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小林彩子さんのセラピストライフ〜ディレクター型シェルパ

2022/04/17
小林彩子さんのセラピストライフ〜ディレクター型シェルパ

 グラフィックデザイナーを本業にしながら、アロマキュレーターとしてセラピストの活動の補助や、精油生産者の支援、製品のプロデュースなど、幅広い活動をしている「flavour(フレーバー)」の小林彩子さんを紹介します。

 

 【アロマキュレーター編】では、小林さんのアロマキュレーターとしての活動を紹介しました。

 

 この記事では、セラピストをサポート役(シェルパ)としての小林さんの活動を紹介することにします。

 

 小林さんはグラフィックデザイナーとして活動する一方で、アロマキュレーターとして、アロマに関する情報の収集と発信を行っていて、その一環として、講習会の開催やイベント出店をしています。

 

 そうした活動の中で繋がりを持ったセラピストへ、小林さんはアートディレクターとして積み重ねてきた経験やアイディアを提供しています。

 

 なかには、国内外の経験豊富なセラピストが主催する協会や団体の企画運営、広報活動、イベント進行などを引き受けている場合もあるとのこと。

 

 実はこうした活動の発端になるのは、セラピストと個人的な関係性を築く中で生み出されるアイディアだそうです。

 

 そのセラピストが持っている経験や知識、未来のビジョンが、他の多くのセラピストに伝わることが、きっとセラピーを受ける人までも幸せにできるはず。

 

 そう思った時に、小林さんは自分のスキルが役立つのではと、自然に考えてしまうようです。

 

「セラピストとやりとりしているうちに、“ここで私の手があったら、うまく行きそうだな”と思うと、パッと手が出ちゃうんです。よく“あなたの職業はお節介ね”って言われますね。セラピストへのサポートは、私の経済活動というよりも、お節介の延長上なんです」(小林さん談)

 


世の中の困りごとに目を向けること

 小林さんの活動として、例えば、講習会を開催する場合、テーマの提案をすることもあります。

 

 経験豊富なセラピストとやりとりする際に、小林さんは「一般的なアロマテラピスト」の立場で、興味が湧く内容や、理解が追いつかない話題を見つけると、それを講習会のテーマとして伝えるようにしているのです。

 

 時には、事前に模擬講座を小林さんが受けてみることもあって、伝わりにくい部分を洗い出したり、参加者の興味を惹くような告知文を書いたりするといいます。

 

 その流れで、広報も司会進行もする、というように、自分の役回りが増えていくということのようですが、デザインの仕事をしながらなので小林さんの体調がつい心配になってしまうほどです。

 

 お話を聞いていると、彼女のようなサポートができるのは、やはりアートディレクターというバックボーンが大きいように思えます。

 

 アートディレクターは、デザイン面で広告や広報誌を統括する立場です。

 

 他のデザイナーやカメラマンへの指示だけでなく、どんなモデルやイラストを手配するかにも関わっています。

 

 ここで重要なのは、誰にどんなメッセージを届けるのか?そのためにはどんな表現が有効なのかなど、企画立案時点で青写真を思い浮かべて、それを具体的に紙面に落とし込んでき、他の人にも見える状態にして提示できることでしょう。

 

 とくに、「誰にメッセージを届けるのか」は、デザインを考える上でとても重要な観点になるようです。

 

「例えばギャル雑誌をデザインすることになったら、私の知り合いにはいないので、ギャルがいるところに行くんですよ、たとえば渋谷の109みたいな。それで、ジッと遠目から観察して、彼女たちと同じ目線で同じ景色を見る。同じようにOLさんが対象の広告なら、OLさんがいる場所に行って、なりきってみるとか」(小林さん談)

 

 要するに、情報を届けたい人に対してリサーチを欠かさないということ。

 

 小林さんが、他のセラピストのサポートをできるのは、講習会の参加者など、情報を受け取る側の顔を思い浮かべる能力が高いからなのでしょう。

 

 そして、伝えたい人にメッセージを届けるために、どんなキャスティングで、どのような過程を踏むことが必要かを見通す力を持っているのです。

 

 その力が、講習会開催にも役立っているのだと思いました。

 

 小林さんに、セラピストをサポートする上で大切にしていることを聞くと、「世の中の困り事に目を向けること」と、笑顔で答えてくれました。

 

「これはデザイナー目線でもありますけど、何が必要とされているのか、常に世の中の困り事に目を向けるようにしています。 何がヒントになるか分からないので、SNSを含めてアンテナをいろんなところに立てています。 新聞や普段自分が読まない雑誌にヒントが隠されているかもしれない。お友達の投稿だけを見るのではなくて、自分との関わりが遠い人の情報を入れることで、広く俯瞰するような視点を持てると思います。」

 

「もちろん、自分の興味についても深く追求する気持ちもあります。広く俯瞰の視点と、接写するような近くの視点。両方を持っていたいですね」(小林さん談)

 

 付け加えて「つねに本音で、嘘をつかないこと」も、大切にしていることとして教えてくれました。

 

「どんな人にも、本音で言うことにしています。たとえ、どんなに素晴らしい先生であっても、思ったことはちゃんと言います。“それはつまらない”とか“わからない”とか、ネガティブで言いにくいことでも同じです。こっちが本音で言わないと、相手は本音で返してくれないと思っているので」(小林さん談)

 

 現在はオンラインでの講座開催が増えているそうですが、今後はオンラインならではの良さを活かすとともに、自らのモデレーターとしての力も高めていきたいと、小林さんは語ってくれました。

 


校長からのメッセージ

 この記事では、セラピストのサポート役(シェルパ)としての、小林さんの活動内容を紹介してきました。

 

 読んでいただいて分かるように、実働時間としても、また頭脳労働として、大変なミッションです。

 

 協会や団体の運営というと羽振りが良さそうに聞こえますが、実際のところ、すべてがそうとは言えません。

 

 何かプラスになることはないですか?と敢えて例を挙げてもらうと、「自分の活動を知ってもらう機会だと思えば全然マイナスじゃないです」と笑顔で答えてくれました。

 

 様々な形で活躍するセラピストのサポートをすることで、様々な情報が入ってきたり、人脈も広がっていくそうです。

 

 普通では繋がれないような、何かの第一人者や大学の教授とも関係を結べるし、近いビジョンを持ったセラピストたちと横の繋がりを作ることもできる、というわけです。

 

 小林さん自身は裏方として動いているのですが、それでも名は知られていくもので、時には自分が関わる講習会とは別の機会に「○○先生の横にいた、小林さんですよね!」と声を掛けられることもあるそうです。

 

「本当にたくさんの出会いがありました。それが一番の宝物かもしれませんね。」

 

 自らの活動を振り返って、笑顔でそう言っていました。

 

 人と人との繋がりを広げていく活動方法は、アロマキュレーターとしての活動方法と共通点があります。

 

 自分とは別の立場の人と繋がり、誠実に向き合い、意見交換ができる関係性を構築していくことが、また新しい人を呼び、さらに新しい人脈が繋がっていく。

 

そうやって緩やかな関係性を広げていくことは、きっとこれからの小林さんの活動を円滑にしていくことだろうと思いますし、それはいずれ経済的な継続性の構築にも繋がっていくのではないかと思いました。