千葉県市原市にて、15年にわたってカウンセリングサロン「PER TE(ペルテ)」を運営し、後進の育成もしている塚原恵さんのセラピストライフを紹介します。
【育成セラピスト編】はこちら
塚原さんが提供しているのは、対面セッションやオーラソーマ、算命学、タロット占いなどの、いわゆるセッションセラピーです。
用いる手法にはそれぞれ特徴がありますが、塚原さんが心掛けている大切な共通点があります。
それは、お客様の悩み事や想いについて傾聴する中で、言葉の裏側に隠されている本質や課題を浮かび上がらせ、ご本人がそれに気が付くように質問を投げかけること。
傾聴と質問を通して、お客様の潜在意識の中にあるボンヤリとした情報を、お客様自らが言語化するまでのお手伝いをしています。
サロンのお客様は、一般の会社員から主婦、看護師、美容師、芸能関係、アスリート、経営者、政治家など幅広く、相談内容も恋愛相談から子どもの将来のこと、さらには事業の先行きなど実に様々です。
そのため、男女比としても男性4割、女性6割と、男性のお客様も意外に多いのが印象的です。
タロットのお客様は若い女性が多く、対面セッションは男性の経営者にも利用されるというように、年齢や性別、仕事などによって、抵抗なく受けられるメニューが用意されているということなのでしょう。
なお、一部、出張サービスも行っている他、メールやオンラインを使った相談もするなど、要望や事情に合わせて応えているそうです。
「私が答えを言うわけではなくて、ご本人の中にある答えが浮かび上がるように、的確な質問を投げかることを心掛けています。セッションで現れたメッセージが『時間差で腑に落ちた』と、驚かれることが多いですね。“あの時の会話はこのことだったのか”って。そういう気づきがあると、現実が前に進んだり、変化が実際に起きるので喜ばれるし、クライアントさんが変わっていくのを見られるので、私も楽しいですね」(塚原さん談)
現在は、コンスタントに相談に来るリピーターさんの他、新規客は既存客からのご紹介やクチコミで塚原さんにアクセスしてくるという、セラピストの活動としては好循環を作れている塚原さん。
彼女が今のスタイルに至るまでの経緯を伺いました。
むしろセラピストになりたくなくなった
塚原さんがセラピストとして活動を始めたのが、今から15年ほど前のこと。それ以前は、接客や教育関連で働いていたそうです。
職場の仲間たちと働くのは楽しかったそうですが、精神的な負担を感じる場面もあり、心のどこかで「いつまで同じ働き方ができるのだろうか」という想いを抱いていたと言います。
色については、ずっと興味を持っていて、副業として天然石を使ったアクセサリーなどを作っていたそうです。
ただ、カラーセラピーについては、20代の頃に1度だけオーラソーマを受けたことがある程度で、現在のような仕事に就くとはまったく考えていなかったと、当時を振り返ってくれました。
そんな塚原さんがオーラソーマと“再会”したのは、ご友人のお姉様がオーラソーマのモニターを探していて、塚原さんにも声が掛かったことがきっかけでした。
懐かしさもあってオーラソーマを受けに行った塚原さんは、「もっと経験を積みたいから人を集めて欲しい」とそのセラピストから頼まれたそうです。
そこで塚原さんは、当時は自宅を新築した頃だったこともあり、新築祝いとして知り合いに集まってもらい、そこでオーラソーマの体験会をしてもらうことを発案しました。
そうした経緯で懇意になったオーラソーマ・セラピストから、「アクセサリー作りに活かせるよ」と誘われて、塚原さんはカラーセラピーを学び始めます。
「改めて色について学び始めると、当時、偶然に作っていたアクセサリーの色が、その時の私に必要な色だったと分かってとっても驚いて。私のために勉強するべきものなんだと。その頃の職場が精神的な負担も多かったので、カラーセラピーに助けられたところもありましたね」(塚原さん酸)
こうしてカラーセラピーを学び始めた塚原さん。
「それですぐにセラピストになろうと思ったんですか?」と私が聞くと、なんと「勉強して理解が深まったら、むしろセラピストになりたくなくなっちゃったんです」と笑顔で塚原さんは答えてくれました。
というのも、相手が選んだ色の意味を伝えることで、どこか相手を誘導してしているような気がしてしまい、そこに強い拒絶感があったというのです。
自分の発言が、もしかすると人の行動を左右するかもしれないと重い責任感を感じていて、セラピストの道から遠ざかろうとしていたようです。
しかし、不思議なことに、彼女はセラピストの道へ誘われていきます。
職場の同僚や後輩たちが、塚原さんがカラーセラピーを学んでいると聞きつけて、「やってほしい」と集まってくるようになったのです。
ただ、当時の塚原さんは、色を選んでもらった後に教科書を見せて対応することで、自分の口から色の意味を伝えるのを頑なに拒んでいました。
それにも関わらず、「塚原さんはセラピストに向いている」「塚原さんからなら習いたい」と喜んでもらえたとのこと。
それでも覚悟が決まらない塚原さんに、彼女の先生から「とりあえず、50人にセッションしてみよう」と提案がされます。
塚原さんは、先生から期待されていることを感じながらも、「やってダメならセラピストにならない理由になる」と考え、50人に無料セッションすることにしました。
当初は、50人達成には年単位で掛かると思っていたそうですが、なんと塚原さんは半年で目標を達成します。
しかも、これはリピーターを含まない人数。
塚原さんは「結構、サラッとできちゃったんです」と振り返ります。
そして、このチャレンジが、塚原さんの頑なな心を溶かすことになりました。
「50人にセッションする中でリピートしてくれる人もいて、だんだんと教科書を見せるのでは何か申し訳ないな、と感じるようになりました。それに、色を選んだご本人に“どう感じているか”をよく聞くようになったんですよね。すると、私はアドバイスをしなくていいんだ、私が必要以上に責任を感じなくてもいいんだ、と思えるようになりました」(塚原さん談)
さらに、無料セッションを受けた方から「無料ではむしろ何度も頼みづらい」と言われたこともあって、塚原さんは有料のセッションをするようになり、ならば屋号も、というように、まるで何かに導かれるように塚原さんはセラピストの道を歩み始めます。
近くに滴を落とすように
聞けば、オーラソーマ以外の、タロットや算命学なども、人とのご縁の中で、導かれるように出合ってきた彼女。
そして、クチコミや紹介によってクライアントが増えていき、相談に応えている内に、塚原さんは現在のスタイルで活動するようになったということでした。
「振り返ると、今の活動をするように運ばれてきたような感覚がありますね。“私が持ってたのに忘れていたもの”を思い出させてくれて、有効に活用できるようになれたのは、これまで出会った方々のお陰なんですよ。人とのご縁が、私を“ここ”に運んできてくれたようで、とにかくありがたいと感じてます。この活動でクライアントさんが変わっていくのを見られるのは楽しいですし、そのご縁によって私自身も成長させてもらってきたんだと思います」(塚原さん談)
最後に、塚原さんに「セラピストとして大切にしていること」を聞くと、彼女は笑顔でこんな話をしてくれました。
「セラピストとして活動しようと考え始めた頃に、大きな目的を設定しておこうと思いました。それが“心の世界平和”。そのためにできることを、近いところからしていこうと考えました。いきなり遠くにではなく、近くに滴を落とすように。その感覚を大切にしてきたからこれまで続けて来られたし、これからも忘れないことが一番重要なことだと思います」(塚原さん談)
水面の上に、滴が一滴落ち、徐々に輪となって広がっていくように。
それは、塚原さんご自身の歩み方でありながらも、セッションを受けるクライアントにも自然に伝わっていて、心が望む方向へ変化を起こすための指針になっているのかもしれません。
校長からのメッセージ
塚原さんのサロン名のPER TE(ペルテ)とは、「親愛なるあなたへ」という意味のイタリア語が由来。
広告は出していないそうですが、既存のクライアントさんからのご紹介で、新しいクライアントさんが訪れるという、とてもよい循環にあると言えます。
ネットからのお申し込みがあっても、知り合いから聞いたとか、「友人に相談をしたら、ここを紹介されました」というように、結局は人とのご縁がきっかけになっているようです。
ちなみに、冒頭に紹介したように、塚原さんがセッションで使う手法はいくつもあります。
ですから、何をどう相談すればいいのか迷ってしまった場合、まずは対面セッション(90分11,000円、120分13,000円)に申し込むことで、その方に合った方法を探すこともできるようです。
さて、今回インタビューをしている中で私が不思議に思ったのは、塚原さんが自ら強く望んでセラピストの道を歩み始めたわけではないということ。
まるで導かれるように人と出会い、セラピースキルを学ぶ機会を得て、クライアントに求められてきたように思えるのです。
一般的にセラピストになるきっかけとしては、施術を受けて感動したり、セラピストに憧れたり、手に職を付けたいと考えたり、人を癒やす人になりたいと思ったりと、明確な意志があってセラピストの道を歩み始めるといったケースが少なくありません。
塚原さんのように、どこか受動的に、流れに乗るようにセラピストになっていったというのは、始めは少し珍しいように思えたのです。
しかし、よく考えてみれば、「将来○○になりたい」とその職業を目指さなくても、好きなものを突き詰めているうちに、あるいは、人からの求めに応えているうちに、いつの間にかそれが仕事になることもある。
塚原さんの場合、ご本人の自覚とは関係なく、周囲の人間によって何かしらの能力が求められたことで、セラピストの道へと運ばれていったケースといえそうです。
インタビューをしていても、彼女の人当たりの良さや、会話の中の紡ぎ方にも独特のものが感じられましたから、そうした特徴が周囲の人に求められたのかもしれません。
ただ、セラピストのような仕事を自然に求められたからと言って、それが簡単な道だったかと言えば必ずしもそうではないことも、塚原さんの話から伺えます。
塚原さんは、セッションで得られたメッセージを自分の口から伝えることに、とても強い抵抗感があったことを話してくれました。
抵抗感があるのに相手からそれを求められるのですから、辛さや悩みもあっただろうと思います。
これは、セッションセラピストがぶつかる壁の1つとも言えます。
自分の言葉が人に影響を及ぼしてしまうことへの恐れ。
相手の生き方に対し軽々に口を挟めないというリスペクトの気持ち。
あるいは、「自分がアドバイスしていい立場なのか」という違和感。
これらが、心理的な抵抗になって、駆け出しのセッションセラピストたちの口を重くするのかもしれません。
当初、塚原さんは50人にセッションをする中で、「自分がアドバイスする必要はない」「話を聞き出すための質問ができればいい」という、彼女なりの解決策を見つけ、心理的な抵抗感を軽くすることができたのだと思います。
もちろん、同じ考え方が全てのセラピストに当てはまるわけではありませんが、セッションをしているセラピストのみならず、お客様とのやりとりにほんの少しの抵抗感を持っているような方にとっても参考になるお話なのではないでしょうか。
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