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社家間麻貴さんのセラピストライフ~個人サロンセラピスト

2022/05/05
社家間麻貴さんのセラピストライフ~個人サロンセラピスト

 福岡の天神にて15年にわたって個人サロン「アロマムーン」を経営している社家間(しゃけま)麻貴さんのセラピストライフを紹介します。

 

 社家間さんが提供するメニューは、リンパアロママッサージ、ロミロミ&ホットストーンなどのボディトリートメントと、グリーンピールというハーブと手技を用いたスキンケアなどが代表的です。

 

 グリーンピールとは、ドイツの皮膚科医が開発した、ハーブに含まれる成分を毛穴から浸透させて、肌のターンオーバーを促進する手法であり、ニキビやシミ、敏感肌などの改善を助けるものなのだそうです。

 

 本格的な方法となれば、5日間ほどのコースになるものもあるようです。(ハーブ浸透から5日後に完成)

 

 聞くところによると、現在のお客様の約9割がグリーンピールを目的で来店しているとのこと。

 

 10代から60代までの幅広い年齢層の女性が、肌トラブルの改善などの、いわゆるエステティックな目的で社家間さんのサロンを訪れると言います。

 

 社家間さんは、初回のお客様に対して、施術前に1時間近く、施術後も30分ほど時間をとってカウンセリングをして、お客様の肌の状況と食事や生活パターンを把握した上で要望や心配事に寄り添っているとのこと。

 

 さらに、お客様とSNSで繋がるようにしていて、寄せられる相談事に丁寧に対応しているそうです。

 

「一度でも来店された方はSNSで繋がっているので、時間が許す限り、いつでも対応するようにしています。急に不安や悩みが湧いてしまった方から夜中にメッセージをいただくこともあります。ニキビとかの肌のトラブルって、深刻な方は眠れないほど悩むんですね。基本、どんな時間でも返信します。だって、放っておけないじゃないですか。」(社家間さん談)

 

 現在は、多くのお客様からエステティックサロンとしてのイメージを持たれている「アロマムーン」ですが、実はサロン開業当初はリラクゼーションサロンを志向していたといいます。

 

 社家間さんに、これまでの経緯を聞いたところ、「運が良いとしかいいようがなくて」と言い、2人のキーパーソンがいたことを教えてくれました。


「どうしたらそんな自由な生き方ができるの?」という思いから

 セラピストライフを始める以前の社家間さんは、OLをしていてセラピストともエステティシャンとも縁遠い生活をしていました。

 

 現在の社家間さんの白い肌からは想像もできませんが、20代後半〜30代前半の頃の彼女はボディボードに熱中していて、いつも日に焼けた肌をしていたそうです。

 

 そんな彼女に人生を変えるきっかけが訪れたのは、休職中にハワイに波乗りに行った時のことでした。

 

 同じようにサーフィンをするためにハワイに来ていた、日本人と知り合ったのです。

 

 その方から「世界各国の海をサーフトリップしている」という話を聞いて、彼女は「どうしたら、あなたのような自由な生き方ができますか?」と思い切って尋ねたそうです。

 

 すると、その方は「自分で起業しないと、自由に生きられないよ。あなたは雰囲気的に、人を癒やすのが似合いそうだね」と言って、社家間さんに起業を勧め、癒やしの仕事としてリフレクソロジーを例にあげて説明してくれたのです。

 

 その時の会話が強く心に残り、社家間さんは帰国後にリフレクソロジーのスクールを探し、福岡県にあるスクールに通い始めたのだそう。

 

 すると、体や健康について学ぶことが楽しくなっていき、フットケアを身に付けた後、ボディマッサージ、アロマテラピーと、どんどんスキルと知識を身に付けていきます。

 

 その後、再び波乗りのためにハワイに行った社家間さん。その際に、ハワイにはサロンがたくさんあるということに初めて気がついたそうです。

 

 以前は、海と波とサーフショップばかりに目が行っていたのに、セラピーを学んだことで彼女自身の視野が変わっていたのです。

 

 社家間さんは、ハワイのサロンでセラピースクールについての情報を教えてもらったのち、いったん帰国。

 

 その翌年に再びハワイに行き、2ヶ月掛けてホットストーンとロミロミを学びます。

 

 そして、2008年にリラクゼーションサロン「アロマムーン」をオープン。

 

 当時は、現在と同じ建物の別のワンルームを改装して、南国リゾート風に設えたそうです。

お客さまと関われる時間はほんのひとときだから。

 サロンのオープンから半年ほどが経った頃、社家間さんにもう1つの大切な出会いが訪れました。

 

 その方は、彼女のサロンに客として来店し、施術前に「顔には絶対に触らないでね」と言うのです。

 不思議に思った社家間さんは、その理由を聞いたそうです。

 

 すると、その方は山口県でアロマセラピストをしていて、当時、福岡に本部があった「グリーンピール」を学びに来ていること。

 

 そして、グリーンピールの施術を受けた直後であるために、顔に刺激を与えることを避けていることを教えてくれたのです。

 

 その方は、学習の疲れを癒やそうとインターネットでサロンを検索したときに、「アロマムーン」というサロン名に惹かれて社家間さんのサロンに来たと言うのです。

 

 しかも、以前ワーキングホリデーでオーストラリアに行き、現地のサロンで働きながら波乗りをしていたとのこと。

 

 社家間さんは、自分とよく似た経歴であることに驚きつつ、その方がわざわざ泊まりがけで学びに来た「グリーンピール」にも強い興味を覚え、自分もそれを学ぶことに決めます。

 

 このような経緯で「アロマムーン」のメニューにグリーンピールが加わることになったのですが、その反響に社家間さんは驚くことになります。

 

 その当時、福岡市には本部はあれど未だグリーンピールサロンが一軒も無かった為、ネット版のフリーペーパーから来店する新規客のほどんどが、深刻な肌の悩みを抱え、グリーンピールを目的にしていたからです。

 

 すると、肌を綺麗にしたという要望の他に、脚を細くしたい、くびれが欲しいなど、エステ方面の利用者がどんどん増えていき、そのたびに社家間さんはこれまで培ってきた技術に新しい学びを加えていったそうです。

 

 こうしてお客様1人ひとりの声に応えていった結果、サロン経営は軌道に乗っていき、2017年には同じ建物内の別の広いスペースに移転。現在のサロンへと至るのです。

 

 新装されたサロンは、待合室の他にフェイシャルとボディの施術室が別々にあって、部屋ごとに違う雰囲気にして、宝石のような色合いと柄のゴージャスな内装。

 

 まさにお客様に美の魔法を掛けるにはピッタリな雰囲気の部屋になっています。(自ら古い壁紙を剥いで、新しい壁紙を選んだのだそう。)

 

 今後は、肌に関する相談を入り口に、内面からのアンチエイジングや健康寿命の維持のためにもお客様1人ひとりに寄り添っていきたいと、社家間さんは笑顔で語ってくれました。

 

「これからは、内面美容と外面美容の融合を提案していこうと考えています。それは、美容のためだけじゃなくて、病気の予防になったり、健康寿命を延ばすことにも繋がると思います。お客様と関われる時間は、人生の中のほんのひとときだと思うんです。だからこそ、私が伝えられることは精一杯伝えていきたい。もし、ご縁が長く続かなくても、私のお伝えしたことがいつか役に立ってくれると嬉しいですね。単なる美しさのためではなくて、お客様の人生を幸せにするサロンになりたいと思っています」(社家間さん談)

校長からのメッセージ

 今回は、リラクゼーション系のセラピストとしてスタートしながらも、現在は多くのお客様からエステティシャンというイメージも持たれている、社家間さんにお話をうかがうことができました。

 

 考えてみれば、セラピストが美肌メニューを提供することもあれば、エステティシャンでもお客様に癒やしや元気を与えられるものなので、本来は両者を明確に区別することはできないわけです。

 

 また、美と健康は両立可能なので、それらに横断的に取り組むセラピストorエステティシャンがいることは自然なことのはずです。

 

 とは言え、世間一般では、セラピストは「心身の健康」、エステティシャンは「美容・痩身」と、目的が違うものとしてイメージされがちです。

 

 顕著なのが、お客様がサロンを探す際の検索ワードでしょう。明確に言葉で区別した方が、お客様の目的と、サロンが提供するものをマッチングしやすいからです。

 

 社家間さんの場合、グリーンピールという特徴的な「美肌コンテンツ」があることで、お客様が「エステサロン」というイメージを持ったと考えられます。

 

 こうした状況においては、そのイメージを受け入れるか、抵抗するかによって、サロンが進む方向性に違いが出てくるものです。

 

 社家間さんは、美容目的のお客様のニーズを受け入れる方向で、サロンを成長させてきたわけです。

 

 ただ、お話を聞いていると、積極的に美容系に進んだというよりも、「相談に来たお客様を放っておけない」という彼女のセラピストマインドが、自然に今のスタイルへと進ませて行ったように思えます。

 

 もちろん、当初に思い描いた「リラクゼーションサロン」を追求することもできたはずですが、スタイルを変えていくことを受け入れられたのは、きっとそれが彼女らしさからなのでしょう。

 

 もっと言えば、2人のキーパーソンからもらったヒントを、素直に受け入れられたことも彼女らしさなのかもしれません。

 

 社家間さんはこれまでを振り返って、「運が良かった」と言っていましたが、その運を掴む力を彼女は持っていたのだろうと思うのです。

 

 インタビューで、社家間さんが人の言葉や要望を受け入れて成長してきたストーリーを聞きながら、私は自然とそれを波乗りと重ね合わせていました。

 

 波には、人のわがままは通じないし、二度と同じ波は来ないと言われます。

 

 打ち寄せる波をよく観察しながら、良さそうな波が来てくれたのなら、乗りこなすことに集中する。

 

 そこには、嘘も誤魔化しも通用しないわけです。どこか、仕事と通じるものがあるような気がしませんか? 

 

 現在は、セラピストとしての活動に集中していて、社家間さんはボディボードには行っていないそうです。

 

 それでも波乗りとして培ったメンタリティは彼女の中に活きているように思いました。

 

 これからもエステティシャンのような「お肌のセラピスト」として、出会うお客様にも、出来事にも、きっと邪念なく向き合い、彼女らしいセラピストライフをこれからも歩んでいって欲しいと思います。

 

福岡美人工房AROMA MOON

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