマセラピストを想定していたそうですが、実際に学びに来る方は介護士と高齢者のご家族がほとんどなのだそうです。
「お年寄りにできるケアって限られているんですね。それでも、もっと寄り添ったケアをしたい、できれば不調の緩和もしてあげたいって思う介護士が興味を持ってくれるのかな。私と同じ気持ちを持った人が来てくれるのだと思います」(砂川さん談)
学ぶ人の輪が広がっていくことの喜び
スクールについては、実はサロン開業当初からやりたいと思っていたのだそうです。
しかし、先行の介護関連事業者から「もっと実績を積んだ方がいい」とアドバイスを受け、現場での実践経験を積み続けます。
砂川さんがスクールを始めるきっかけは、セラピスト専門誌に載ったこと。その記事を見た方から「教えてもらえないか」という問い合わせがあったのです。
それから砂川さんは2週間でカリキュラムをまとめ、マンツーマンで教え始めました。
生徒に教えることについて聞いてみると、
「私が現場で実践しながら身につけてきたアロマセラピーの活用方法を学び、喜んでくれる人の輪が広がっていくって、すごいことだなって思います」と笑顔で話してくれました。
生徒によって学習の進み具合が違うことも実感していて、難しい場合は授業の回数を増やすなど、マンツーマンならではの臨機応変な指導を心掛けているのだそう。
共に幸せになれること
介護士がアロマテラピーを学ぶ意義について聞くと、「アロマをする介護士も、施術を受ける人も共に幸せになれることです」と答えてくれました。
セラピーを受けた入所者の気持ちが楽になることや、寝付きが良くなることも実際には多くあるそうで、それがまず介護士の負担の軽減につながります。
また、介護士は常にせわしなく動き続ける仕事です。そのなかで、香りと共に深呼吸しながら、ゆったりとしたリズムで施術する時間は、介護士にとっても気持ちを落ち着けるための時間になるそうです。
アロマテラピーを通して、ただ休憩するだけでは得られないような、幸福な時間を共有できるのかもしれません。
校長からのメッセージ
砂川さんのスクールでは、72時間の授業のうち半分を実技に当てているそうです。
月に2回の授業で、半年での修了を基本として、受講料は約30万円です。
砂川さんのスクールは、講師である砂川さん自身が「介護の現場を知っていること」が現役の介護士にとっては大きな魅力になっています。
というのも、アロマテラピーが自然療法といえども、使用に注意が必要な場合も少なからずあり、高齢者はそれに当てはまりやすいのです。
その点で、砂川さんは自身の経験を生徒に伝えることができます。
生徒としては、「どんな場合に、何を気をつけたか」「どんな相談に、どのように対応したか」など、実例を聞けることは何よりも説得力を持つはずです。
介護士や看護師などの職業能力者が自分の職場において、セラピーを実践的に活用したいというニーズは、今後も増えていくと思います。
その場合、生徒が選びたいのは、砂川さんのように「現場を知っている」講師でしょう。
「これからもスクールを通して、アロマを介護に活かす仲間を増やしていきたいし、アロマを介護現場に取り入れてくれる事業所も増やしていきたい。だからこそ学びにこられた現役の介護士が勤め先の施設でアロマケアを導入できるようにサポートもしていきたいですね」と、砂川さんは話してくれました。
そして、「自分の経験値を止めないために、現場に立ち続けたい」とも。
ご自分で現場に立ち続け、さらに仲間が増えれば、事例も実績も蓄積されていくでしょう。介護をする側と受ける側、そのどちらもが笑顔でいられる世界は、その蓄積とともに広がっていくのかもしれませんね。
訪問介護アロマ&スクール Micro