〜 サロン経営・スクール運営&講師活動・出張&イベントノウハウ・ブランディングからブラッシュアップ、広告やネット戦略、税・法務等周辺知識まで。今あなたに必要な「学び」と「出会い」がここに 〜
  1. セラピストニュース&コラム
  2. 谷口校長コラム
  3. 山田啓子さんのセラピストライフ~産婦人科アロマセラピスト
 

山田啓子さんのセラピストライフ~産婦人科アロマセラピスト

2022/06/10
山田啓子さんのセラピストライフ~産婦人科アロマセラピスト

 岐阜県で自宅サロン「彩心香(さいしんか)」を営みながら、岐阜県と愛知県の産婦人科医院でも活動している山田啓子さんのセラピストライフを紹介します。

【自宅サロンセラピスト編】はこちら 

 

 山田さんは、これまで21年にわたって、岐阜県と愛知県の産婦人科医院にて、アロマセラピストとして活動してきました。

 

 これまで週に2回のペースで、主にリラクゼーションのための施術を妊婦さんに提供しています。

 

 以前は、産後のケアを提供していましたので、山田さんは産前産後、どちらの状況にも対応してきたことになります。

 

 妊婦さんの体は繊細な状態なので、強い刺激や禁忌を避ける必要があります。

 

 また、あくまでも産婦人科医院のサービスの1つなので、医師の管理のもとで行われることが大前提です。

 

 山田さんは手や足など、母体に影響の少ない部位をメインに、妊婦さんの状態を見ながらトリートメントの手法を調整しているそうです。

 

「施術するのは、医師の許可が出ている、病気の診断がされていない人ばかりです。施術する妊婦さんは脚のむくみを気にされる方が多いですね。施術時間は短いですが、“とっても気持ち良かった!”と喜んでいただけるので、私もやり甲斐があります。ただ、産後に気持ちがひどく落ち込む方がいるので、医師や心理士と連携を取るようにしています」(山田さん談)

 

 ときには、自然分娩を望んでいた妊婦さんが、帝王切開やむなしの判断の瀬戸際で山田さんのトリートメントを受けた後に、希望通りに自然分娩が出来たということもあったそうです。

 

 もちろんセラピーがどのように関わっているかは明言できませんが、妊婦さんにとってリラックスできたひと時であったことは間違いないと思います。

 

命を繋いでいく場だからこそセラピストとしてできること

 専業主婦だった山田さんが、一念発起してアロマテラピーを学び始めたのが21年ほど前のこと。

 

 彼女が初めて通ったのが、「病院で働けるアロマセラピスト」を育てるスクールだったことが、産婦人科での活動につながったことは、【自宅サロンセラピスト】編でも紹介しました。

 

 つまり、産婦人科でのケアが、山田さんのセラピストとしてのデビューだったのです。

 

 その時の気持ちを訊くと、彼女はこんな話をしてくれました。

 

「実は、そこは私が息子を産んだ病院だったんです。これも縁なんですよね、きっと。それで引き受けたんですが、最初のうちは本当に緊張しました。だから、スクールで身に付けたトリートメントを、とにかく忠実にしようと自分に言い聞かせていました」(山田さん談)


 こうして始まった産婦人科医院での活動は、場所を移しながらも20年近くが経ちました。

 

 それは、山田さんが初めてケアした妊婦さんの子どもが、成人を迎える程の長さです。ほんとうにたくさんの方をケアしてきたということです。

 

 山田さんはアロマテラピーのイベントや講座で講師をしているのですが、以前に産婦人科でケアしたお母さんたちと、そこで再会することもあるそうです。

 

「イベントなどで私が自己紹介をすると、“あの時のトリートメントが本当に気持ち良かった!”と声を掛けてもらえることがよくあります。産婦人科でトリートメントを受けたことがきっけになったのか、アロマテラピーを学び始めた方や、サロンを始めている方もいるんですよ。そういう話を聞く度に、本当に嬉しくなります」(山田さん談)

 

 産婦人科は、他の病院と違って命を繋いでいく場です。

 

 妊婦さんは希望ばかりではなく、不安も緊張も抱えているはず。


 そんな妊婦さんたちにとって、山田さんのような「母の手」が優しく触れて、労ってくれることは、きっと大きな心の支えになっているはずです。

 

 だからこそ、“あの時のトリートメントが本当に気持ち良かった!”という記憶は、ケアを受けたお母さんたちの心に強く残っているのではないでしょうか。

 

 今後のことを訊くと、「続けられる限りは、ぜひ続けたいですね」と山田さんは笑顔で答えてくれました。

 

 これからもきっと、山田さんの手はたくさんの妊婦さんの心を支えていくことでしょう。

 

 セラピストは妊産婦さんに医療者として関われず、できることも限られてきます。しかし、セラピストだからこそできることが間違いなくある。

 

 その思いを強くしたインタビューでした。



校長からのメッセージ

 山田さんは産婦人科医院で週に2回、1日に4、5人ほどケアするそうです。

 

 ならば、20年ほどの間に、どれほどの妊婦さんに触れ、心を支えてきたことでしょうか。イベントの参加者に、以前病院でケアした方がよくいるという話も頷けます。

 

 こうした活動を継続するためには、何よりも信頼関係が大切と、彼女は言います。

 

 妊婦さんからの信頼はもちろんのこと、医師を始めとする医療スタッフとの信頼関係がとても大切なのだそうです。

 

 セラピストは、医療現場ではけっして出しゃばることなく、与えられた範疇で出来ることをしなければいけません。

 

 だからこそ、ただトリートメントをするのではなく、妊婦さんの心の揺らぎに耳を傾け、不安を口にできる場を作り出すことも、セラピストならではの働き方なのではないでしょうか。

 

 さて、山田さんの自宅サロン「彩心香」ではスクールを併設しているのですが、産婦人科で培ったハンドトリートメントやフットトリートメントを、ホームケアの技術として教えています。

 

 生徒さんには助産師さんが多く、他にも管理栄養士やセラピストも、山田さんの元に学びに訪れるそうです。

 

 おそらく、医療現場で山田さんの働きを目の当たりにしたり、あるいは同業者間のネットワークの中で山田さんの存在を知るのでしょう。



 これも、山田さんの技術や医療現場での立ち振る舞いが信頼されていることの表れなのだろうと思います。

 

 医療・介護現場に、看護や介護に当たる方がセラピースキルを取り入れようとする場合、重要視されるのは「(精油の量や手の圧、施術部位など)どの位までが安全なのか?」と私も耳にしたことがあります。

 

 セラピストはスクールで禁忌や注意事項を学びますが、スキルについては基本的に心身が健常なお客様を対象にしています。

 

 しかし、医療・介護を受ける方たちは、通常よりもセンシティブな状態にあります。

 

 だからこそ、そこに関わる人は「どの位までが安全なのか?」を気にするのです。

 

 その点、山田さんのように20年以上、医療現場に参加し、何人もの妊婦さんに触れてきたセラピストには、安全に役割をまっとうしてきた実績があります。

 

 これほど心強い見本は、他にはなかなかないはずです。

 

 今後、セラピストが医療・介護に参加するケースや、あるいは看護師や介護士がセラピーを現場に取り入れようというケースが増えていくはずです。

 

 そんな時に、山田さんの活動スタイルは、1つのモデルになるのではないでしょうか。

 

彩心香ホームページ

https://peraichi.com/landing_pages/view/4saisinka

彩心香ブログ

https://ameblo.jp/saisinka/