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上前拓也さんのセラピストライフ~企業研修講師

2022/08/11
上前拓也さんのセラピストライフ~企業研修講師

 北海道札幌市にて13年にわたって合同会社友歩(ゆうほ)を運営し、個人を対象にしたコーチングや、企業での研修講師、後進のコーチの育成などをしている、上前拓也さんのセラピストライフを紹介します。

【個人コーチング編】はこちら

【育成講師編】はこちら


 上前さんは、これまで13年にわたって、企業研修の講師として活動しています。


 基本的には企業に出向いて行いますが、オンラインで行うこともあるそうです。


 これまでの研修先は多種多様で、例えば、企業としては飲料メーカー、自動車関連企業、食品製造業、通信業者など。


 その他にも行政関係でも活動していて、コロナ禍以前は、年間登壇回数が150回ほどもあったとのことでした。


 研修のテーマは主に、社内のコミュニケーションやお客様とのコミュニケーション、管理職を対象にしたコーチングとティーチングなど。


 上前さんはこうしたコミュニケーションスキルを中心に伝えているのですが、その土台として「人間関係」があると言います。


「会社が抱える悩みの中で、一番多いのは人間関係についてです。例えば、クレーム対応を学んでも、社内の人間関係やコミュニケーションが悪いと、クレーム対応もうまくいかなかったりします。コーチングやティーチングもそうです。上司に部下への指導方法を伝えても、人間関係がうまくいっていなくては絶対うまくいかないものです。だから、人間関係が全ての土台だと思っています」(上前さん談)


 つまり、人間関係というのは、会話テクニック以前の問題であり、その解決を抜きして社内の問題は解決されない、というわけです。


 これは、上前さんがSEや営業職を経験する中であったり、これまで企業研修で見て来たコミュニケーションの根本的な構造であるといえます。


 そして、上前さんがコミュニケーションスキルを、上辺だけの言葉のテクニックとしてではなく、人間関係の構築というレベルから考えていることがうかがえます。


「これまでいろんな企業研修をやってきた中で、業績を上げてるところは人間関係がいいんですよね。単純に言うと、3人いたら3の力じゃなくて、10の力になってる会社。そういうところはやっぱり強いです。逆に、うまくいってない会社は人間関係がグダグダだったり、命令されて仕方なく研修を受けている感じがよく分かりますね」(上前さん談)


 今や確かな実績を持っている上前さんですが、誰でも最初があるはずです。


 彼が初めて受けた企業研修とはどんなものだったのかが気になって訊いてみると、とても不思議なご縁があったことを語ってくれました。

「ウチの会社を見てほしい」と依頼してきたのは、、

 その電話は、上前さんが独立開業して3ヶ月ほど経ったころに、突然オフィスに掛かってきたそうです。


 電話口で「ウチの会社を見てほしい」と依頼してくれたのは、なんと多数の加盟店を抱える、いわばメガフランチャイジー企業の常務の方からでした。


 実はその方、上前さんが自宅兼事務所にしているマンションの部屋の、お向かいさん。


 いつもは笑顔で挨拶を交わす程度の間柄でしたが、上前さんの事務所に掲げられた看板を見て、仕事の依頼をしてきたのです。


「事務所の看板からホームページを調べていただけたらしく、企業にコーチングを導入したいっていうのが、一番の趣旨でした。しかも、ただの社員研修としてではなくて、顧問として入って、社内の人間関係を含めて、全般的にみて欲しいというお話でした。その常務の方からは“たまには僕のことをみてほしい”とまで仰っていただけて、とても貴重な経験になりました」(上前さん談)


 その依頼を受けて、上前さんは、管理職に対してコーチングの研修をするだけでなく、1人ひとりの悩み相談を受けたそうです。


 また、傘下の店舗に覆面調査に入って、人間関係やコミュニケーションの仕方など、気がついたことを報告するような任務もあったとのことでした。


 ただ、初めて大企業の顧問に入ったということもあり、上前さんは思ったようなパフォーマンスは出せず、半年ほどでその任務は終了したそうです。


 これは力不足を感じた経験ではありましたが、この経験をしたことで上前さんは企業との仕事に対して物怖じしなくなったと語ってくれました。


 それ以降、様々な企業から依頼が来るようになり、上前さんはBtoBの仕事の割合を少しずつ増やしていったそうです。


 ちなみに、こうした大企業からの依頼は、きっかけこそ確かに不思議なご縁でしたが、それだけが依頼の要因ではなかったようです。


 上前さんは開業当時から、個人へのコーチングのセッションの他に、月に一度、単発のセミナーを開いていました。


 セミナーの内容は、コミュニケーションスキルによって、人間関係を良好にすることが主なテーマ。


 苦手な相手とのコミュニケーションの取り方や、人に好かれる方法など、個人がタイトルを見て、話を聞きたがるような内容を企画して行っていました。


 しかも、参加者に、自分の仕事を紹介するパンフレットを配っていたとのことで、企業研修についてもアピールしていたそうです。


 HPでもセミナーの告知はもちろん、同様に自分の仕事を紹介し、企業にコーチングを導入する意義も説明していました。


 こうした、自身の存在と、自分が提供できるサービスをお客様に伝える工夫を凝らしていたからこそ、企業経営者の目に止まる機会が増え、仕事も増えていったのだろうと思います。


 これまで13年、企業研修に携わってきた上前さん。その間、コミュニケーションの主軸にしながらも、新しいタイプの依頼が来る度に勉強して、対応してきたそうです。


 

 そうしていくうちに、「企業研修に関しては、様々な経験を積み重ねてきたとの思いがあります」と振り返ってくれました。


 彼が「様々な経験」というのは、企業から依頼されやすい相談内容のパターンを網羅しつつあるという意味であり、またそれに対して彼自身がどう対応するかも、大枠でパターン化されつつある、という意味でもあります。


 それでも彼は、「もっと新しいことを話せるように」と勉強と情報収集を怠らずに続けています。


 そんな上前さんに、今後の企業との関わり方について訊くと、笑顔でこんな答えを返してくれました。


「独立当時に依頼されて十分にできなかった、企業に顧問として入るような仕事を今こそやりたいですね。単発の研修で話して終わりじゃなくて、組織の中に入り込んでアドバイスできるような。そこまで突っ込んだところまで行きたいですね。そうなると、コンサルの仕事になってくるのかな」(上前さん談)


 13年で培った彼の経験と洞察力が、企業組織の中でどのように発揮されるのか。それは確かに気になります。


 どのような肩書で関わるのかは分かりませんが、そこに人がいる限り、上前さんのメソッドはその力を発揮するはずです。


 今後、多くの企業でテレワークが推進されていくかもしれません。


 すると、物理的な距離を超えて人と人とが繋がり、協力し合わなければいけなくなるはずです。


 そんな時代だからこそ、健全な人間関係を築くためのコミュニケーションスキルが、ますます求められてくるのかもしれません。

校長からのメッセージ

 上前さんの企業研修については、単発の場合なら2〜3時間で1回5万円ほどとのこと。


 コロナ禍前に、年間登壇数が150回ほどもあったとのことですから、2、3日に1回はどこかの企業・団体で研修をしているわけなので驚きです。


 企業研修の依頼については、先にも書いたように、個人向けのセミナーを月1で開催していることで、そこに企業の経営に関わる人が参加していて、企業研修に繋がることもあるのだそうです。


 また、研修を受けた企業から、また別の企業へと紹介されることもある、ということでした。


 今後、企業研修の仕事をしたい人へのアドバイスを求めると、上前さんはこんな話をしてくれました。


「企業から選ばれるために、人柄や喋り方はもちろん大事です。ですが、それ以前にプロとしての実績も求められると思っています。企業研修の経験はないけどやりますって言っても、企業側はなかなか頼みづらいですよね。例えばマンツーマンで何かを教えた相手であったとしても費用等、属している企業からであれば企業研修ということになります。そうした一つ一つの実績の積み上げから様々な企業からお声がかかるようになりました。」(上前さん談)


 上前さんによると、実績が増えれば増えるほど、仕事は加速度的に増えていくそうです。


 もちろん、実力が伴っていなければ長続きしないでしょう。企業から評価されていかないと、張り子の虎状態になってしまうからです。


 また、上前さんが単発セミナーを開催しているように、比較的オープンな場で、実力を示す場を設けることも、おそらく大切なのだろうと思います。


 その講師が研修の依頼先として相応しいかどうか、依頼者が見極める場になるはずだからです。


 きっと、講師がどのような態度で参加者に向き合っているかも見られているでしょうし、見る人が見れば、講師の心持ちすらも見透かされてしまうだろうと思います。


 上前さんに研修講師として大切なことを訊くと、「やはり個人へのコーチングと同じです」と笑顔で答えてくれました。


「まずは、研修を受けてくださっている皆様には絶対に力があるんだって、信じることです。講師のスタンスとか思っていることって、意外と受講者に伝わりやすいものです。“この人たちはまだまだだろうな”って思いながら話すと、それが伝わっちゃうので。受講者がどんなスタンスで参加していても、絶対にこの人たちはできるはずだっていう気持ちで話しかけ、行動を促すようにしています」(上前さん談)


 上前さんにインタビューしていると、ふとボディワークをするセラピストの話を聞いているような気がしてきました。


 セラピストがお客様の体に生じている不調に向き合う時、セラピストはお客様の生命力を信じています。


 そうした態度で臨まないと、セラピーが力を発揮できないという感覚は、多くのセラピストに共感してもらえるはずです。


 人の体を会社に例えれば、細胞1つひとつが社員で、内臓は部署と説明されることがあります。


 体に不都合が起きている時に不調を感じるとすれば、その不都合をもたらしている社員や部署に優しくアプローチして、本来の力を思い出させるのがセラピースキルであると言えるかもしれません。


 そう考えると、上前さんの活動は、企業に対する研修という名のセラピーなのかもしれない。そんなことを思い浮かべたインタビューでした。


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