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水木杏香さんのセラピストライフ〜個人セラピスト

2022/03/02
水木杏香さんのセラピストライフ〜個人セラピスト

 山口県宇部市にて8年にわたって、オリジナルの占い「五気調整術」を用いたセラピーを提供しつつ、セラピストの育成をしている、水木杏香さんのセラピストライフを紹介します。

【育成セラピスト編】はこちら

 

 水木さんが行う「五気調整法」は、四柱推命と陰陽五行論に、様々な健康法を組み合わせたオリジナルメソッド。

 

 その概略としては、お客様の生年月日などの情報をもとに四柱推命によってその方の人生の流れを把握し、現在置かれている状況との差異やアンバランスを見極めて、五行論に基づいたセッションをするというもの。

 

 セッション内容は、薬膳やアロマ、リフレクソロジー、経絡などを用いた具体的なアクションであり、それによって五行の気のバランスを調整するそうです。

 

 つまり、四柱推命と陰陽五行論のような古来から伝わるフォーマットに、現代人が生活の中に取り入れやすい要素を取り入れたメソッドと思われますが、それに留まらず、人生の捉え方を変える哲学や、心の平穏を取り戻す心理学のような側面も持っています。

 

 お客様は男性女性が半々で、年齢も幅広いそうですが、とくに40代から60代のお客様が多く、人生における転機について相談に訪れるとのことです。

 

 水木さんの事務所で行うこともあれば、イベントへも出店しているとのこと。

 また、現在はオンラインでの相談も受け付けているそうです。

 

 一般に占いというと、“当たるか、当たらないか”がフォーカスされがちです。

 

 ですが、水木さんのお客様は、人生の節目や転機に際して「自分の意思や決断が間違っていないか」を確かめにくるということですので、一般的な占いのイメージとは少し違うように思えます。

 

「転機というタイミングには、自分が動くというより、不思議とそういう環境になるんです。実は自分が動きたいというのはエゴなんですよね。自分から動くというよりも、周りが動かしてくれるのが本当の転機。その意味では、タイミングが全てだと私は思っています」(水木さん談)

 

 また、四柱推命の観点から見える相談者の心身のサイクルと、起こそうとしている行動との間にあるズレを見つけて、その調整をすることもまた、水木さんの手法の1つのようです。

 

「夏が苦手とか、秋は調子が良いとか、人ぞれぞれにありますね。そういうのは占いで分かるのですが、ならば夏に体調を整えて、秋に行動を起こす方がいいわけです。どうやって整えるかといえば、薬膳だったり、アロマだったりを五行に当てはめてお伝えしていきます」(水木さん談)


いろいろな人とお話しするのが楽しかった

 「子どもの頃から占いに興味があったんですか?」と聞いたところ、水木さんからは「いえ、全然」と意外なお答えが返ってきました。

 

 もともと水木さんは看護師として社会人生活をスタートさせました。

 

 学生の頃から心理学や精神科にも興味を持っていたそうですが、将来的な選択肢の広さを考えて内科病棟に就職したそうです。

 

 水木さんは、そこでリハビリや生活改善について、患者さんに説明する役割りなどを担っていたとのことで、「いろいろな人とお話しするのがとても楽しかった」と当時を振り返ってくれました。

 

 2年間、看護師として働いた後、水木さんは子育てのために10年間ほど専業主婦として過ごすことになりました。

 

 子育てをする中で食事と健康への興味が強くなり、薬膳やアロマ、リフレクソロジーなどを勉強したそうです。

 

 その後、水木さんは看護師として復帰し、仕事をしながら大学に行き直して心理学を学んだり、ケアマネージャーの資格も取ったとのこと。

 

 さらに、この頃に看護師として携わった仕事の経験が、現在の活動にも活きていると語ってくれました。

 

「精神科で患者さんからの緊急の電話を受ける仕事もしていました。相談を受けて入院が必要かどうかをドクターや関係各所と協議するのですが、電話の声だけで相手の状況を察しなければならないので、かなり鍛えられました。感情に任せて言っていることは、本当のこととは違ったりするので、言葉の裏を読まなければいけないんですね」(水木さん談)

 

 電話から聞こえる声の先に見えるものを想像して、適切な情報を相手に伝える。

 さらに医師や病院と調整して受け入れる体勢を整える。

 

 こうした役割が誰にでも務まるわけではないことは、想像に難くありません。

 

場所や立場は違えど、現在の活動スタイルにつながる能力は、すでのこの頃にも発揮されていたようです。


占いの考え方がとても好きなんです

 さて、肝心の占いとの接点を聞くと、「これもまたタイミングで」と、水木さん自身が転機や人生の流れの存在を感じた体験を笑顔で教えてくれました。

 

 ある日、雑誌の占いコーナーを見ている時に、手相講座のお知らせがふと目に留まったそうです。

 

 場所も近くで参加費も手頃。日程の都合もつくということで、手相を習うことにしたということです。

 

 そして、手相を学んだことを知り合いに話したところ、「自分の店のイベントに参加して欲しい」と依頼されたのです。

 

 そのイベントが水木さんにとって楽しい体験となり、またお客様にも好評だったことで、それ以来何度もイベントに参加することになります。

 

 その後、今度は占いの館が占い師を募集している告知をたまたま見つけて、軽い気持ちで応募することにしたそうです。

 

 その結果、占い師として働くことになった水木さんは、実践経験を積みながらタロット、四柱推命など、占いに関する学びを深めていきました。

 

 水木さんがオリジナルメソッドである「五気調整術」を提供しはじめたのは、2019年のこと。

 

 長く勤めてきた看護師の経験と心理学などの学び、家族の健康をきっかけに学んだ薬膳や経絡、アロマテラピーなどの健康法、長期スパンで人生の流れを見る占い。

 

 その全ての要素がつながり、「五気調整術」として結実したのです。

 

「占いでは運気という言葉を使いますが、それは見えないし、分からないじゃないですか。だから、こういうものを食べたらやる気がでるよ、この色を使ったどうかしら、このツボを押すといいよ、と具体的な方法で五行の気のバランスを整えたらどうかと思ったんですね」(水木さん談)

 

 「占いの考え方がとても好きなんです」と笑顔で語る水木さん。

 

 「1年前のイベントで言われたことの意味が、後になって分かって救われた。思わず涙が出た」と報告に来てくれた人がいたことを嬉しそうに話してくれました。

 

 人や物事との出会いには意味があって、必要なタイミングで出会っているのではないか。

 

 そう考えるならば、人や物事と出会ったことの意味を示唆し、適切に言葉を“処方”できることこそが、水木さんのようなスタイルのセラピストの本領なのかもしれません。



校長からのメッセージ

 水木さんの占いは約2時間で15,000円ほどで、オンライン相談も受けていますが、多くのお客様は直接訪れるそうです。

 

 ただし、事前にお客様の基本情報をもらい、ある程度の鑑定をした上での対面になるので、実際には対面時間以上に時間と精神的な労力をかけているのことが想像できます。

 

 また、お客様にはリピーターもいるとのことでしたが、基本的に1年か半期に一度の利用頻度になるので、一般的なサロンとは違った経営スタイルが必要になるだろうと思われました。

 

 水木さんの場合、占いの講師としての活動(【育成セラピスト編】参照)の他、看護師として働くことや、あるいは占いの館で働くなど、複数の活動をうまく組み合わせています。

 

 集客については、既存のお客様からの口コミや紹介が多いとのことですが、忘れてはいけないのがネットツールの活用でしょう。

 

 水木さんは日々、占いの考え方や活かし方をブログで丁寧な文章で発信し続けていて、それを見て連絡をしてくる方も少なくないそうです。

 

 自分の活動のことを丁寧に発信し続けるという事は、決して簡単なことではありませんし、すぐに集客につながることもないかもしれません。

 

 発信を続けることはSEO対策としての意味もありますが、もっと重要なのは、お客様が助けを必要としたときに真っ先に思い出してもらえる存在になっておくことです。

 

 つまり、必要なタイミングでつながれるチャンネルを開いておくことは、セラピストにとって大切な集客方法の1つと言えます。

 

 さて、今回のインタビューでは、水木さんのオリジナルメソッド「五気調整法」について聞くことができました。

 

 彼女は自分のメソッドを「占い」と表現しているのですが、その実、一般的な占いの範疇には収まらないことは、記事を読んでもらえればご理解いただけると思います。

 

 彼女の様な事例に触れる度に思うのは、セラピーをカテゴライズする難しさと、セラピーにおける差別化とは何かについてです。

 

 人を元気づけたり、気づきを与えるという要素については、占いとセラピーは重なります。

 

 また、ボディケア系のセラピーは体への刺激を用い、占いは言葉でのアプローチを用いますが、ボディケア系であっても言葉の力を持っているセラピストも少なくありません。

 

 水木さんの場合、確かにベースとしているのは、古来から占いと呼ばれる技術です。

 

 しかし、五気の調整法として取り入れられているのは、セラピー(リフレ、アロマ、経絡など)、医療、食養生と、水木さん自身の経験と知識を“総動員”したものです。

 

 つまり、占いとセラピーの境界はとても曖昧で、両者の間にグラデーションがあっていいわけです。

 

 また、商品開発には「差別化」が重要と言われ、企画段階から開発者が日夜頭を捻っています。

 

 同じように「早く差別化しなければ」と焦っているセラピストも少なからずいることでしょう。

 

 ですが、セラピーとは、深めれば深めるほどセラピスト個々人の資質や経験によって独自化されていく傾向にあるように思えます。

 

 ならば、セラピストにとっての差別化・独自化とは、始めから狙って企画するものというよりも、「自分のとっての最高のセラピー」の追求の途上で自ずと現れるものである、と言えるのかもしれません。

 

五気調整術

https://gokicyousei.com


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