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東孝子さんのセラピストライフ~育成セラピスト

2022/11/24
東孝子さんのセラピストライフ~育成セラピスト

 鹿児島県鹿児島市にて、14年にわたってオーナーセラピストとして「ビューティーコンシェルジュ ラシュレ」を営み、スクールも運営している東孝子さんのセラピストライフを紹介します。

【サロンオーナーセラピスト】編はこちら


 東さんは、サロンに併設されたスクールにて、8年にわたって後進のセラピストの育成をしています。


 現在は、アロマリンパセラピスト協会の認定校としてアロマリンパドレナージュ(20時間264,000円)などを教えています。


 東さん自らがインストラクターとして指導していて、「1人ひとりの個性を大切にしたい」という思いから、基本はマンツーマンとのことです。


「セラピストがサロンを開く場合、1人でやる方が多いじゃないですか。だから、その方の個性とか生活環境とかを無視しては、成り立たない気がしています。理解の仕方も人によって全然違うので、そこをきちんと見ながら、1つひとつ納得してもらいながら伝えていきたいので、あまりたくさんの方には対応できないんですよ」(東さん談)


 東さんが大切にしているのは、生徒さんの納得。


 東さんは、受講前に生徒さんのプロフィールを見て、どんな背景と思いがあって学びに来るのかを想像して、テキストを見直すようにしているといいます。


 また、専門用語などを分かりやすい言葉にして理解度を確かめながら進めるようにしているといいます。


 時には、強い表現で質問を投げかけてくる生徒もいるとのことですが、東さんはそれを「分かりたい気持ち」の表れだと受け止めて、伝え方を工夫しているとのこと。


 そうした指導スタイルは、講師にとって大きな負担になるはずですが、東さんは「理解していただけると、とても嬉しい」と笑顔で語ってくれました。


 当然、その分だけ生徒さんが卒業すれば、喜びもひとしおだろうと思います。


 東さんはカリキュラムで伝る技術を基本として、生徒1人ひとりの個性を活かしたスタイルを身に付けるように伝えているわけですが、卒業後のアフターフォローとして定期的なチェックを兼ねてお茶会をするようにしているそうです(なお、コロナ禍では自粛しているとのこと)。


「卒業をした生徒さんたちには、必ず自信を持ってお客様に対応してくださいと伝えています。一生懸命施術させていただきますという思いで自信を持って施術をすれば、お客様に届くし、経験を積むうちに、自分の手が教えてくれるようになるので、それを信じてやっていけば大丈夫ですよ、と。それでも、迷った時にはいつでも私の所にいらっしゃい、と生徒さんにはお話しています」(東さん談)


1人ひとりの個性に寄り添って地道に積み重ねていく

 東さんにスクールを始めようと思ったきっかけを聞くと、「何もできない自分をここまで教育していただけたので」と笑顔で答えてくれました。


「何者でもなかった専業主婦の私が、悩みんだり迷ったりしながらもセラピストとして生きてこられたのは、私に技術や理論を教えてくれた人たちがいたおかげです。自分と同じように悩んだり迷ったりしている人が1人でもいるなら、ぜひ、お手伝いたいと思いました」(東さん談)


 東さんにとっては次世代のセラピストを育てることが、自分を育ててくれたセラピー業界への恩返しにもなるということなのでしょう。


 ただ、人を育成するというのは、根気も情熱も必要ですし、向き不向きもあるものです。


 とくに東さんのように、生徒1人ひとりに合わせたスタイルというのは、とても難しいはず。


 彼女が育成に力を注げるルーツは何かと不思議に思い、話を聞いていると、「実は、剣道で小学生に指導をしたことがあるんです」と語ってくれました。


 幼い頃の東さんの夢は、警察官になることだったそうです。


 そして、警察官になるには武道を修めなければいけないと耳にして、男の子に混じって剣道教室に通い始めたということです。


 小中学生の間、夢中で剣道に打ち込み、高校生以降しばらくブランクがあったものの、東さんがお子さんを出産した後、お世話になっていた道場から「しばらく小学生向けの指導者をしてくれないか」という相談があり、剣道を再開。


 東さんは小学生に指導をする一方で、自身の稽古もして、なんと三段を取得するまでに至ったといいます。


 東さんは3年間、子どもたちに剣道を教えて、後任に引き継いだのですが、その直後に教えた子どもたちが地方大会で優勝したとのことで、引き継いだ先生から「東さんのお陰です」と感謝されたそうです。


 子どもたちにとって東さんから指導を受けた3年間は地力を養う大切な期間であって、それが東さんの手を離れた後に花開いたのだろうと思います。


 すぐには結果がでない目標に対して、子ども1人ひとりの個性に寄り添って、地道に積み重ねた成果と言えそうです。


 東さんは、このときの体験が現在、人を育てる際の自信に繋がっているのかもしれないと、振り返ってくれました。


 東さんに育成セラピストとして大切にしていることを聞くと、「これは、セラピストとしてでもありますけど」と付け加えながら、こんな話をしてくれました。


「ビューティコンシェルジュと名乗っている以上、私自身が健康で、背筋がピンとしていて、いつもきちんとした身繕いができてないといけないですよね。人からもそういった目線で見られているので、私は元気で、はつらつとしていて、お肌もつやつやしてないと。だから、自分の健康とか食事とか運動とか、気にかけてます」(東さん談)


「教える立場としても、サロンは継続しておかないといけないなって思いますね。“自分が学んだサロンが無くなった”なんて、説得力がないでしょう? それに、タオルやコットンなどを含めて、サロンで使うものについて、実際に使い続けているからこそ、生徒にお勧めできるのかな、と。そう考えると責任重大で、サロンも頑張って継続しないと、って思います」(東さん談)


 サロンとスクールを併設させてこそ得られる説得力があり、また教える講師やセラピストの立ち居振る舞いも自身の活動に説得力をもたらすものである。


 こうしたプロ意識が、東さんのお話から垣間見えます。


 ある意味、サロンで目指す姿を、自分の身をもって生徒やお客様に示しているとの言えるのかもしれません。


 これまで8年間に渡ってセラピストの育成を続けてきた東さん。


 いつかは、「人を育てる人を育てたい」と語ってくれました。つまり、新たなインストラクターの育成です。


 東さんのスクールを卒業したセラピストたちは、現在はそれぞれがサロン経営に集中しているとのことですが、そのセラピストたちが「育成セラピスト」という新しいステージを目指す未来がいつかくるはずです。


 東さんは「“人を育てる人”を育てることが私の集大成で、それが出来たら引退かな」と笑顔で話してくれましたが、いやいや、きっとその先も、ビューティーコンシェルジュとしての東さんの姿は、後進に刺激を与えてくれるのではないか。ふと、そんなことを考えていました。


校長からのメッセージ

 東さんのスクールには、ホームページから問い合わせがある他、もともとサロンのお客様だった方が生徒になる場合もあるそうです。


 なかには看護師をしているお客様が、病院で使えるスキルの1つとして、アロマリンパドレナージュを学ぶケースもあったとのことでした。


 お客様が生徒になるというのですから、きっと自分が東さんのサロンで癒やされる中で、「これを自分の家庭や職場に持って帰りたい」、「同じ気持ち良さを、自分の周りの人にも分けてあげたい」という思いが芽生えてくるのだろうと思います。


 もう1つ思うのは、お客様が背中を追いたくなるほど、セラピストが魅力的なんじゃないか、ということです。


 生徒がスクールに入校するきっかけは様々ですが、サロンのお客様が「教えてください」と言うのなら、やはりセラピストが格好良かったり、笑顔が素敵だったり、生き方に共鳴したりと、その姿を見て、どこか憧れる部分があるのだろう思うのです。


 そう考えると、東さんが実践しているように、サロンワークとスクールは表裏一体で、セラピスト自身の立ち居振る舞いや生き様が、生徒やお客様が自分もそう成りたいと思う姿に重なるのかもしれません。


 もちろん、セラピストが無理をしてまでセルフプロデュースしていては、長く継続することは難しいでしょう。


 あくまで自然体+バランスを崩さない範囲での向上心を持っているくらいの感じが、実はちょうどいいのではないか。


 東さんを含め、10年以上のセラピスト歴を持つ方々を見ていると、そんなことを思うことがあります。


 とはいえ、その自然体を身に付けること自体が、容易ではないわけですけれども。


 さて、今回の東さんとのインタビューでは、彼女が「警察官に憧れて剣道をしていた」という興味深いエピソードを聞くことができました。


 剣道では姿勢を厳しく指導されると聞いたことがありますから、とても姿勢が良くて、凛とした印象を東さんから受けていたのは、セラピストになる以前の土台として剣道というバックボーンがあったのかと、妙に納得したところです。


 加えて、武道とセラピーではすることはまったく違いますが、人を成長させる、あるいは自分を成長させるというという観点で見れば、どこか似ているのかもしれません。


 武道の稽古では自分の体格に合わせて、得意な事を伸ばしたり、弱点を補ったりするだろうと思います。


 一朝一夕では身につかない技術を、地道に身に付けていく過程も体験するでしょう。


 また、自分が相手からどう見ているのかも重要な要素で、自分を客観視する力も養えるのではないかと思います。


 さらに、生徒の特性をよく見て、1人ひとりに合わせた指導をすることになるはずです。


 そう考えると、今回お話を伺った東さんの育成スタイルと、とても重なるように思えました。


 もちろん、東さんの場合、ご自身の子育ての経験もプラスになっているのでしょう。


 セラピストにとって、どんな経験も糧になるのだなと、改めて思ったインタビューでした。


ラシュレ セラピストスクール

http://www.rassurer-sch.com/