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小松ゆり子さんのセラピストライフ〜育成セラピスト

2021/11/16
小松ゆり子さんのセラピストライフ〜育成セラピスト

 東京南青山にて、個人サロン「corpo e alma(コルポ エ アルマ)」を運営し、オーダーメイドの施術と、セラピストの育成、さらにセラピー関連事業やイベントに協力する「シェルパ」としての活動もしている、小松ゆり子さんのセラピストライフを紹介します。

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 小松さんは、東京南青山の個人サロンにて、セラピストの育成や、スキルアップのための講座を開催しています。


 現在は、丁寧なタッチスキルやオイルトリートメントの上級スキルなどのセラピースキルの他に、セルフプロモーションやライティングスキルなども教えています。

 

 講座はテーマごとに1dayで受けられるようにしてあり、生徒が受けたいものを選ぶ方式でマンツーマンになることも多いそうです。

「教えて欲しい」と請われる度に講座を開くように

 彼女が今の場所にサロンをオープンしたのは9年ほど前ですが、講師歴は16年にもなります。


 というのも、個人サロンオープン以前に、様々な自然療法を教えるスクールで講師を務めていたからです。

 

 そこではアロマセラピストの認定コースのほか、スパセラピストを養成するために、バリニーズやハーブボール、マニュアル・リンパドレナージュ、フェイシャル・トリートメントなど、様々なジャンルを教えていたとのこと。

 

 小松さんは、前職で音楽業界のプロモーションに携わってこともあり、人に物事を分かりやすく伝えるのは得意分野。


 また彼女の知的好奇心の強さもあって、講師業も思いのほか早くから取り組めたそうです。

 

「教育者として教える技術を身に付けたわけではありませんが、前職でのトレーニングが役に立ちました。それに、講師として人に伝えるためには、教える内容の2倍以上は学んでおかなければなりませんから、教えることで自分の学びが確かなものになります。そうやって自分の勉強が仕事にもなるということに、効率の良さを感じていました」(小松さん談)

 

 長く講師業をしてきた経験もあって、小松さんは自分でサロンを持ってからも、他のセラピストやお客様から「教えて欲しい」と請われる度に講座を開くようになります。彼女が教える内容が多岐にわたるのは、このようなニーズによるためです。

どんな知識をベースにして、どんな世界観を持っているのか

 人に教える上で大事にしていることを小松さんに聞いたところ、「その人のバックグラウンドは必ず聞きます」と答えてくれました。

 

 バックグラウンドとは、例えば経験者なら今までどんなスクールで、どんな技術を学んできたか?初心者なら今までどんな仕事をしてきて、なぜ学ぼうと思ったのか?など。

 

 その人がどんな知識をベースにしていて、どんな世界観を持っているのかが分からないと、分かりやすい形で伝えられないことがあると、小松さんは言います。

 

 なお、大人数に教える場合には、全員のバックグラウンドを深く知ることは難しいため、「みんなそれぞれ違った価値観を持っている」ということを忘れないようにしていて、いつも表現に気をつけているそうです。

 

 こうした考え方を身に付けたのも、やはり音楽業界のプロモーター時代。「自分が提供したい情報を、どうすれば雑誌や番組の制作サイドに気持ちよく受け入れてもらえるかを考えて行動する癖が付いている」と話してくれました。

教えて欲しいと言われる理由が何かあるはず

 小松さんに、今後、育成セラピストを目指す人へのアドバイスを求めると、

「誰かから求められるのであれば、やってみるといいと思います。私は結構そのパターンでした」と笑顔で答えた後、

 

「それで、“なぜ求められたのか”について考えてみると、自分の個性や価値が見えてくることもあるはず」と話してくれました。

 

 つまり、教えて欲しいと言われる理由が何かあるはずということです。


 それが技術なのか、話し方なのか、人柄なのか。理由はそれぞれだとしても、そこにはそのセラピストの個性や長所が反映されているはずで、それが育成セラピストとしての第一歩になるということです。

 

「セラピストの中には、“お客様に喜んでもらうために”と自分を消耗させてしまう人もいます。そうではなくて、自分の人生と個性を大事にしながら、その人らしいセラピーをして、お客さんが喜んでくれる。私の講座に来るセラピストには、そんな風にお客様とも自分自身とも良い関係を築けるようになってもらえたら嬉しいです」(小松さん談)



校長からのメッセージ

 小松さんの講座はサロンと同様に、とくに広告を出しておらず、SNS(ブログ、FacebookやInstagram、Twitter、note)での発信がメインです。


 そうしたSNSを通して受講希望が届くことが多く、他にはサロンに施術を受けに来た方から受講を希望されることもあるそうです。

 

 小松さんの講座の特徴の1つは、年間計画のような長期的なスケジュールを作っていないことです。受講希望があればその都度、受講日を決める方法を取っています。


 また、前述したように基本的に1day講座の単位制であり、全5回程度のプログラム構成はあるものの、長期的な授業カリキュラムも組んでいません。

 

 こうした方式に、ドライでクールな印象を受ける人もいるかもしれません。ただよくよく聞いてみれば、これが小松さんの誠意の通し方だと分かります。

 

 つまり、彼女のサロンに固定化されたメニューがないのと同様に、スクールとして長期的なカリキュラムを組むことで、それに縛られてしまうことを避けているのです。

 

 あらかじめ決めたカリキュラムよりも、新たに良いと思える技術やアイディアに出合ったのなら、それを教え伝えることの方が誠実だと考えているから。(ちなみに、年間計画を立てない開催方法は収益的には安定しないという理由から、スクールをやりたいという他のセラピストには勧めることはないそうです。)

 

 また彼女自身の知識欲の両輪のように、「良い物事の情報を、分かりやすく人に伝えずにはいられない」という気持ちもあることもインタビューの中で垣間見えました。「知りたいし、伝えたい」という心理は実に、マスメディアの世界にいた彼女らしいなと。

 

 さらに、時間とお金を掛けて学びに来てくれる受講者に対する誠実さも、よく伝わってきました。

 

「学びに時間とお金を投下するのに気合が必要なのは、私が誰よりも知っているつもりです。だから、私の講座を受けた人が知識の面でも、技術の面でも、心の面でも、何かしらの形で身になって、“良いお金の使い方をした”と思ってもらえるようにしたい」(小松さん談)

 

 小松さんのサロンのスタイルも教え方に関しても、通底しているのはやはり自分の心と身体に正直なこと。

 それはソマティックの実践なのかもしれません。

 

 しかし、そんな彼女だからこそ、彼女から学びたいと思うセラピストが絶えないのだろうと思います。

 

 ならば学びの形も、スクールの形も、セラピーの形も、セラピストの数だけあってもいいのではないか? 

 そんなことを考えさせられるインタビューでした。

 

YURIKO KOMATSU

http://yurikokomatsu.com/