千葉県千葉市にて、21年にわたって個人サロン「ヒーリング EZE(エズ)」を営んでいる、櫻田順子さんのセラピストライフを紹介します。
櫻田さんは、現在、千葉市の自宅に施術用の部屋を用意し、お客様をお迎えしています。
提供するメニューは、「レイキフルセッション(約40分)」と「ヘッドセラピー(約20)」、そして、この2つを合わせた「ディープレイキヒーリング(60分)」。
また、レイキの伝授も行っている他、「健・幸・美レッスン」として心身のセルフケアの指導もしています。
レイキとは漢字で書けば「靈氣」であり、私たちの生命を活かす「宇宙エネルギー」のようなものようです。
なんらかの原因で体を流れる気の流れが滞ったときに心身に不調が生じると考え、必要な箇所に手を当てて、気の流れやすい状態に戻るように手伝うのが、レイキの基本的な施術です。
施術する相手が元々備えている自己治癒力を高め、心身を健康な状態へ導くのだろうと思われます。
櫻田さんのサロンで特徴的なのは、体の数カ所にレイキを当てる「レイキフルセッション」と、頭部へのヒーリングである「ヘッドセラピー」に基本メニューを絞っていることです。
「ヘッドセラピー」は、頭部のツボへの刺激とレイキを融合させることで、心や体に詰まっているものを溶かしていくようなセラピーとのことでした。
頭部の血流が良くなり、顔のリフトアップになるだけでなく、全身にエネルギーを通して、心身の緊張を取り除くためにもなるそうです。
施術中には、暖かさや安らぎを感じて夢うつつになるお客様も多いとのこと。
緊張から解放された、深いリラクゼーションを体験しているのだろうと思います。
「頭脳労働などですごく緊張が強い人は、頭がパンパンに硬くなる方がいます。では、頭が柔らかければよいかと言えばそうではなく、夜勤などで睡眠バランスが崩れている方には、空気の抜けたバレーボールのような状態になっている人もいます。これは良くない柔らかさです。あと、頭脳労働では頭の前側に変化が出やすく、気を使いすぎる人では頭の後ろ側に変化がでやすいようですね」(櫻田さん談)
櫻田さんのサロンにくるお客様は、仕事などで日々ストレスフルな状態の人も訪ねてくるそうです。
そうした方たちはイライラを抱えてサロンに来ますが、「施術を受けている内に、どうしてイライラしていたのか?思い出せなくなった」というような感想を口にする方が少なくないとのこと。
こうした変化について説明を求めたところ、櫻田さんは「同じものは引き合うのではないかと思います」と仮説を教えてくれました。
「イライラした状態で周りを見ると、イライラする物事ばかりが目に付くことがありますよね。電磁石の磁力が砂鉄を引き寄せるように、その人が出す波動がイライラを引き寄せているんじゃないかと思います。そんな時は、“イライラしないで”とか“力を抜いて”って外から言われると余計にイライラしてしまうし、自分でイライラを振り払おうとするとさらにイライラがたまってしまうものです。それこそ、磁石についた砂鉄を払おうとする時と同じです」
「電磁石であれば、通っている電流をオフにすれば、くっついている砂鉄はストンと落ちます。これと同じで、イライラ状態を1度オフにして、気の流れを整える。すると、波動も整って、イライラさせる物事もくっついて来なくなるんじゃないでしょうか。」(櫻田さん談)
施術によって心身がリラックスして、頭の中が鎮まり、体の力が抜けた状態をお客様に体験してもらう。
そして、お客様の心身を“イライラ状態”から、良い状態に移行させることで、“イライラ状態”だったことを忘れさせてしまうのかもしれません。
ただ、これは用いる手法によるものだけでなく、おそらく櫻田さんがこれまで身に付けてきた様々なスキルと彼女自身の雰囲気も含めた、総合的なものによってもたらされているように思えます。
なぜなら、櫻田さんはもともとレイキ専門のヒーラーではなく、アロマトリートメントやホットストーンセラピーなどのボディーワークを20年近く提供し続け、さらにコーチングや心理学も学んでいる、いわばセラピーに関するジェネラリストとしての実績があるからです。
今回のインタビューでは、20年もの間ジェネラリストとして歩んできた櫻田さんが、なぜメニューをレイキヒーリングに絞ったのか。彼女がその決断に至った背景を伺うことができました。
女性であること、年齢を重ねることがプラスになる生き方をしたかった
櫻田さんにこれまで21年のセラピストライフについて聞くと、「チャレンジするのがとにかく好きで。やりたいと思ったら、やらずにはいられないんですよ」と笑顔で振り返ってくれました。
元々は都内勤務の社員だった櫻田さん。
20代〜30代前半の頃は、いくつもの転職を繰り返したり、会社を辞めて長期海外旅行に出かけたりと、職業と生き方を幾度も変えながら生活していたそうです。
その中で彼女が習慣にしていたのが、都内のサロンに通うことでした。
肩こりなどの改善がそのきっかけだったそうでしたが、雑誌でめぼしいサロンを見つけては訪ね、施術を受けていたということでした。
そんな櫻田さんがセラピストになろうと考えたきっかけ。
それは「都内に通勤するのは時間がもったいない」と考えたことだったそうです。
そして、自分の生き方を考えた時に、「セラピスト」にチャレンジしてみようと思い立ったそうです。
「何か、女性であることと、年齢を重ねることがプラスになるような生き方をしたかったんです。施術を受けるのが好きでしたし、セラピストなら1対1で接客できて、目の前でお客様が喜んでくれるのも、OLでは得られないやり甲斐だと思いました」(櫻田さん談)
会社員時代にすでにアロマセラピーなどを学んでいた櫻田さんは、渋谷や銀座のサロンに勤めて経験を積むとともに、レイキも含めて様々なセラピースキルを身に付けていきました。
そして、2001年10月、地元千葉市に「アロマテラピールームEZE(エズ)」を開業します。
開業当初のメニューはアロマトリートメントとリフレクソロジーでしたが、1年ほど後にレイキヒーリングをメニューに加えています。
開業後も、これはと思う講座やワークショップに積極的に参加して、知識とスキルを充実させていったとのことで、海外に学びにまで行ったそうです。
その後、サロンを駅近のマンションの一室に移転させて、サロン名も「アロマ&ヒーリングEZE」に変更。
その頃にホットストーンもメニューに加えています。この頃は、アロマ、レイキ、ホットストーン、ヘッドセラピーの融合メニューが人気だったそうです。
「何をすればお客様に喜んでもらえるのかな?といつも考えていて、情報を集めては足を運んで勉強してきました。ただ、学んだものすべてをサロンのメニューに取り入れられたわけではなく、私のサロンにいらっしゃるお客様層と親和性があるものだけをメニュー化していきました。もちろん、メニューにはならなくても、学んだものは私の中で活きていますね」(櫻田さん談)
こうして開業して10年ほどの間に、櫻田さんはセラピストとしての技術も、サロンの経営も、順調に伸ばしていきました。
しかし、その頃には忙しさもピークを迎えていて、「この状況がいつまでいくのだろう?」という思いも抱えていたそうです。
それでも、通い続けてくれるお客様のためにと、サロンワークを続けていたと、櫻田さんはその頃のことを振り返ってくれました。
ただただ自分とお客様が笑顔でいられるために
そんな櫻田さんが、自らのサロンワークについて思い切ったシフトチェンジをしたのが、2019年のことでした。
アロマテラピーやホットストーンなどのボディーワークメニューを止め、ヘッドセラピーとレイキヒーリング、レイキの伝承に絞ったのです。
この決断には、彼女自身の生活環境の変化と、体力的な要因もありましたが、お客様から求められているものが「身体的なケアから心のケアへと変わってきた」こともあったようです。
そして、「体を通して心に触れる」スタイルへとサロンワークを変化させ、サロン名も「ヒーリング EZE」へと変更して、今に至ります。
これからはどうしていきたいですか? と私が聞くと、「とにかくずっと笑っていようと思っています」と櫻田さんは満面の笑みで答えてくれました。
これまでの21年のセラピストライフだけでなく、彼女のプライベートな人間関係の中で、櫻田さんは「あなたと話すと元気になる」と何度も言われてきたそうです。
「久しぶりにこんなに笑ったわ」と言われたこともあり、それがとても印象に残っているそうです。
長年培った技術を誇るでも、社会的な成功を自慢するでもなく、ただただ自分とお客様、家族、友人が笑顔でいられる環境を作り、その中で生きていこうと決めている。
それが、実に彼女らしいセラピストライフだと私は思いました。
お話を聞いている中で、私も櫻田さんの笑顔の波動に当てられたのか、終始笑いながらのインタビューでした。
校長からのメッセージ
「ハッピーの発信基地でありたい。それが開業当初からの思いです」
インタビューの中でそう語ってくれた櫻田さん。
サロンにお迎えするお客様の心が軽くなれば、お客様が自分自身に優しい気持ちを持てるようになるし、周りの人にも優しく接することができるようになるはず。
そうやって、サロン「EZE」を中心にしたハッピーの輪が広がっていくことを、櫻田さんはずっとイメージしてきたそうです。
ちなみに、「EZE(エズ)」とは、櫻田さんが海外旅行で立ち寄った、南仏の村に由来しているということです。
その村は、地中海に面した崖の上にある美しい家並みのリゾート地で、櫻田さんは心地良く吹く風に感動したそうです。
そして、その心地よさをお客様にも感じてほしいという願いを、サロン名に込めたとのことでした。
さて、今回はセラピスト歴21年の櫻田さんの歩みを聞くことができました。
その中で、多くのセラピストがとくに興味を持つのは、彼女が行った「思い切ったシフトチェンジ」ではないでしょうか。
櫻田さんは、開業後の10年ほどで技術や知識を蓄え、メニューも増やしていきました。
それを、開業20年を目前にして、ギュッと絞ったのです。
一般的にメニューが多いほど、お客様の要望に応えられる幅は広がり、来店人数も増やせると考えます。
ただし、いったん増やしたメニューを減らせば、そのメニューを目当てに来ていたお客様が離れてしまう恐れがあります。
櫻田さんにとっても、メニューを絞るのは、とても勇気のいるチャレンジだったはずですし、実際に不安も感じていたそうです。
結果的にお客様の人数が減ることもあったのかもしれません。しかし以前からボディーワークを受けていた方が、今でも引き続き通ってきてくれているそうです。
なぜ、ボディワークのメニューがなくなっても、通い続けてくれているのか?それを推測すると、おそらくトリートメントの「手法」を目当てに通っていたのではなく、櫻田さんのトリートメントを受けるためにサロンに通っているのだろうと思います。
つまり、アロマやホットストーンの施術を受けられるサロンは他にはあっても、櫻田さんにケアしてもらえるのは彼女のサロン以外にはない、というわけです。
私が櫻田さんに、サロンのお客様の事を聞くと、「どれだけウチのお客様が素晴らしいかを自慢させてください」と笑顔で前置きしてから、こんな事を話してくれました。
「私はずっと、本当に気持ちの良いお客様に恵まれてきました。例えば、私は勉強のためにいろいろな講座に行っていたんですが、講座に行く日はサロンのご予約をお断りせざるをえませんでした。そのことをお客様に詫びると、“順子さんは私たちのために学びに行ってくれてるんじゃないですか”って言ってくださって。そういう方たちに温かく見守られてきて、20年以上も続けてこられたんだと思います」(櫻田さん談)
櫻田さんは「何をすればお客様に喜んでもらえるのか」と考えながら技術を磨き、知識を増やしてきました。
そのことを、お客様も感じ取り、受け入れてくれている。
そんな良好な関係性が彼女の話から垣間見えます。案外、次は何が出てくるのかと、お客様は櫻田さんの変化を楽しみにしていたのかもしれません。
年齢や生活環境の変化を受け入れて、セラピストがスタイルを変えていくことは、とても自然なことだと思います。
当然のことながら、通い続けているお客様の年齢も上がっていくので、それに合わせた変化があってもよいはずです。
むしろ、開業当時の勢いのままで走り続ける方が無理があるのかもしれません。
櫻田さんの場合、サロンの経営を無理のない規模にダウンサイジングしたといえます。
ですが、見方を変えれば、ヒーリングという見た目の動きの小さなスタイルに特化したという見方もできるように思えます。
つまり、これは前向きなチャレンジなのです。
櫻田さんを始めとする、20年以上の実績を持つセラピストが、これからどのように歩んでいくのか。
きっとその姿が、今後、新しい世代にとってのロールモデルになっていくのだろうと思います。
そして、櫻田さんが新しいスタイルで、これからどんなセラピストライフを歩んでいくのか、まだまだ興味は尽きません。
またいつか別の機会に、新しいチャレンジの話を伺えることを楽しみにしながら、インタビューを終えました。
HP
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