神奈川県鎌倉市にて2019年からリトリートサロン「Beauty & Wellness 鎌倉Resort spa SUI」を経営している、セラピスト歴14年の田邊恭子さんのセラピストライフを紹介します。
田邊さんのサロンは由比ヶ浜を臨むマンションの2階にあり、窓から海を眺めることのできる「海見えサロン」です。
これまでに彼女はエステサロンやホテルスパで長く実績を積んできており、またヨガやタイ古式マッサージ、メディカルアロマセラピー、バリニーズマッサージなども学んできました。
現在はそうした経験や学びから得たエッセンスを取り入れたオリジナルメソッド「チャクラバランスボディ」と、「ビオロジック ルシェルシュ」の化粧品を使ったフェイシャルトリートメントなどを提供しています。
ビオロジック ルシェルシュとは、フランスのスキンケア専門家によって創設された化粧品ブランド。
お客様のその日、その時の肌の状態に合わせて化粧品を細かく使い分けることに特徴があり、セラピストには肌診断と独自のスキンケアメソッドの習得も求められます。
田邊さんは、サロン開業以前にエステティシャンとしての経歴が長かったこともあり、関東の個人サロンで初めてビオロジック ルシェルシュを導入したとのこと。
こうしたスキルを組み合わせてお客様1人ひとりの悩みや要望に応えるために、田邊さんの施術はいつもオーダーメイド、いえフランス風に言えば、オートクチュールなのだそうです。
さらにサロンの特徴としては、日々のメンテナンスを目的に地域の方が来店する場合と、都心からの観光客がリトリートとして訪れる場合のどちらもあるということです。
つまり、日常使いと非日常使い、どちらのお客様の要望にも田邊さんは日々向き合っているのです。
「以前、私はホテルスパで働いていたので、サロンのオープン当時は、東京からリトリート目的で来るお客様を想定していました。ですが、実際には当初のお客様は地元の方が多くて、リピーターにもなってくださいました。徐々に観光目的の方も増えていきましたが、コロナ禍に入ってからは、都心から離れてリモートワークで働く方や、都心とこちらの2拠点生活をしているお客様も増えてきましたね」(田邊さん談)
「海見えサロン」を開くまでのセラピストライフを田邊さんにうかがいました。
癒しを与えてくれた海
田邊さんは、大学生の頃に初めて受けたエステに感動したことをきっかけに、エステティシャンになることを目指して、大学に通いながらエステスクールにも通ったとのこと。
その目標を見つけるまでは、大学に通ってはいてもどこか自分の将来が曖昧だったそうです。
エステを学ぶことがとにかく楽しかったことや、いつか自分のサロンを持ちたいと夢見ていたことなど、当時の思い出を話してくれました。
こうして大学卒業後に大手エステサロンに就職した田邊さんですが、何年もエステティシャンとしての実績を重ねるうちに、内面の健康や心の働きについても興味を持つようになります。
そして、新しい技術と環境を求めてホテルスパ業界へと転職。すると、いくつかの現場を経験するうちに、都心の有名ホテルのスパで店長を任せられるようになり、スタッフの育成にも携わるようになったそうです。
そうした順調なセラピストライフを歩んできた田邊さんですが、店長という重い責任と激務によって、やがて心身ともに疲れ果ててしまったそうです。
そんな彼女に癒やしを与えたのは、海でした。
休日になると海へ行き、サーフィンを楽しんでいたとのこと。また、海外旅行でバリやタイに行き、そこで伝統的に行われるセラピーの奥深さに触れたそうです。
さらに、ヨガを学ぶ中で、自分を整えることや、呼吸の大切さにも気づきます。
呼吸によって気持ちの揺れを安定させられることや、トリートメントの動きと呼吸の関係性についても考察を深めていったということです。
こうした経験と学びにより、いつしか田邊さんの心の中に「海の見えるサロン」という絵がはっきりと浮かぶようになり、自然と独立開業に向けて動き出していました。
「もともと海が好きで、サーフィンをするようになってからはもっと好きになりました。エステの勉強を始めた頃は、“将来サロンを持ちたいな”というくらいだったんですけど、だんだんイメージをリアルにしていく中で、住む場所も、サロンも海の近くがいいと思うようになっていきました。海の見えるサロンを本当に絵に描いていました」(田邊さん談)
出身地が東京だったこともあり、田邊さんは関東エリアの海に行くたびに、理想のサロンにぴったりなロケーションを探したそうです。
その中で、観光地で飲食店もたくさんあり、また地域の神社の雰囲気に惹かれて湘南エリアを選んだとのことでした。
そして物件探しをする中で、偶然、由比ヶ浜の静かなエリアに辿り着き、2019年にリトリートサロン「Beauty & Wellness 鎌倉Resort spa SUI」をオープンします。
現在のサロンでは、バルコニーに椅子と机を置いてコーヒーで寛げる上に、すぐに海沿いでランチを楽しむこともできるとのこと。
この「海見えサロン」で波音を聞きながら、非日常のリトリートを楽しむお客様や、毎日の疲れを癒やしたいお客様をお迎えしているそうです。
自分が思い描いていたサロンで、自分の好きなスタイルでセラピーを提供できることが何よりも嬉しい。
そんな気持ちが田邊さんの笑顔から溢れ出していました。
校長からのメッセージ
サロンをセラピーの一部として、上手に活用するセラピストがいます。その最たる存在が、リトリートサロンを運営するセラピストたちでしょう。
例えば、今回インタビューした田邊さんにとって、サロンとは、ベッドが置かれた空間のみを指すのではありません。
窓の外に広がる海もまた彼女のサロンの一部であり、さらに言えばサロンに来るまでの道すがらの風景すら、セラピーの一部であるように思えます。
また、サロンのロケーションから影響を受けるのは、お客様だけではないことも、今回のインタビューから分かります。
セラピストである田邊さん本人もロケーションの良さから力をもらっているようなのです。
海が見える開放的なサロン。そして、常に波音が聞こえることで、セラピストとお客様の呼吸は波音に同調していって、施術も伸びやかで落ち着いたリズムになっていくのだろうと思います。
自分が好きな環境で、好きな仕事をする。
そのことでセラピスト本人が笑顔でいられれば、サロンに迎えられたお客様も自然に笑顔になっていく。
こうした環境を味方につけたセラピーこそが、リトリートセラピストの本領と言えます。
もちろん、いくらサロンが良くても、肝心のセラピーが見劣りしていれば、お客様をがっかりさせてしまうはず。
だからこそ、サロン空間に見合ったメニューを、セラピストは構築する必要があります。
田邊さんの場合、エステサロンやホテルスパに長年勤め、ヨガ、タイ古式マッサージ、バリニーズなど、様々な経験値を積んできました。
だからこそ、多くのお客様にご納得いただけるセラピーが実践でき、さらにオリジナルのスタイル、オリジナルのメソッドの構築にまで繋がっていることも忘れてはいけません。
インタビューの中で、何度も「セラピー=人生だと思う」と田邊さんは話してくれました。
彼女がこれまでの人生の中で経験し、学んできたものが、今のセラピーに活きているという意味にも思えます。
また、彼女自身がセラピストとしての生き方に幸せを感じられていること。それが、セラピーを通じてお客様に伝わり、お客様も幸せにする。そんな捉え方もできるように思えます。
今後、田邊さんは、自身が実感している「セラピー=人生」という生き方を、後進のセラピストに伝えていきたいと語ってくれました。
そして、そのためには生徒1人ひとりの「セラピーの軸」を一緒に探したいそうです。
彼女が生み出してきたオリジナルメソッドには、手技だけでなく、セラピストとして幸せに活きられる空間や生き方の構築も含まれているように思えます。
そうした哲学的なことを生徒に伝えるのは、やはり簡単なことではないでしょう。
ですが、そんな時にも由比ヶ浜に臨む「海見えサロン」が助けてくれるはず。
良い環境で学ぶことで、技術とともに、きっと彼女の哲学も自然に生徒に伝わっていくのではないでしょうか。
この海見えサロンで、これからも彼女らしくお客様や生徒との関係性を築いていき、その中で、セラピーを通して幸せな生き方を伝えていってくれるのでしょう。
その姿を期待しつつ、インタビューを終えました。
Beauty & Wellness 鎌倉Resort spa SUI
https://kamakura-retreatspa-sui.com/