札幌を中心に道内の様々な地域でパーソナルトレーナーとして活動し、また高齢者向けのデイサービス施設でセラピーを提供している、山田桃世さんのセラピストライフを紹介します。
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山田さんは、「背骨コンディショニング協会」に所属するパーソナルトレーナーとして、これまで6年ほど活動を続けています。
背骨コンディショニングとは、山田さんによると、
「凝り固まっている神経や関節を緩めて、背骨を自分で矯正して、背骨を支えるための筋肉をつけるトレーニング」
とのこと。
ヨガマットの上で寝そべったままできる運動も多く、高齢者にも無理なく姿勢改善や健康維持、不調解消ができるため、山田さんの講習には40代から80代と、幅広い年代の男女が参加しているそうです。
山田さんは、札幌、岩見沢、石狩、千歳などで、地域の文化センターや区民センターを会場にグループレッスンを開いています。
その他にも、個人宅やレンタルスタジオなどでパーソナルレッスンも行っているので、週に5日を忙しく走り回っているそうです。
これは比喩ではなくて、1日に何カ所も移動することがあるそうで、道内を車で走り回っているのです。
こうした活動を始める以前、山田さんはセラピストとして自宅サロンを運営していました。
セラピストからパーソナルトレーナーへと転身した経緯について伺いました。
自信を持って伝えられるセルフケア
もともと彼女は北海道で生まれ育ちですが、大学は東京にある日本女子体育大学の体育学部に進学しました。
つまり、運動のプロフェッショナルや指導者になるべく上京したわけです。
しかし、東京に移り住んだことがきっかけで、山田さんの体質は大きく変化してしまいます。
気候が変わったことと、生活のリズムが崩れたことで、体が冷えるようになり、体質が変わってしまったといいます。
体育館が寒くて、トレーナーが脱げない。どんなに運動しても体は温まらないし、汗もかけない。
そんな状況に、彼女は体質改善の必要性を痛感します。
そこで、山田さんはボディケアサロンに通うようになり、体質が改善されていく実感を得るとともに、セラピーへの興味を深めていきます。
こうした経験から、大学卒業後、山田さんはボディケアサロンに就職します。
これが彼女のセラピストライフの始まりとなります。
東京のサロン勤務で経験値を積んだ山田さんは、札幌の実家に戻り、自宅サロンを開業します。
最初は、家業を手伝いながら、サロン経営で独り立ちを目指したそうです。
ただ、しばらくしてご両親が家業を畳むことになり、スポーツクラブに勤めるようになります。
山田さんが「背骨コンディショニング」と出合ったのは、このスポーツクラブでのことでした。
スポーツクラブで背骨コンディショニングの体験レッスンが行われることになったのです。
「背骨の歪みは万病の元」と書かれたポスターに「なんだこれは?」と驚きつつも、興味を惹かれた山田さんは、体験レッスンとベーシック講座に参加しました。
そして、衝撃を受けた彼女は、その場で「インストラクターになろう」と心に決めたそうです。
「振り返ってみると、セラピストとして活動していても、どこか自分の施術に不足を感じていました。自信と確信を持ってお客様に応えられていないような気がしていたんです。それに、お客様の不調を根本から改善するには、1ヶ月に1回のメンテナンスでは追いつかないという思いもあって、自信を持って伝えられるセルフケアを探していたんです」(山田さん談)
このレッスンを待ってくれる人がいる
こうして背骨コンディショニングに惚れ込んだ山田さんは、パーソナルトレーナとして活動できるまでになり、前述したように現在は道内を文字通り走り回ってレッスンを行っています。
1時間をかけて会場へ行き、1時間ほどのレッスンをしたら、また1時間移動するような、聞くだけでも疲れそうな活動スタイルを、山田さんは6年も続けています。
そのエネルギーがどこから出ているのかが気になり、私は継続に必要なことを彼女に聞きました。すると、
「このレッスンを待っている人がいると思うと、行こうと思えるんです」と笑顔で答えてくれた後、「継続すること」の重要性を強く感じていることを語ってくれました。
「1回では関係性も築けないし、筋肉はつけるのに時間がかかるもの。トレーナーとしては、参加してくれる方に寄り添うように応援していきたいと思います。人に寄り添いたいと思うのは、やっぱり私の中身はセラピストなのかな?だからこそ、この活動を続けたいと思うし、また続けていくためにどうしたら良いかを常に考えています」(山田さん談)
これからは、インストラクターを育成して、教室の開催ができるところまでフォローしていきたいと考えているそうです。
「インストラクターが増えれば、私だけでは出会えない人がこのトレーニングとつながれるはずです。そして、そこに通う人がトレーニングを通して元気になれば、その向こうにいる人も元気になるはずなんです」そんな未来のことを山田さんは少しはにかみながら話してくれました。
校長からのメッセージ
彼女自身が主催する教室も、地域の自治体から依頼される教室も、参加費は1回1,000円と、参加と継続がしやすい価格設定です。
だからこそ、多くの方に日常的に参加してもらえて、参加者の健康維持と体質改善につながっていくのでしょう。
なお、教室1回につき、5名から20名ほどが参加するそうです。
つまり、収益という観点では、あまりに参加者が少ないと、移動時間と費用を考えると足が出る可能性もあります。
この点についても、山田さんは継続性を常に意識していて、新しく教室を開くときには、まず体験会を開いてみて、どのくらいの参加者が集まるかをみるといいます。
継続ができなければ、講師と参加者のどちらにとってもメリットが少ないので、このあたりの判断は頭を悩ませることでしょう。
とはいえ、現在の山田さんは、これ以上は教室を増やせないほどにフル回転しているので、6年間で着実に教室と参加者を増やしてきたという現実が、そのまま彼女の実績を表しているように思えます。
これにはメソッドの持つ魅力はさることながら、一人ひとりを大切に思う山田さんのセラピストマインドこそ、多くの参加者を引きつけ、つながりや広がりとなっていることも見逃す事のできない大切な要素なのだと思います。
またSNSなどでもアメブロやFacebookなどその活動を広く伝え続けています。
その積み重ねは出会いのきっかけとなり、拠点が増していくことにも繋がっています。
ちなみに、最近メジャーリーグのダルビッシュ有選手が「背骨コンディショニング」を実践し、ネットで配信したことで、知名度が高まっているそうです。
さて、一般的に健康の3大要素は、休養、食事、運動であると言われています。
山田さんは、運動のスペシャリストになるべく大学に進みましたが、休養の要素によって救われ、セラピストになりました。
その後、再び運動系の健康法に出合ったことで、自分の道を見出します。
これは、回り道をしたようでいて、その実、「止揚」であるように思われます。
つまり、いったん運動から離れ、セラピーという休養系のメソッドを深く学んだことで、運動の重要性がよりはっきりと見えたのではないかと。
あるいは、山田さんの生来の性質とフィットするスタイルへと立ち返ったともいえるかもしれません。
インタビューに答えてくれる山田さんは、ずっと笑顔でイキイキと自分の活動について話してくれました。
活動の継続は大変だと思いますが、今後はぜひ同じ志を持つ後進たちを育てて、さらに多くの人に元気を届けて欲しいと願いつつインタビューを終えました。
山田桃世