現役の看護師として働きながら自宅サロンを経営し、さらにセラピストの育成や、セルフケア講座を開講している、高橋かおりさんのセラピストライフを紹介します。
【自宅サロン】編はこちら
高橋さんは、東京都調布市に自宅サロンsalon結 にて、3年にわたって育成活動を行っています。
ハーブボールセラピスト協会認定校として、ハーブボールセラピスト、セルフケアアドバイザーを育成しており、これまでに受講生は50名を超えています。
また、女性の健康や、更年期の体との付き合い方について教える単発のワークショップを開催しており、オンラインや対面を含めてこれまで200名を超える受講生とつながってきました。
さらに、新しく長期プログラムとして「女性の健康に関するセルフケア講座」を始めています。
自分の体のことをもっと知って欲しいとの思いから
高橋さんがスクールを始めたきっかけは、ハーブボールセラピストの仲間から勧められたことだったそう。
「きっかけを与えてもらえて、素直に“やってみようかな”と思えた」と高橋さんは振り返ります。そして、育成活動を始めてみると、その面白さを実感できたのだそうです。
聞けば、総合病院に看護師として勤めていたころに新任者教育をずっと任されていて、アロマセラピーのスクールでアシスタントをした経験もあるのだそうです。
もしかすると、彼女の周りの人が、高橋さんの教育者としての適正を感じ取っていたのかもしれません。
オリジナルのワークショップや講座については、高橋さんはコンテンツをゼロから作ったとのこと。「すごく大変でした」と実感のこもった顔で話してくれました。
教える内容としては、女性の体の仕組みや、更年期に気をつける病気、婦人科の知識の活用法など。
どんな未来を切り開いていくかという、気持ちを前向きにするテーマも扱います。
「婦人科外来にいると、自分の体のことを分かっていない人が、いかに多いかが分かるんです。自分の体のことを知って、予防や対処ができるようになれば、かなり辛さは変わるものなんです」(高橋さん談)
ワークショップには、医学や生理学の知識が浅い方も受講するので、高橋さんは「正しい知識を楽しく、わかりやすく伝える」ことを工夫しています。
そして、大切なことを体系的に教えていきたいと考え、長期講座を始めたとのこと。
こちらの講座には、助産師やセラピスト、鍼灸師、学校の養護教諭など、すでに何らかの職業能力を持っている方が多いそうです。
つまり、自分の職業能力と、高橋さんの教える内容を掛け合わせることで、「もっと誰かの役に立ちたい」と願う人たちなのだろうと考えられます。
「私が経験したこと、婦人科で得てきた大切なことをお伝えすることで、同じ方向を向ける仲間が増えたらいいな」と高橋さんは講座に込めた気持ちを、楽しそうに教えてくれました。
今後のスクール運営について聞くと、「これからも知識も技術も高めていきたいし、自分の人間性も磨き続けていきたい」と笑顔で話してくれました。
講座をするだけではなく、生徒や卒業生をサポートする方法についても考えていきたいそうです。
校長からのメッセージ
【自宅サロン】編でもお話ししましたが、高橋さんはセラピストと看護師を両立させていることに特徴があります。
その特徴は、ワークショップや講座を開催する場合にも、受講生に信頼感と安心感を与える要素になるだろうと思います。
また、婦人科のクリニックで得た情報を、直接生徒に伝えられることも、強みなっているはずです。
たとえば、医療現場で新しく行われ始めたことがあるとしても、その情報が分かりやすいように噛み砕かれて、一般の人に届くまでには、通常はけっこうな期間がかかるものです。
ですが、高橋さんが現場に立ち続けることで得られた新しい情報は、整えられて生徒に届くようになります。
また、「人を癒やすセラピストにも、自分を大切に思ってほしい」という願いが、高橋さんの講座の根底にあるのも忘れてはいけないことだと思います。
自分を大切に思わない働き方がやがて大きなトラブルになることも、好きな仕事も続けられなくなることも、高橋さんは自身の体験から分かっているからです。
だからこそ。セラピストが健康であることの大切さも伝えたいと考えているのでしょう。
「自分の心と体の状態が良くなければ、良いセラピーは提供できない。それを受講生に伝えながら、同時に自分自身に言い聞かせてもいるんです。自分を整えておくことは、これからの私にとっても課題だと思っています」(高橋さん談)
セラピストは「困っている人のために何かをしたい」という思いをエネルギーに転換できる素晴らしい人々が多いのではないでしょうか。
ですが、それらが心と体に負担を溜め込みやすいことにつながりかねません。
そう考えると、「自分を大切に」という言葉は、セラピストライフを無理なく長続きさせるための安全装置になるのかもしれません。 さらに言えば、それぞれのセラピストが「自分らしさ」をセラピーの中で表現するためにも大切な、羅針盤のようなものになるかもしれない。
そんなことを考えさせられたインタビューでした。