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岩城里美さんのセラピストライフ~育成セラピスト

2022/10/07
岩城里美さんのセラピストライフ~育成セラピスト

 東京世田谷にて、5年にわたって個人サロンを営み、トリートメントを提供するとともに技術やサロンワークについて伝えるスクールも運営している「SOIN SHUHARI」の岩城里美さんのセラピストライフを紹介します。

【個人サロンセラピスト編】はこちら


 セラピスト歴20年の岩城さんは、インストラクターとして人を育成する立場としても18年のキャリアを持ちます。


 現在は、個人サロンに併設する形でスクールを運営し、柔軟に相談者に対応しています。


 岩城さんのアドバイスを求める方の背景は様々。セラピストも、お花の教室の先生もいて、歯科衛生士の方からの相談に乗ったこともあるそうです。


 つまり、相談内容も伝えるアドバイスも、それだけ様々であり、セラピースキルの指導だけでなく、サロン運営やサロン空間の見直し、メニューの考案、インターネットツールの活用法など、すべて個別対応と言えます。


 というのも、岩城さんがもともと相談されやすい体質(【個人サロンセラピスト編】参照)ということもあってか、サロンのお客様や友人・知人から相談されることが多く、その都度、岩城さんはできる限り、それに応えるようにしてきたからです。


「“友人から相談に行くといいよって言われたから来ました”という異業種の方までいて、その度に、“ええー、私にできるんでしょうか?”って聞き返してしまうほどです。それでも、“大丈夫、聞いてください”って言われるんで、私も嬉しくなっちゃって。私でお役に立てるならと、応えていく内にいただけるご相談も増えていきました」(岩城さん談)


 聞けば、サロンのお客様として来ていたセラピストから「岩城さんのやっている技術を教えてください」とか、「今日は勉強しにきました」と言われることもあるのだそう。


 サロンに勤務するセラピストから相談された時は、岩城さんはそのサロンの雰囲気をHPなどから調査した上で、それに合わせたメイクや髪型などをアドバイスしたとのこと。


 すると、指名が増えたと喜ばれたそうです。


 また、サロン空間についてアドバイスを求められた時には、お客様目線でサロンに足を運び、ベッドやリネン類についてだけでなく、音響機材の配置などについて提案したそうです。


 技術レッスンをせずとも、ちょっとした心構え、心遣いでリピート率が上がることもあるとのことで、相談相手に喜んでもらえる度に、岩城さんも自分のことのように喜びを感じると言います。


できないという立場だったからこそ気づけることがある

 岩城さんが、初めて人に教える立場になったのは、会員制スパサロンに勤めて2年目のこと。


 技術責任者に任命されたのだそうです。


 ただ、それ以前から後輩に教えていたとのことでしたので、もともと相談されやすい彼女がそれに応えているうちに、「人に分かりやすく伝える能力」が身についていったのかもしれません。


 ダブルワークスタイルで活動していた時にも、相談されれば応えるようにしてきたとのことで、最初はサービスのような価格で受けていたそうです。


 ですが、リピート率が上がるなどの結果が出たことで、相談者から「見合った料金をちゃんと受け取ってください」と言われて、少しずつ料金設定などを整えていったということでした。


「子どもの頃、“何もできない子”って育てられてきました。そんな私がお役に立てて、しかも結果が出ている。だから嬉しいんです。もしかすると、完璧な人では気付かないようなことに、基本的に“できない”という立場だからこそ気づけることがあって、“あなたは素晴らしい”って、相手の良い所を伸ばしていけるんじゃないかと思います」(岩城さん談)


 現在は、初回カウンセリング、トータルチェック、オーダーメイドレッスンなど、スクールの形を整えていますが、基本的にセラピー入門者を対象にしていないそうです。


 つまり、何かしらのセラピースキルを身に付けている方、あるいはセラピスト以外でもすでに活動をしている方を対象としているのです。


 その理由について訊くと、岩城さんはこんな話をしてくれました。


「私がサロン勤務している頃って、私の探し方が上手じゃなかったのかもしれません。1から学べるスクールはありましたけど、技術をレベルアップできるような、足りない部分をちょっとずつ勉強できる場所がなくて。だから、そんな場所があったらいいのにって思っていました。それに、自分がサロンを始めた時も、タオルってどこで買うんだろうとか、どうやって選べばいいんだろうとか、悩むことはたくさんあったけど、それを聞ける人がいなかったんです。なので、そういう相談に乗れたらいいな、と思っていました」(岩城さん談)


 私が、育成する立場になりたいセラピストへのアドバイスを聞くと、「自分も常に学び続けることですね」と笑顔で答えてくれました。


「自分にも分からないことがあって、それを理解していく時間があることが、生徒さんの目線に立つためにもすごく大事だなと思っています」(岩城さん談)


 岩城さんは以前から茶道を学んでいるそうで、まだまだ覚えることがたくさんあると言います。


 新しいことを学ぶだけでなく、教わる側の目線に立つこともでき、気づかされることもたくさんあるのだそうです。


 教える側に立ち続けると、伝わらないことについ苛立ってしまったり、生徒が教えた通りにできない理由について思いを寄せることをつい忘れてしまう、というような話を耳にします。


 教わる立場の目線を忘れないことは、セラピーに限らずどんなことにも通じていて、さらに上手く教えるための手がかりとなる考え方でもあるのかもしれません。


 最後に、教える立場として大切にしていることを聞きました。


 すると、「相手を尊重することですね」と答えてくれました。


「私がお伝えすることが、常に正解ではないんです。私はお客様目線で“これが素敵”と思ってやっているけど、感じ方はそれぞれだから。本当に良いと思ったら取り入れて欲しいし、もっとこうしたいと言っていただければ、それに合わせて私も提案していけるんです。相談してくれる人にとっての素敵な答えを一緒に探していけるといいな、と思います」(岩城さん談)


 決して自分のやり方を押しつけるのではなく、相手がこれまで学んできたもの、大切にしていることを尊重し、さらに相談相手の良い部分を見つけ出した上で、もっと素敵になれるような提案をする。


 こうしたスタイルは、きっと教えを受ける側にも受け入れやすいのだろうと思います。


 もちろん、岩城さん自身が素敵なセラピストライフを実践していて、それをお客様として見て、感じているからこそ、素直に「教えて欲しい」と言える。


 そんな雰囲気が、岩城さんのサロンにはあるのではないでしょうか。


校長からのメッセージ

 今回は、「SOIN SHUHARI」を運営する岩城里美さんの育成セラピストとしての一面を紹介しました。


 セラピストからだけでなく、異業種の方からも相談が寄せられるというのは、とても興味深いインタビューでした。


「私でいいんですか」と戸惑いながらも、真摯に相談者に向き合って、知らないことは学び、新鮮な目で気づき、親身になってアドバイスをしてきた。


 そして、それが成果を上げているからこそ、「岩城さんに相談してみては?」と紹介された人がアクセスしてくるわけです。


 そして、その繰り返しが岩城さんのセラピストライフとなっている。そして、それはこれからもきっと変わらないのでしょう。


 さて、岩城さんの場合は、とくに人と接する業種において相談を受け、それに答えるという、言ってみれば「よろず相談」のようなスタイルからスクールへと繋がっていきたということが分かりました。


 もちろん、よろず相談とはいえ、守備範囲外の相談もあるはずです。


 こうした問題に対して、岩城さんは「初回カウンセリング(1時間11,000円)」を設けて対応しているそうです。


 本格的な相談に入る前に、講師との相性を見たり、解決の方向性を確かめたりする時間です。


 岩城さんにとっても、相談が自分の守備範囲内かどうかも分かりますし、ちょっとした質問だけなら、この「初回カウンセリング」だけで問題が解決してしまうこともあるようです。


 この「初回カウンセリング」で問題を整理した後で、


  • トータルチェック(3〜4時間33,000円+交通費):個人サロンに出向いて、サロン空間や導線、サロンワークの流れなどについてアドバイスする。
  • オーダーメイドレッスン(3時間33,000円。以降1時間ごとに11,000円):アロマトリートメントやトークセン、フェイシャルなど、ブラッシュアップが必要なスキルについてアドバイスをする。

 というように、互いに課題を摺り合わせながら、納得して進んで行くような仕組みを作っているのです。

 また、セラピストをしている方からの相談で興味深かったのは、「岩城さんのサロンワークの流れ、全体が見たい」というリクエストです。


 お客様をお迎えする前から、お見送るするまでの流れについて知りたいというわけです。


 というのも、客としてサロンに行った場合は、玄関を開けた瞬間からしかサロンワークを見ることができないからです。


 また、着替えている間や施術を受けている最中も、岩城さんがどんな立ち回りをしているか、お客さんとしては分かりません。


「サロンワークの流れが見たい」というリクエストが来るということは、セラピースキルだけでなく、サロンワーク全体に「これを真似したい」と思わせるほどの魅力を感じたということなのだと思います。


 【個人サロンセラピスト編】で紹介したように、岩城さんのサロンが「MASHIRO」から「SOIN SHUHARI」へとリニューアルされたのが、2022年1月です。そこには新しい試みのスタートが込められているはず。


 いずれまた、岩城さんの新しいセラピストライフについて話を聞けることが、今からとても楽しみです。


SOIN SHUHARI

https://www.soinshuhari.com