自宅でのサロンワークの他に、カフェでの施術、お客さまのお宅への出張セラピー、行政からの委託事業、法人先への出張施術、企業アドバイザー、製品開発など様々な分野で活動している中川めぐみさんを紹介します。
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一方的にアプローチしたのではなくご縁を一つ一つ
中川さんは、現在、企業の福利厚生の一環として従業員に施術したり、大学病院内や障害者通所施設に通う患者さんや通所者に施術を行っています。
月に2、3回ほどのペースで、それぞれの場で活動しているそうです。
この場合の契約相手は、会社や施設などの「法人」であり、そこに所属する人、あるいは利用者に出張施術を行うことになります。
これは一般にサロンで行われるようなセラピストとクライアントとの関係性とは違う形です。
中川さんは、いくつもの法人にセラピーを提供しています。どのように活動の幅を広げていったのでしょうか。
まず、このような形で活動を行うことになったきっかけについて聞いてみると、共通しているのは「ご縁」があったことです。
中川さんの場合、飛び込みの営業のように一方的にアプローチをして開拓したのではなく、日ごろからセラピストとして活動し、そのことを理解してくれる周囲の人が、別の人へとつなげてくれて得られる「ご縁」によって、法人や施設の担当者と出会う機会が得られたのだそうです。
その時、自分からアプローチしないまでも普段から「自分がセラピストとしてどのように活動しているのか。何ができて、何ができないのか」を整理し、暫定的でもポートフォリオ的にまとめておくことで、すぐに担当者に具体的にしっかりとお話しできたのだそうです。
すると各施設や法人の担当者がセラピーを取り入れることに可能性を見出してくれて、具体的なプランについてのお話になっていったということです。
場所ごとに対応も振る舞いも違うからこそ
中川さんによると、ひとくちに「法人への出張施術」といっても、場所ごとに対応も振る舞いもまったく違うのだそうです。
ある企業では社員向けの福利厚生の一環であり、ある医療施設ではリハビリテーションの一環であり、またある障害者通所施設では通ってくる通所者とのコミュニケーションの一環として依頼されています。
たとえば、セラピーメニューとしては、リフレクソロジーやハンドトリートメント、筋膜リリース、リンパドレナージュなどを提供しているそうですが、企業の福利厚生の一環で行う場合と、病院の患者向けに行う場合、障害者施設の利用者に行う場合では、実際にはまるで違うとのことです。
今後、法人向けに出張施術をしたいセラピストにアドバイスを求めたところ、「自分がどのようなセラピーができて、なにができないのかを、しっかりと整理しておくことが、まず第一歩ではないでしょうか」と話してくれました。
中川さんは、短くても3年、長いところで10年以上も、法人への出張施術を続けているそうです。長く続けてこられた要因について聞くと、中川さんはこう答えてくれました。
「まず、提供する施術やトリートメントについては、その現場ごとのニーズを的確に捉えた上での対応が何よりも大切です」
「それぞれの担当者が、どのような思いでセラピストを受け入れてくれているのかをよく組み取った上で、提供する方法などを修正をしていくことが必要でしょう」
現に、施術の提供を始めた数年前と今では、提供の仕方がまったく変わっているような法人もあるとのことです。
また、施術を受ける社員、患者、利用者の方々と適切なコミニケーションを心がけることも重要だとのことです。
体が緩みリラックスすることで、家族でなく、そのコミュニティー(会社や病院など)にも属さない、でも定期的に顔を合わせるセラピスト(中川さん)に普段は話さないであろうことをふと語られる時もあるそうです。
技術以外のその会話を「癒し」や「楽しみ」とされる皆さんのご様子が、経営者や担当者にも良い評価として伝わっているであろうことが伺います。
すでに技術を身に付けているセラピストにとっては、法人での施術という活動は、お話があればすぐにでも始められることかもしれません。
しかし、始めは勢いでできても、法人との契約を継続するは簡単なことではありません。
中川さんが続けられているのは、それぞれの場でコミニケーションをしっかりと取り、現場ごとに適切な振る舞いや対応を身に付けてきたということにあると言います。法人からいただける評価は、けっしてセラピースキルだけによるものではないとのことでした。
校長からのメッセージ
法人への出張施術で得られる収益の形は、当然ながら法人先によってまちまちです。
ある施設では、一人当たりの費用から20%をその法人先にお支払いするという方法とっているところもあれば、時間単位で契約をするケースもあり、交通費や諸費用のみといったボランティアに近いケースもあります。
その働き方をどう捉えるかを、セラピスト自身が明確にしておくことが、なにより求められることです。
また、法人と契約するために、担当者からのリクエストにただ応えようとしていると、いずれ苦しくなります。
セラピストとして、できることと、できないことを、最初の段階で伝えておくことが長く続けていく秘訣のようです。
企業や施設などがセラピーを求める場面は、今後も増えてくるでしょう。
セラピストとしても、潜在的にセラピーを求めている人がいる環境に出向くことができることは、とても有益なことです。
だからこそ、その場においてセラピストに求められていること(=ニーズ)は何かを、徹底的に把握した上で提供するサービスを用意することが求められてくると、私は考えています。
今後は、法人の従業員や施設利用者が持っているニーズを読み取り、セラピストから提案するような積極性が求められるのかもしれません。
中川さんは、今後も要望があれば、いつでも喜んで新しい場所で活動したいと言っていますし、企業や施設との契約であったとしても目の前にいるクライアント一人ひとりに寄り添っていきたいとも話してくださいました。
呼ばれて行った新しい場所で、自分にどんなことができるのかを考え、実行する。そして、それを楽しむことができるのなら、セラピストとしての活動の幅が大きく広がるのではないでしょうか。
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