熊本県熊本市にて10年以上にわたって自宅サロンでのタッチセラピーの施術と指導の他に、親子を対象とした社会活動に取り組んでいる、マツモト サオリさんのセラピストライフを紹介します。
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マツモトさんは、熊本県熊本市の自宅サロンにて、7年にわたってスクールを運営しています。
そこで開講されている「タッチセラピーレッスン」には、プロのセラピストを目指す人だけでなく、看護師や介護士などの医療従事者も通っているそうです。
指導法はマンツーマンスタイルで、サロンの予約状況と生徒さんの都合を合わせたスケジュールで授業が行われます。
授業は、1回3時間×12回の36時間を8ヶ月ほど掛けて行うことを基本としていますが、生徒の習得の進み具合を見て、1年くらいかけて指導をすることもあるそうです。
以前は解剖生理などの学習のためにテキストを使っていたこともあったそうですが、より知識が身になる方法を模索した結果、今は実技の習得に合わせて実践的に教える形としています。
セラピストとしての成長によって、教える内容の質も量も高まって
マツモトさんがレッスンを始めたきっかけは、お客様から求められたことから。「最初の頃は自信もなくて」と当時を振り返る彼女。
しかし、サロンで提供している手技が経験と共に向上していく中で、マツモトさん自身が“自分の手技が大好き”と心から思えるようになったそうです。
それをレッスンでしっかりと伝えるためには十分に時間かけて経験を積んでもらう必要性があると考えるようになり、今の指導スタイルになっていったそうです。
レッスンを始めたいセラピストへのアドバイスを求めたところ、「これは収益的には逆行するかもしれませんが…」と前置きをした上で、「待つこと」の大切さについて話してくれました。
「教える側としては、カリキュラム通りに次々と新しいことを教えたくなります。ですが、表面的にではなくて、本当の意味で理解してもらうには、時間がかかったり、繰り返し経験しなければならないことがあります。だから、その生徒なりの答えが出てくるまで待つ。それを大切にしています」(マツモトさん談)
そうしたプロセスを経ることで、次のステップに移行したときに、生徒の成長をすごく感じられるそうです。
今後は、レッスンを修了した人たちへのサポートを充実させていきたいとマツモトさんは言います。
というのもまだ自信がなかったり、たとえばSNSで発信することが苦手だったりして、せっかく身に付けたスキルを活かせていないことがあるとのこと。
「1人1人に寄り添って解決法を一緒に考えてきたい。背中をそっと押してあげられる役割でいたいです。」と笑顔で話してくれました。
校長からのメッセージ
マツモトさんのレッスンに通う生徒さんの多くがサロンのお客様だそうです。
ただ他にもブログなどを見たり、イベントなどで出会った人がレッスンを受けに来るとのこと。
レッスン料は380,000円。最低8か月間という期間を一人ひとりの成長に合わせて指導が受けられるということは、プロのセラピストとして、またそれぞれの職域や場面の中で第1歩を踏み出すためにとても重要なことです。
「実はたくさんの生徒を募集したいという思いは、あまりありません。それよりも、生徒一人一人に繊細なところまでしっかりと伝えていきたいと考えています」(マツモトさん談)
こうした指導スタイルは、マツモトさんがサロンでお客様に“自分が大好きな手技”を提供するように、レッスンを受ける生徒にも“自分の大好きな手技”を分かってもらいたいという気持ちの表れなのでしょう。
だからこそ、「待つこと」をいとわず、生徒の成長を見守ることができるのだと思います。
マツモトさんの元にはホスピタリティ精神のある人が生徒さんとして多く学びにきていると言います。
セラピストが提供する技術は、機械的に手順をなぞれば良いというだけのものではありません。技術に相手を大切に思う気持ちがともなった時に、その気持ちが言外に相手に伝わり、お互いに癒やし、癒やされる関係性が成り立つのではないかと思います。
「ホスピタリティ精神」とは、そうしたことを感覚的に理解できる素質のひとつ、と言えるのかもしれません。