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上前拓也さんのセラピストライフ~育成講師

2022/08/12
上前拓也さんのセラピストライフ~育成講師

 北海道札幌市にて13年にわたって合同会社友歩(ゆうほ)を運営し、個人を対象にしたコーチングや、企業での研修講師、後進のコーチの育成などをしている、上前拓也さんのセラピストライフを紹介します。

【個人コーチング編】はこちら

【企業研修講師編】はこちら


 上前さんは、現在、コーチと講師の育成をしています。



  • コーチングができる人を養成する「認定コーチ養成講座(通信講座)」
  • 講師業に必要なスキルを身に付ける「教育技術スペシャリスト養成講座(オンライン通信講座)」


 どちらも、講座開始から通信講座として行われていて、テキストや動画などを含めてシステムが構築されています。


 上前さんが後進の育成を始めたのは、個人向けのコーチングや、企業研修、単発のセミナーで講師をする中で、コーチとしてのスキルや、講師としてのノウハウを教えて欲しいという要望があったことがきっかけだったそうです。


 ですが、自分の体1つでは、後進の育成まで手が回らないと考え、通信講座としてカリキュラムを構築したということでした。


 もちろん、通信講座といっても、テキストの作成も、動画の撮影・編集も、当時の機材やインターネット環境を考えれば、今よりももっと大変だっただろうと思います。


 そこまでして、なぜ上前さんは、育成に携わるようになったのか。


 しかも、コーチや講師を増やすことは、別の見方をすればライバルを増やすことにもなるはずです。


 そのことについて聞くと、上前さんはこんな話をしてくれました。


「独立した当初から、コーチングマインドを持った人が増えれば世の中が良くなるんじゃないか、という熱い思いがありました。その気持ちの方が、将来コーチが増えてライバルになるかもしれないという問題よりも、上回ってたんですよね」(上前さん談)


 彼の言う「コーチングマインド」とは、「お互いの価値観を大切にできる」「目標を達成に向けて進んでいける」というような考え方なのだそうです。


 会社などの組織を構成する一人ひとりがそうしたマインドを持つことで人間関係が良くなり、組織としても、また個人としても成長していけるはず、と上前さんは語ってくれました。


「どんなに個人で仕事を頑張って結果を出しているように見えても、必ずどこかで誰かの力を借りているはずなんです。例えば、営業マンが営業成績を上げた時には、そこには総務の人の力があったり、経理の人のバックアップがあってこそだったりするんです。むしろ、1人でできることは、ほとんどないと思うんですよね。だから、人との関わり合いが一番大事なんじゃないかなと考えています。会社員時代の実体験としてそれを感じていたんですが、独立してからはジワジワとこの考えが強くなっていきました」(上前さん談)


 さて、話を伺っていると、セミナーにせよ、コーチング養成講座にせよ、上前さんは絶えずブラッシュアップを重ねてきたことも分かりました。


「最初の頃は、動画を撮ってみると、自分が思ってるほどテンションが高く見えないし、僕がただ1人で話しているだけみたいになってましたね。受講者を退屈させてしまっていたかもしれません。受講者からアンケートを見ながら改善を繰り返しましたし、話し方の教室に行ったりもしましたね。今でもまだまだだなと思っていて、これはもう永遠の課題。どうしたらもっとわかりやすく伝わるかなと、ずっと学んで考え続けています」(上前さん談)


コーチとクライアントは対等な立場

 今後、後進の育成に携わりたいと考えている、セラピストやコーチへのアドバイスを求めたところ、「自分の仲間を作るという気持ちで取り組むといいかもしれませんね」と笑顔で答えてくれました。


 上前さんによると、コーチングの根本的な考えとして、「コーチとクライアントは対等な立場である」と心得ることが大切なのであり、コーチが上の立場に立ってしまうとコーチングはうまくいかないのだそうです。


 彼は、育成する場面でも同じように考えていると言います。


「僕は、弟子を作りたいとか、塾の生徒を作りたいんじゃなくて、コーチの仲間を作りたいっていう感覚なんです。それで、将来、僕と同じような考えで仕事をできる人が現れれば、一緒に仕事をしたいですね。例えば、自分が行けない研修に行ってもらったりとか、カバーし合ったり、お仕事をシェアしあえるような、そういう仲間を増やしたいですね」(上前さん談)


 コーチの養成にせよ、講師の養成にせよ、上前さんがHPで公開しているカリキュラムを覗いてみると、対人スキルとして様々な場面で応用が利く学びであることが分かります。


 会社員が組織の中で仲間と協力するために使えるはずですし、学校の教師がより良い授業を作るためにも使えそうです。


 もちろん、セラピストがスクールで生徒に自分のメソッドを伝える際にも使えるように思えます。


 実際、上前さんのスクールで学ぶ受講生たちもバックボーンは多種多様で、必ずしもコーチや講師になることを目的にしているわけでもないのだそう。


 多くの受講生が、すでに自分の生きる道を定めていて、その中でより良い学びを求めて、上前さんの講座にくるということのようです。


「コーチングを学ぶ人は、それぞれ目指す道が多種多様ですが、僕はその人の行きたい道をサポートはし続けたいなという気持ちがあります。講座を教えて終わりじゃなくて、何かあった時はご相談いただければ、僕で力になれることはしたいし、長く関わっていきたいですね」(上前さん談)


 今回のインタビューで、上前さんは常に物腰の柔らかな、落ち着いたトーンで質問に答えてくれました。


 しかし、その声の奥には、彼自身の活動が、関わりを持った一人ひとりの人生の可能性を拓くことに留まらず、延いてはより活きやすい社会作りに繋がっているはず。


 そんな熱い思いが込められていることが確かに感じられました。


校長からのメッセージ

 今回は、元システムエンジニア(SE)のコーチ、上前さんのお話を伺いました。


 SEというと、どこか縁遠く感じているセラピストも多いでしょうし、もしかすると「コンピュータが友達」みたいなイメージを持っている人もいるかもしれません。


 ですが、記事を読んでいただけば、上前さんの活動は、人の可能性を拓き、より生きやすい人間関係を作ることを目的にしていると分かっていただけたかと思いますし、セラピストにとっては身近に感じられる感覚だろうと思います。


 すると、システムエンジニアという仕事と、上前さんの現在のメンタリティには、一貫性が感じられない方もいるかもしれません。


 そこで、そのフォローとして、私の推測も交えて少し追記したいと思います。


 聞けば、上前さんは、実はシステムエンジニアをしていた頃から、月に1度、社内でパソコン教室を開いていたとのこと。その際に、相手から「分かりやすい」とか、「先生になればいいのに」と言われた時に、上前さんは喜びを感じていたそうです。


 また、上前さんは「読み終わった本を古本屋に売って小銭を得るよりも、今は自分で読んで良かった本は人に送って喜ばれた方が嬉しい」と話していました。


 ちなみに、彼の趣味はキャンプで、自然の中で家族や友人と趣向を凝らした時間を過ごすことを楽しみにしているそうです。


 こうした彼の行動から考えるに、上前さんは自分の知識や経験を人とシェアして、それを楽しんでもらったり、役立ててもらうことに喜びを感じるタイプなのだろうと思います。


 そうした彼のメンタリティを含めて考えてみれば、SEという仕事をしていた頃の彼も、システムを使う誰かの顔を思い浮かべて、システムを構築していたのではないかと思うのです。


 さらに、SEという仕事は、そのシステムを使う人が、不自由なく、効率良く働けるようにと考え抜いて行う、とても地道な下拵えです。


 そして、それができる方たちは、言ってみれば「段取りのプロフェッショナル」と言えるかと思います。


 彼の生来の志向に、SE時代の経験が重なり合い、さらに「散らかった部屋を片付けること」と例えられるコーチングの学びが、がっちりと咬み合った、ということなのかもしれません。


 コーチングにおいては、相談者のことを思い、どうすれば相談者の思考の整理を助けられるかを考えているはずで、企業での研修でも、後進の育成でも、それは同様でしょう。


 セラピストにとって、セラピーは手段であり、目的はあくまでもお客様の問題解決であるように。SEも、システムの構築が目的ではなく、それを使う人に力をより発揮してもらうことがことが目的であるはず。


 いずれも、人のことを思って心を尽くし、労を惜しまない。


 そうしたメンタリティの上で行われているだと捉え直すと、SEという仕事と、上前さんの現在の活動は一貫性を感じれますし、セラピストの皆さんにも、きっと身近に感じてもらえるのではないでしょうか。


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