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荻野正子さんのセラピストライフ~個人サロンセラピスト

2023/01/31
荻野正子さんのセラピストライフ~個人サロンセラピスト

 東京自由が丘にて、「Plage totonoel(プラージュ トトノエル)ボディセラピー サロン&スクール」を営んでいる荻野正子さんのセラピストライフを紹介します。


 サロン名の「Plage」とは、浜辺という意味のフランス語。荻野さんはサーフィンを趣味に持っていて、このサロン名にはお客様に海に来た時のようにリラックスして欲しい、という願いが込められています。


 リゾート地のビーチハウスをイメージした、白を基調としたサロン空間に、お客様をお迎えしています。


 荻野さんはここで、ボディ、フェイシャル、ヘッドのトリートメントなどを提供していて、とくに頭の先から全身をトータルで整えるメニューを提案しています。


「体は、頭のてっぺんから爪先まで、皮膚と筋肉でできた一つの衣に包まれているので、全身に施術するのと、部分的にするのとでは、結果も違いますし、お客様に体感も違ってきますね」(荻野さん談)


 荻野さんのサロンには、男女ともに経営者などの社会的地位のある方も多く通って、日頃のパフォーマンスの維持するための、定期的な心身のメンテナンスとして利用しているといいます。


 お客様は、最初こそ何かしらの不調があってサロンに来るものの、施術を受けると楽になる、体が元気になる、パフォーマンスが安定することなどに気付いて、定期的にサロン通うようになるのだそうです。


 荻野さんが施術で心掛けているのは、お客様のお体と話をするという意味での「体話」です。


「忙しい日々の中で、自分を振り返ることのできない方がすごく多いと思います。私は、心と体の繋がりにも重きを置いていて、しっかりした圧の施術の中で、お客様も気づいていない身体の状態だったりとか、無意識に見ないようにしている心の状態などに気付いていただけるよう、お客様と一緒に『体話』するようにしています」(荻野さん談)


 お客様には、「今までに味わったことない体感」「すごく体が楽になる」「頭もすっきりする」「体が良い状態に保てる」「よく眠れる」と喜ばれるそうです。


 彼女がどのような経緯でセラピストになり、そしてどのように自分のスタイルを身に付けてきたのか。これまでの歩みを伺いました。


楽しいが原動力

 荻野さんは大学卒業後に海外留学し、帰国後に外資系企業に勤めます。


 所属していたのは、マーケティングやブランディングなどを扱う部署。


 そこは働きやすい環境だったそうで、荻野さんは出産後も子育てをしてながら、長年働き続けることになります。


 その頃の彼女にとって、マッサージはしてもらうものであり、自分の仕事にするという発想は一切なかったと言います。


 そんな彼女に気持ちの変化が現れたのは、お子さんが小学校中学年になり、手が掛からなくなってきた頃のこと。


 ふと、自分の将来を考えた時に、今の働き方を続けるイメージが湧かなかったのだそうです。


「一緒に働いてた上司の女性に、50代でバリバリ働く方がいたんですけど、じゃあ、自分が50代になった時に同じように働くのかと考えた時、その姿が想像できなくなくて。それで、何か次のステップに進みたいという気持ちになって、改めて自分探しの旅を始めたんです」(荻野さん談)


 それから、荻野さんは興味のあるものを次々と学びに行きます。


 しかし、「突き詰めたいものには、なかなか出合えなかった」とそうです。


 その頃、荻野さんが人の体や健康について関心を持つようになった、2つの大きなきっかけとなる出来事が起きます。


 1つは、彼女のお母様が突如倒れ、緊急入院したこと。


 母親を失うのではないかという恐怖で、荻野さんは人知れず泣きながら、お母様の入院生活を支えたそうです。


 幸い、お母様は一命を取り留め退院しましたが、入院をきっかけに極度の冷えなどの不調が出るようになってしまいました。


 もう1つの大きなきっかけは、お母様の闘病時期と重なるように、荻野さん自身が健康診断で”要検査”になったことでした。


 精密検査の結果、経過観察のみで今も過ごしているそうですが、ご自身も死の恐怖を感じ、とても不安だったと、当時を振り返ってくれました。


 そうした不安感に立ち向かうために、彼女がとった選択。


 それが、「体のことを学ぶ」ということでした。


「体のことを勉強すれば、不安がなくなるかもしれない。それに、母のためにできることも、自分の健康のためにも、できることが何か見つかるかもしれない。そう考えたんです」(荻野さん談)


 何か体についての勉強をしよう。そう考えた時に思い出したのは、荻野さんが産後に受けたフットセラピーのことでした。


 聞けば、お子さんを出産した後、寝不足が続いて体調をひどく崩した時期があったそうです。


 その際に、知り合いから紹介されたフットセラピーを受け、足にしか触れていないのに不調が改善されていったという経験があったのです。


 そのフットセラピーサロンがスクールも運営していることを知り、荻野さんはそこに通い始めます。


 そのスクールではフェイシャルとボディのトリートメントについても基本的な学びができ、荻野さんの興味が広がっていきました。


 その頃、彼女はまだ会社に勤めていましたが、同じように不安と戦っている人の役に立てるのではないかと、ゆくゆくは独立開業したいとも考えていたそうです。


 ただ、スクールを卒業して、いざ独立を考えた時に、技術的な面でも、経営的な面でも、不安を感じていた荻野さんは、インターネットや書籍で情報収集をします。その中で、ある書籍(※後述)と出会います。


 そして、そこからセラピーを学び、自信を持ってお客様に提供できる技術を身に付けた荻野さんは、東京自由が丘に「Plage totonoel(プラージュ トトノエル)ボディセラピーサロン」をオープンさせたのです。


 サロンをオープンしてからの日々を振り返って、荻野さんは「あっという間のようでいて、とても濃い毎日」と表現してくれました。


 セラピーを通して、人との良縁に恵まれ、たくさんの人と関わることで世界が広がっていったそうです。


「長くお付き合いのあるお客様とは家族みたいな感覚になっていて、セラピストとして最後の最後まで添い遂げる覚悟です。いつまでできるんだろうって、お客様とも笑いながら話すんですけど、この先もずっと、おばあちゃんになっても、お客様のお体を見守っていきたい。そのくらいに大切に思っています」(荻野さん談)


 私が荻野さんに「セラピストとして活動する上で大切にしていること」を聞くと、彼女は「まず楽しむことね」と笑顔で答えてくれて、こんな話をしてくれました。


「人生のモットーが『楽しいが原動力』なんで! 自分が楽しかったり元気だったりしないと、人に楽しんでもらうことも、元気することもできないと思うんです。私は、今でもお客様と触れ合うのが楽しみでしょうがないんです。お体を元気にするのはもちろんなんですけど、お客様も一緒にワクワクしてもらいたいと、いつも考えています。楽しんで仕事をさせてもらってる今の環境が、すごくありがたいですね」(荻野さん談)


 今回、お客様をサロンにお迎えする楽しみを、笑顔で話してくれた荻野さん。


 よく晴れた日の、オフショアの風が吹く浜辺で、打ち寄せる波を見る時も、彼女はきっとこんな笑顔をするんだろうな。


 インタビューの中で、私はふと、そんなことを考えていました。


校長からのメッセージ

 現在、荻野さんは、講師としての活動の比重が増しており、サロンでの施術については基本的に昔からのリピーターさんのみになっているとのこと。


 新規のお客様については、彼女のスクールを卒業したセラピストにお任せする形を取っているということでした。


 荻野さんは、自分のスクールを卒業した、確かな技術を持っているセラピストに、現場経験を積む場と機会を提供したいと考えて、「Plage totonoel」での経験を経て、独立開業したセラピストもいるそうです。


 さて、荻野さんのこれまでの経緯をご紹介する中で、彼女がセラピストとして大きく飛躍するきっかけとなった書籍があった、というお話をしました。


  その書籍というのが、実は拙著『即実行! オンリーワンのセラピストになる!』(BABジャパン刊)


 たくさんのセラピストにご協力をいただいて完成させた書籍だったこともあり、実際に本書がお役に立てたというお話を伺えたことは、本当に嬉しい限りです。


 この書籍が発行されたのが、2012年11月でした。


 オンリーワンのスタイルで活動するセラピストたちをご紹介させていただいたのですが、それぞれの「オンリーワンらしさ」をどう表現するか、そして、「どんな情報を載せれば読者(セラピスト)の役に立てるのか」を、担当編集者と打ち合わせをしたことが思い出されます。


 例えば、出張スタイルで用意する物品をご紹介したり、セッションセラピストのデスク周りをイラストで解説させていただいたりと、個性的なセラピストさん達をご紹介するために工夫をしました。


 その中で、特に荻野さんの目に留まったのは、あるセラピストの月間スケジュールだったとのこと。


 そのセラピストは海外でも活動しており、留学経験のある荻野さんにとって、「セラピストでも海外にいくこともあるんだ!」という発見があったそうです。


 また、生徒さんへの向き合い方も共感するところが多く、自分のロールモデルとなるセラピストと出会ったことを、荻野さんは話してくれました。


 拙著が役立ったことを私自身も嬉しく思いますが、ここで注目すべきは荻野さんの行動力です。


 荻野さんが師事したセラピストは、当時九州地区を中心に活動している方。荻野さんは東京に住んでいて、当時はお子さんが小さい頃でした。


 それでも、と思い切って連絡を取り、学べる方法を相談したそうです。


 情報を探し、継続して学べる環境を作り、そして実際にサロンオープンにまで繋げる。


 書籍にせよ、インターネットにせよ、それらはあくまできっかけの1つでしかありません。


 結局のところ、得た情報から具体的に行動に起こすのは、セラピスト自身なのです。


 私が荻野さんに、後進のセラピストへのアドバイスを求めた時も、「やりたいと思ったらGOって感じです!」と笑顔で答えてくれて、こんな事を話してくれていました。


「自己完結でいろいろ考えて、自分をストップしてしまう人って少なくないと思うんです。考えるだけじゃなくて、何か一つでも行動を起こす。最初は、自分がしたいことを人に話してみるだけでもいいかもしれません。みんな、可能性を秘めてると思うので、自分で諦めないで、まずやってみる。それだけでも道が開けてくると思います」(荻野さん談)


 行ってみないと分からないし、行ったからこそ見える景色があります。


 ずっと波を見ながら、サーフィンのハウツー本を読んでいたって、分からないことだらけ。


 きっと、思い切ってテイクオフすることの繰り返しによって、自分のスタイルも分かってくるし、本当の楽しさも分かるのではないでしょうか。


 実際に行動を起こさないと楽めない。


 そういう意味では、サーフィンとセラピストライフは重なる部分があるのかもしれない。


 荻野さんの話を聞いていて、そう思いました。


ホームページ

https://plage-totonoel.com/