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秋月風香さんのセラピストライフ~個人セラピスト

2022/11/04
秋月風香さんのセラピストライフ~個人セラピスト

 北海道札幌市にて、11年にわたって個人サロン「癒しの森レディナダ」を営んでいる秋月風香さんのセラピストライフを紹介します。


 秋月さんのサロンでは、アロマトリートメント、タイ式フットマッサージ、タイ古式マッサージ、フェイシャルエステ、ヘッドトリートメント、スピリチュアルタロット、歯のセルフケアホワイトニングなど、お客様のご要望に合わせて提供しており、アロマスクールの講師もしています。


 また、サロンでの活動だけでなく、イベントに出展したり、様々なセラピストとコラボしたワークショップなども行っています。


 彼女のサロンの特徴の1つとして挙げられるのは、お客様の男女比です。


 女性セラピストの個人サロンには珍しく、男性も受け入れていて、しかも男女比はだいたい同じくらいなのだそう。


 秋月さんはトリートメントをしながら性別関係なくお客様と気さくに話をして、お客様は体への施術を受けているうちに心も開いていき、日常生活における悩みやグチをこぼすこともあるといいます。


 そんな時には、秋月さんは笑いながら冗談で返しているとのことですが、ちゃんと問題に向き合いたいお客様にはスピリチュアルタロットによるセッションをお勧めしているそうです。


 つまり、体へのアプローチと、心へのアプローチは地続きになっていることを意識しているからこその、メニュー構成になっているのです。


「私は体と心は一つだと思っているので、施術の中で心を許していくうちに“もし、良かったらタロットやってみますか?”と促すのは自然の流れかなと思います。セラピーの腕だけじゃなくて、トークの腕も磨いてます。」と茶目っ気たっぷりに話してくれる彼女。


 サロンに訪れるお客様には、秋月さんとのおしゃべりを楽しみにしている方も多いようで、女性客は長居したがり、男性客は家庭や仕事の出来事について話をする方もいるとのこと。


 もちろん、すっかり心も体も緩んで、施術中に眠ってしまう人もいるとのこと。


 インタビューでお話をしていても、彼女の陽気さにお客様がリピートしたがる理由が分かる気がしました。


 そんな彼女に、セラピストの世界に入った理由を尋ねると、「なぜかって言うと、最初は仕方なくだったんですよ」と笑顔で答えてくれて、これまでの歩みを振り返ってくれました。


最初は自分がするような仕事じゃない、と

 生まれも育ちも北海道の秋月さんは、デザイナー専門学院を卒業後、アパレル業界へ進みました。


 15年もの間、販売員としてのキャリアを積み重ね、店長を任されるまでに至ります。


 販売員にとっては自分自身もマネキンであり、着る物も持つ物も、お化粧も整えて、エステサロンに通い、お肌の手入れにも気を配っていたとのこと。


「ブランドイメージを壊してはいけない」と気を張って仕事に向かっていたと言います。


 また、販売員は立ち仕事なので、足が疲れた時にはリフレクソロジーサロンにも通っていたそうです。


 「ただ、本当に失礼な話ですけど、当時の私は”自分がする仕事じゃない”と。もしかするとこのお仕事を軽く見ていたのかもしれません。あの頃は高飛車でした。」と正直に打ち明け、まさか将来、自分がセラピストになるとは思いも寄らなかったと振り返ります。


 そんな彼女の人生に転機が訪れたのは、秋月さんが30代前半の頃でした。


 折からの不景気の影響で、勤めていたアパレル会社の本社が業績不振に陥り、秋月さんの店舗もやむなく閉店することになったのです。


 それでも、ずっとハイブランドを目指してステップアップを繰り返してきた秋月さんは、さらに上を目指して就職活動に励んだそうです。


 しかし、現実は厳しいものでした。


 いくら応募しても不採用の通知が届くばかりで、彼女のプライドは少しずつ崩れていったといいます。


 15年前の日本社会は、女性のキャリア採用について、今よりもずっと厳しかった印象があります。当時の秋月さんも、そうした社会の風潮に苦しめられた1人だったのかもしれません。


 自分の努力ではどうしようもない状況に、挫折感ばかりがつのる日々。


 とはいえ、ハイブランド志向で突き進んできた彼女にとって、大衆向けのブランドやファストファッションの店に勤めることはプライドが邪魔していました。


 悩んだ末にアパレル以外ならばと、秋月さんは生活のために妥協してアルバイトを探すことにしました。


 そして、秋月さんが見つけた職場が、温泉施設内のリラクゼーションサロンでした。


 時給は750円でしたが、未経験でもOKで、自動車通勤もOK、帰宅前にお風呂に入れる、という募集案内を見て、秋月さんは「マッサージならずっと受けてきたから知ってるし、楽そう」と最初は腰掛けのつもりで勤め始めたそうです。


ただの紹介者だった私がセラピストになってからは

 ハイブランドのアパレルショップから温泉施設のサロンへ、まったく新しい環境に入った秋月さんは、そこで大きなギャップと新しい価値感に目覚めることになったのです。


「やってみたら、すごく楽しかったんですよ! タイ式マッサージもしているところだったので、胡坐をかくんですね。それまでずっと、スッと立って、ヒールでカツカツ歩いていたので、お客様の前で胡坐をかいていいの!って驚きました。それに、先輩がフレンドリーで、やたら気さくなんですよ。肩肘張らないでいい職場に、すごくギャップを感じました」(秋月さん談)


 それはまったく別の業界を長年経験し、ずっと緊張感を維持してきた秋月さんだからこその気づきでしょう。


 もう1つ、彼女が驚いたギャップについて教えてくれました。


「アパレルだと、お客さんに何分接客してもご購入いただけないことがありますよね。ですが、セラピーサロンでは、お客さんがお店に入ってきたら、当たり前のように施術を受けていきます。こんにちはってお店に入って、お願いねって感じで椅子に座っちゃう。それって売上が100%立つわけで。すごいな、この世界って思いました」


「アパレルの販売員の場合、私がどんなに綺麗にメイクして着飾って素敵な話し方をしたとしても、ただの服のアドバイザーで紹介者なんですよ。だけど、サロンではセラピストである私に向かって“すごく気持ちよかった、体が解れた、癒されたよ、ありがとう”って。こんなに素晴らしい仕事はないと思いました。だから、昔の自分にセラピーをしてくれたセラピストさんたちに、本当にごめんなさい。そしてありがとうって。」(秋月さん談)


 こうしてセラピストの世界に入り、その魅力に気が付いた秋月さん。


 アパレルで上を目指していた頃の研究心が甦ってきたのでしょう。


 すぐにアルバイトで教わる技術や知識では物足りなくなって、自らアロマテラピーなどを学び始めていました。


 そして、働き始めて3ヶ月ほど経つ頃には、独立を考えるようになったといいます。


 聞けば、独立心はもともと持っていたそうです。


 いわゆるセレクトショップや輸入雑貨のお店を持つことも模索したこともありましたが、在庫リスクや初期投資のハードルの高さに断念した経験があったのだそう。


 しかし、セラピーサロンであれば、在庫も抱えずに、初期投資が比較的低く済みます。


 そのことに秋月さんはすぐにピンと来て、独立開業に向けて技術と知識を蓄えていったのです。


 そして、レンタルサロンからスタートして、2014年に「癒しの森レディナダ」のオープンに至ります。


 それから11年、サロンのお客様と友達のように気さくに話ながらも、セラピストとしての一線を保った関係性を築いてきました。


 お客様にセラピーを通して喜んでいただけることで得られる満足感は、はじめてセラピストの世界に足を踏み入れた温泉施設の頃とまったく変わっていないそうです。


 思えば、アパレル店員時代は体の外側ばかりが評価される世界だったのかもしれません。


 しかし、今は秋月風香という1人のセラピストの内側から溢れる魅力が、男女関係なくリピーターを引き付け、彼女のサロンに独特の居心地の良さを与えているのだろうと思います。


 私がこれからどうしていきたいですか?と質問すると、秋月さんはしばらく考えてから、笑顔でこう答えてくれました。


「これから、と聞かれても浮かばないんですよ、全然。店舗を大きくしたいとも、従業員を雇いたいとも思わないんです。今まで全力でいろいろやってきて、言い過ぎかもしれませんが、今しか見えないというか。今は今なりに充実してるんだと思います。生活も大切にできるし、がっつり仕事をしたい時にはがむしゃらにできるし。エネルギー集中型なんだと思うんですよね。分散できないというか。とにかくワクワクするものを次から次へと考えていきながら、欲も出さずに、無理せずに続けていきたいですね!」(秋月さん談)


 インタビュー中、ずっと笑いながら答えてくれた秋月さん。


 彼女はこれからも「今」を全力で楽しんでいくのでしょう。


 その「今」がずっと積み重なっていき、もしかすると10年後には、現在とは全く違う「今」を生きているのかもしれません。


 それでも、きっと性別も年齢も社会的な立場も越えて、笑顔で繋がる人間関係に囲まれているんだろうな。そんなことを考えたインタビューでした。


校長からのメッセージ

 今回は、ハイブランドのアパレルショップの店長から、思いもよらずセラピストになり、充実した今を過ごしている秋月風香さんにインタビューしました。


 彼女のサロンの特徴としては、本文にも紹介したように、女性セラピストの個人サロンには珍しく、男性も受け入れていることにあります。


 男性がアロマセラピーを受けられるサロンは少ない印象がありますが、秋月さんのサロンの場合は、男性は服を着たままできるメニュー(タイ古式やフットマッサージ)を入り口にして、自然にアロマやタロットに興味が移っていく流れがあるようです。


 ちなみに、男性がサロンに来るきっかけとしては、パートナーからの紹介の他、秋月さんが異業種交流会等で出会った方がサロンに訪れることもあるといいます。


 ネットを介して繋がるお客様よりも、直接的なご縁で繋がった方のほうが圧倒的に多いそうです。


 男性客の特徴として、秋月さんは「誠実な方が多い」といいます。


 気に入ってくれると高確率でリピートしてくれる、いわば「浮気をしないお客様」が多いとのことでした。


 男性にとって社会的な立場を忘れて息抜きできる場所は貴重なこともありますが、アナログではあっても誠実な男性客と繋がれる集客活動をしているのではないかと思います。


 もちろん、女性のお客様とも良い関係性を築いていて、お客様と友達としてお出かけすることもあるのだそう。


 性別に関係なく、心を開ける関係性を築けるのは、やはり秋月さんならではの気さくさがあるかと思います。


 冗談を言って大らかに笑う彼女の見ていると、心理的な壁を取り払うような力があるのではないかと思うのです。


 もちろん、ただの友達になってしまうのではなく、お客様とセラピストという関係性になる一線を秋月さんが心得ていることも、関係構築にとても重要な要素でしょう。


 たとえお友達として出かけるような関係でも、サロンに来店した瞬間に「お客様とセラピスト」という関係性になるように、お客様にも気持ちを切り替えてもらうように自然に促しているといいます。


 親密なのに近すぎないという、この距離感を絶妙に保てるのは、アパレル店員歴15年の彼女ならではのテクニックであり、誰かに教わることができないものなのだろうと思います。


 この絶妙な距離感もまた、彼女のサロンに居心地の良さとして、お客様に感じられる要素の1つなのかもしれません。


 振り返ってみれば、秋月さんはアパレル時代にブランド服とメイクをして、プライドでガチガチになって、第一線で15年も戦い続けてきました。


 そんな彼女がセラピスト業界に入り、緊張から解放されたその瞬間に、生来の気持ちの良い性格が解き放たれ、アパレル歴15年の経験値と相俟って、彼女自身の内側から滲み出る魅力へと変わり、そして男女関係なく良い関係を築ける力になったのではないかと思うのです。


 秋月さんのスタイルを安易に真似するのは注意が必要かもしれませんが、彼女のようなセラピストライフに触れることも、若いセラピストにとってはよい刺激になるのではないかと思いました。


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