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みずはらゆみさんのセラピストライフ〜育成セラピスト

2022/01/29
みずはらゆみさんのセラピストライフ〜育成セラピスト

 埼玉県越谷市にて、10年にわたって自宅サロン「ルチュリバリ・アロマロンド」と、セラピースクール「バリコネクト」を運営している、みずはらゆみさんのセラピストライフを紹介します。

【自宅サロン編】はこちら

 

 バリニーズセラピストの みずはらさんは、セラピースクール「バリコネクト」を運営し、技術の伝承を行っています。

 

 彼女が伝えている技術には、ボディやフェイシャルへのオイルトリートメントの他に、ヘッドスパやホットストーンなどが含まれています。

 

 「バリコネクト」のカリキュラムの特徴は、技術ごとに短期集中で学べるところにあります。

 

 長いカリキュラムでも「本格バリニーズトラディショナルコース」の20時間(110,000円)であり、他にも1dayで受けられるコースがいくつも準備されています(ドライヘッドスパ、ホットストーン、フェイシャルなど)。

 

 現在は、申し込みを受けて開講する形なので、マンツーマンか少人数で行われることが多いのだそうです。

 

 こうした短期集中型のカリキュラムであることで、仕事をしている方でも受講しやすいため、現役のセラピストやヨガインストラクターなど、様々な立場の方が生徒になっています。

 

 どうしてこのようなスタイルにしているのかを聞いたところ、みずはらさんは「子供の成長と同じだと思っています」と笑顔で答えてくれました。


みんなが同じ時間で同じだけ上達することはない

「子供を2人育ててきて思うのは、あるレベルにまで到達するまでの時間に差があるということ。それはどんな学びも同じで、みんなが同じ時間で同じだけ上達するということはないんです。時間がかかる人もいるし、逆に時間をかけなくても出来る人はいる。だから、学びというのは、時間じゃないし、お金でもないと思っています」(みずはらさん談)

 

 1dayの集中講座でも、きっちりと基本が分かって、ポイントが掴めれば、後は自分で実践を繰り返して上達していける人がいる。

 

 ならば、生徒に時間的にも、金銭的にも負担を掛けさせない。それが、みずはらさんのスクール運営の根底にあるのです。

 

 もちろん、短時間では分からなかったり、後で分からないことが出てくることもあるでしょう。

 

 そのような場合でも、みずはらさんは快く生徒の疑問・相談に答えてくれるそうです。

 つまり、アフターフォローもしっかりしてくれるのです。

 

「本当にやりたいのであれば、導くことはできます。今はプロレベルじゃなかったとしても、サロンオープンまでに引き上げることはできます。メンタルも技術も。」そう笑顔で話す みずはらさん。

 

 これまでのべ500人以上の生徒に技術や知識を伝え、導いてきたそうです。

 

 みずはらさんが【育成セラピスト】としての活動を始めたのは、アロマセラピストとして自宅サロンを始めてすぐのこと。

 

 同時期に開業した仲間のセラピストともに協会を立ち上げ、2年ほどの活動期間に全国で20人ほどのアロマセラピストの講師を養成したそうです。

 

 その後、みずはらさんが娘さんに背中を押されて、バリに留学したことは、【自宅サロン編】でご紹介したとおりです。

 

 1週間の短期集中カリキュラムで濃密な留学を無事に終えた みずはらさんは、帰国後、サロンをリニューアルするとともに、スクールも一新します。

 

 テキストを1から作り直して、HPやブログで「本格バリニーズ教えます」と告知をしました。

 

「これでぜんぜん人が集まらなければ、辞めてもいいかも」という考えも頭にあったそうですが、その予想に反して、思った以上に生徒が集まることになります。

 

 これが本格バリニーズスクール「バリコネクト」の始まりです。


教えるというより伝える 

 「人に教えることに抵抗はありませんでしたか?」と私が聞いたところ、

「“教える”というよりも、“伝える”という意識なんです。だから、先生と呼ばれるのは変な感じがするんですよね」と笑顔で答えてくれました。

 

 指導者として活動を始める際に、みずはらさんの背中を押していたのは、やはり娘さんの存在でした。

 

「お母さんって、困っている人にアドバイスできる人だよね」「教えてあげられる人だよね」と、いつも肯定してくれていたそうで、みずはらさんは生徒への指導も臆することなく自然にできたそうです。

 

 また、みずはらさんは、手順や形をきっちりと教えるような、従来の日本の指導スタイルに違和感を持っていて、「こうしなければと固めてしまうと、生徒さんが動けなくなってしまうので、私が柔軟になるんです」と、指導者が生徒に合わせて伝える工夫をすることが、生徒のためになるはずだと語ってくれました。

 

 同じテキストを使っても、教え方は生徒によって違うこともあるそうです。

 

 たしかに、日本の学校教育は一律に子供を育てる方式を長く続けてきたために、教科書通りではない考え方や方法が認められない風潮があるように思えます。

 

 その影響なのか、セラピストの場合も、手順通りの施術を身に付けることを意識するあまりに、手順から逸脱することができず、応用の幅を狭めてしまう生徒もいることでしょう。

 

 また、一律に育てるという日本のスタイルは、自分と他人を比べることで自己価値を見定めようとするマインドにつながっているといわれています。

 

 人と同じでなければ安心できず、人より劣っていると自己価値感が低下してしまうのです。

 

 つまりマンツーマンでの指導の方が、生徒1人ひとりの個性に沿った導き方ができるのではないかと考えているのです。

 

「“ねばならなぬ”というものは、私にはまったくありません。生徒1人ひとりが抱いている、サロンを作る時のイメージや思いを聞いて、私が柔軟に対応して、持っているものを伝える、という方法を続けてきました。」と語る彼女。

 

「たとえば、サロンの開業準備について質問されることもあるのですが、最高級のベッドやタオルが、誰にでも最適ということではないはず。そうやって決めつけずに、その生徒が良い選択をできるようにアドバイスしています。結局、サロンってみんな違いますからね」(みずはらさん談)

 

 自宅サロンにせよ、セラピストの育成にせよ、みずはらさんは生徒に「やりたいのなら、まずやってごらん」と伝えているそうです。

 

 失敗を恐れていろいろな理由をつけてやらないよりも、やれる方法を考えて実行してみれば意外にできるかもしれませんし、うまく行かなくても解決策があるかもしれないのです。

 

「やりたい時が機会です。理由を付けてやらないうちに、歳ばかり取っちゃいますよ。自分で生きたい道は、自分で行くしかないじゃないですか。誰かが連れてってくれるわけじゃないんで」

 

 そう語る みずはらさん。彼女は生徒たちが自ら考え、歩くことを願っています。

 

 そして、その先には生徒自身の幸せだけでなく、生徒の家族の幸せも、生徒のお客様の幸せもあることを信じているのです。

 

「求めている人たちに、私が持っているものを伝えたい」その思いがこれまで【育成セラピスト】を続けてこられた原動力であり、これからもそれは変わらないことでしょう。




校長からのメッセージ

 みずはらさんが留学から帰国し、本格バリニーズのスクールを始めた際、予想以上の反響があったというお話がありました。

 

 告知はHPやブログのみで、有料広告を使っていないそうです。

 

 それはつまり、みずはらさんのスクールが、セラピスト(およびセラピストになりたい人)のニーズと合致したということなのだろうと思います。

 

 通常、日本人が「現地のバリニーズを学びたい」と考えたときに、時間と費用、さらに言葉の問題が壁になります。

 

 まず、本格的にバリで学ぶには、初心者の場合、1ヶ月以上を要するそうですから、授業料と滞在費を含めると、そう簡単には留学に踏み切れるものではないでしょう。

 しかも、英語で授業を受けなければいけません。

 

 みずはらさんの場合、すでにセラピストとしての実績も、指導者としても実績もあったため、バリ留学では短期集中カリキュラムを受けられたとのことでした。

 

 加えて、みずはらさんは家族でイギリスに3年滞在した経験があり、他にもいくつもの海外の国を尋ねていたことも、英語での受講を可能にした要因なのでしょう。

 

 こうした経緯もあって、彼女のスクールは短期集中型を基本としています。

 加えて、講習費もかなり抑えられています。

 

 短期集中型のカリキュラムは、セラピストを含め、すでに仕事を持っている生徒にとっては、大変ありがたいシステムです。

 

 さらに、スケジュール調整もしやすく、マンツーマンで学べるといった条件もあって、「バリコネクト」が求められているのだろうと思います。

 

 今後も、そうしたスタイルのスクールは、働きながら学ぶセラピストたちに望まれていくでしょう。

 

 もちろん、日本人の働き方はこれからも変化していくでしょうから、それに合わせて、スクールのカリキュラムも変えていくことも重要になるのかもしれませんね。

 

 さて、【育成セラピスト】としての今後の活動について聞くと、みずはらさんは「日本語教師」の講座を修了したことを教えてくれました。

 

 これは、外国人や学留生に、日本語の読み書きや発音などを教える教員のことです。

 

 みずはらさんに海外居住経験があることは先に書きましたが、それ以来、インドネシアの他にも東南アジアの国々を訪ね、セラピーを受けてきたそうです。

 

 最近は、日本人観光客向けに日本語で対応してくれるサロンも増えていますが、その言葉遣いが気になっていると、彼女は言います。

 

「例えば、“大丈夫?”ではなくて、“大丈夫ですか?”と言うだけで全然印象が違いますよね。もっとこういう風に言ったほうがいいのになって思うことがたくさんあって、その度に“教えてあげたいな”という思いが増えていったんです。」(みずはらさん談)

 

今後、海外のセラピストに日本語でのおもてなしをきちんと教える機会があれば、と考え、日本語教師もできるように準備しているそうです。

 


 今後、コロナ禍が落ち着けば、きっとまた日本と海外の往来は増えていくでしょう。

 

 それは、おそらくネットでは代替できないような「体験」を求めての移動であるはずです。

 

 日本人が癒やしを求めて東南アジアの国々を巡るかもしれませんし、海外から日本のセラピストのおもてなしを体験しにくるかもしれません。

 

 こうした現場には、きっとみずはらさんのような留学経験のあるセラピストが、互いの言葉と文化をつなぐ架け橋として活躍する場もあるのではないでしょうか。