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澤木知恵子さんのセラピストライフ~自宅サロンセラピスト

2022/10/03
澤木知恵子さんのセラピストライフ~自宅サロンセラピスト

 埼玉県川口市にて11年にわたって自宅サロン「avence(アベンチェ)」を営んでいる澤木知恵子さんのセラピストライフを紹介します。


 澤木さんは、自宅サロン「avence(アベンチェ)」にて、フーレセラピーを中心としたメニューを提供しています。


 フーレセラピーとは足を使ったセラピーテクニック。

 横になったお客様に対して、セラピストは立った姿勢で踏むように足を使うことによって、手の2〜3倍の圧をかけられるそうです。


 深い圧を掛けられるだけでなく、足裏や踵、側面、足底前部などを使いわけて、体の様々な場所ごとに適した圧を加えられるとのこと。


 いわば筋肉をほぐす、リンパを流す、ストレッチなどを行う、手技ならぬ「足技」です。


 澤木さんは、このフーレセラピーとヨモギ蒸しなどを組み合わせたメニューで、お客様の健康維持などのご要望に応える中で、施術後にボディラインが変化してお客様に喜ばれることもあるそうです。


「フーレセラピーは“足踏みリンパマッサージ”とも呼ばれていて、足で凝った筋肉をほぐして、リンパを流す感じですね。ギューッっと圧をかけてから、圧を緩めて流すのが大事なんです。フーレセラピーには、筋肉の深いところほぐす技術があるんですが、それができるようになってから、バストアップとかヒップアップみたいな変化が出るようになりました。自分の技術が高まったことを感じる度に、フーレセラピーっていいなって実感しますね」(澤木さん談)


 普段、私たちは物の触感や温度を感じる時は手で触れることが多いと思います。


 では、足の感度が低いかと言えば、靴の中にホンの小さな小石が入っていても気付きますし、何かを踏んで違和感があると反射的に飛び退いたりもすることを考えれば、足の裏が感覚的に鈍いというわけではありません。


 もちろん訓練次第だと思いますが、澤木さんは足の裏で筋肉凝りや張り、弾力、温度さなど、お客様の体の状態を感じて、施術を調整しているとのこと。


 そんな澤木さんにこれまでの歩みを伺いました。


あ、私はこれでいいんだ。

 子どもの頃の澤木さんはおとなしくて、親しい友人からは「知恵子って癒やし系だよね」とよく言われたそうです。


「ウチは自営一家なんですよ」という澤木さん。お母様は自宅で樹脂粘土を使ったパンフラワー教室を30年以上経営していて、街でもよく知られた存在だったとのことです。


 澤木さんが就職したのも、叔父さんが経営する事業の事務職でした。


 その事務職の傍らで、何か手に職を付けておこうと考えた澤木さんは、友人から「癒やし系」と言われてきたことを思い出して、癒やしの仕事に興味を持ち、雑誌を見ながらいくつかのセラピースクールの資料を取り寄せたそうです。


 その資料の中にフーレセラピーの学校のものもありました。


 そして、お客様をセラピストが足で踏んでいる写真を見て、強い好奇心が湧き、澤木さんは一番最初に体験会に行きました。そこで澤木さんは、衝撃的な体験をしたそうです。


「その頃、事務の仕事をしていて、足がすごくむくんで、毎日毎日つらさを感じていたんですよね。そんな状態でフーレセラピーを受けたら、ものすごく良かったんですよ。脚だけの15分くらいの体験だったんですけど、ドクドクと血が巡る感覚がして。それだけ、自分の血流が悪かったってことなんですけど、何をしたんだろうってびっくりして、気づけば入校を決めていました」(澤木さん談)


 その体験会で、手でグッと体重計を押すのと、足で軽く体重計に置くのを比べて、足の方が簡単に圧が掛かることも、フーレセラピーを学ぼうとしたポイントだったとのことです。


 ただ、実際に練習をしてみると、片脚立ちで、片足の圧を調整する必要があるため、「最初、お尻がめちゃくちゃ筋肉痛になりました」と笑顔で語ってくれました。


 その後、しばらくの間、澤木さんはフーレセラピーを学びながら、事務職を続けます。


 そこで、プライベートでも大きな変化があったこともあり、澤木さんは子どもたちを連れて実家に戻り、そこでサロンを開くことしました。


 お母様から「教室として使っているスペースを一緒に使ってもいい」と提案されたことも大きかったようです。


 こうして澤木さんは、2011年の秋に「avence(アベンチェ)」をオープンさせました。


 開業当初の事を聞くと、「サロンを開けばお客様も来るよねっていう、安易な気持ちで始めてしまいましたね。今思えば、明らかに準備不足でした」と澤木さんは振り返ってくれました。


 オープン前の準備も、経営者としての知識や心構えも不足していたことで、自信も持てないまま手探りで始めたサロン運営だったそうです。


 最初の頃はお客様が少なくて、実家での自宅サロンという環境にも助けられて、澤木さんはアルバイトと掛け持ちしながらサロン運営を続けたと言います。


 このままではだめだと焦りを感じた澤木さんは、近所でポスティングをしたり、ブログで積極的に活動を発信したりして、サロンの認知度を高めようとしました。


 彼女がサロンを諦めなかったのは、そこでお客様と過ごす時間に、他に替えがたい魅力を感じていたからでした。


 ぽつりぽつりと来店してくださるお客様一人一人に丁寧に向き合い、ゆったりとした時間を過ごしていただく。


 普段の何気ない会話から、セラピストだけに話せるプライベートな悩みまで、お客様の心と体に寄り添っている内に、お客様の滞在時間は4、5時間にもなることもあるのだそう。


 白を基調としたサロン空間とともに、澤木さんの「癒やし系」の雰囲気が過ごしやすさになっているのかもしれません。


 そうやって出来ることを丁寧に行いながらサロンを運営して4年ほどが経った頃、日課で近所の神社に散歩に行ったその帰り道で、澤木さんはふと気が付いたそうです。


「あ、私はこれでいいんだ」と。


 振り返れば、少しずつではありながらオープン以来ずっと右肩上がりで来たそうです。


 これまで着実にリピーターを増やし、お客様はもちろん、彼女自身を大切にするスタイルが身についていたのです。


「体の面でも、心の面でも、自分自身がしっかりしてるのが大事だと思います。それが整ってないままにお客様に接していたから、自信が持てなかったのかもしれません。何か不安があったら、それを解決するために、サロンの外でも出来ることがあるんですね。最近、久しぶりにサロンに来てくれたお客様から、施術する私の足が前よりも柔らかく感じられるって言われました。技術が上達したのもあるかもしれませんが、たぶん余分な力が抜けたんでしょうね」(澤木さん談)


 自信のなさや不安が、新しい学びやチャレンジへのきっかけになることもあります。


 もちろん、学びや技術の向上は、自信に繋がるはずです。ただ、どんなに学んでも、自信が持てないセラピストも少なくないでしょう。では、どうすれば、そうなれるのか。


 やはり、今精一杯できることを目の前のお客様に提供しつづけることなのだろうと思います。


 そして、目の前のお客様が喜んでいる姿を見ることや喜びの声を聞くことで、徐々に自分のやってきたことに自信がついてくるのではないでしょうか。


 澤木さんのように、ある時、ふと「私はこれでいいんだ」と思えた、と言う話をセラピストからよく耳にします。


 それはセラピストとして一段新しいステージに上がる瞬間だったのかもしれません。


校長からのメッセージ

 お客様に慌ただしさを感じさせずに、ゆったりと過ごして欲しい。


 そんな思いから、澤木さんはサロンのお客様を女性専用で1日2組としてきたそうです(コロナ禍においては、1日1組にしています)。


 ちなみに、サロンオープン当初、「38歳からのサロン」というようなキャッチコピーを付けていたそうです。


 というのも、澤木さん自身が、子育てが落ち着いて、疲れやすくなったと感じた年頃だったのだそう。


 そして、このキャッチコピーのお陰で、38歳のお客様からの申し込みが増えたそうです。


 女性で40代に差し掛かる頃というのは、体に大きな変化が起き始める時期で、それまでは気力体力で乗り切ってきたのに、無理が利かなくなるという話をよく聞きます。


 そうした時期に、心と体の調子を整えるために、セラピストの知恵や手(澤木さんの場合は足)を借りようと考える方は多いのだろうと思います。


 現在、澤木さんのサロンには、38歳から10年近く通い続けて、今は50代に差し掛かるお客様もいるとのこと。


 そうした皆さんは上手に歳を重ねていて、更年期に悩まされる方はあまりいないそうです。


 1ヶ月に1度、疲れを取るくらいの軽い感覚で澤木さんのサロンに通い続けたことが、自然に功を奏していたのかもしれません。


 実際に澤木さんは「サロンに通うようになって、風邪を引かなくなった」とか、「寝込むことがなくなった」というお話をお客様からいただくこともあるそうです。


 さて、今回、お話を伺った澤木さんは、お母様が長らく教室を運営していて、技術を習得済みの段階で、ご実家にサロンスペースが確保できたという、なかなか珍しいケースです。


 技術もあって場所もあるという状況ですが、もちろん、それだけでスタートから上手くいくわけではない、という現実も聞くことができました。


 澤木さんが言うように、やはり認知をしてもらうことを含めて事前準備は必要ですし、「私はこれでいい」と思えるまでに実践経験を積む期間も必要なのだろうと思います。


 さらに重要なのは、思うようにいかない状況にあっても、セラピストであろうとすることを諦めなかったことではないでしょうか。


 澤木さんは、バイトを掛け持ちしながら、「やることをちゃんとやろう」と1つひとつ積み重ね、リピーターを少しずつ増やして行くという地道な助走期間があって、サロン運営を安定させていきました。


 しかも、2人のお子さんを立派に育てながらということで、本当に素晴らしいことだと思います。


 お子さんたちが社会人として自立すれば、澤木さんの母親として割く時間や労力は軽くなるはずです。


 そこには、セラピストとしての澤木さんが新しい挑戦に向かうきっかけにもなるのではないかと思います。


 澤木さんがこれからどんなセラピストライフを歩んでいくのか。いずれまたお話を伺えることを楽しみに、インタビューを終えました。


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