東海地方にて15年にわたり、個人サロン、リフレクソロジーのスクールを行う他、一般の方を対象にした講師、アロマグッズ制作へのアドバイザーもしている松田旬古さんのセラピストライフをご紹介します。
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松田さんは、創業100年を誇る飛騨地方の家具メーカーに助言をするアドバイザーとしても活動しています。
精油に関することだけでなく、ディフューザー等の周辺機器についても、機能やデザインについて気がついたことを伝えたり、パンフレットなどの校正までしています。
正式に商品化してもらいたい一心から、、
松田さんはアロマセラピストとして和精油を当時から使用していたこともあり、出身地である飛騨地方の木や植物を素材にした精油に巡り合えないかと思っていたそうです。
そんな中、縁あって地元の家具メーカーが作ったサンプル段階の製品を手に入れることとなります。
もともとこの家具メーカーの製品を好んで使っていたこともあり、正式に商品化してもらいたい一心から、セラピストとして使用した感想や添付されていた説明文に至るまで、思うことをレポート用紙にびっしりと書いて送ったのだそうです。
すると、すぐにメーカーから連絡が来て、精油に関する商品開発のサポートアドバイザーとしてプロジェクトに参加することになったということです。
実際に始めてみると、「本当に日々勉強だった」と松田さんは言います。
商品化のためには、機能的やデザイン的に魅力的であると同時に、法に抵触しないかか、ユーザーの気分を害しないか、企業イメージを損なわないかなど、パッケージやパンフレットの文言の一つひとつに気を配らなければならないのです。
ときには自治体の薬務課とやりとりをして確認をしたこともあったそうです。
「アロマセラピーの知識はあっても、それを企業活動の中でどう活かしてもらうか。それは誰かに教えてもらえることではないので必死でした」(松田さん談)
ご縁とちょっとした勇気から
松田さんはこの活動ができた要因を「ご縁とちょっとした勇気」と表現しました。営業もアピールも苦手だということで、メーカーにレポートを出すことにも勇気が必要だったと言います。
さらに、企業のプロジェクトは自分1人ですべてできるものではありません。
予算やスケジュールの管理など、個人でセラピストとして1人で活動する中では経験できなかったことがいろいろとあり、それがとても勉強になったと話してくれました。
「家具と精油の組み合わせによって空間をコーディネートするような展開もあっていいと思います。メーカーから期待に応えつつ、アドバイザーとして、時代に合わせたご提案もしていきたいと考えています」(松田さん談)
セラピスト目線が役に立つ実感を、彼女はしっかりと感じているのでしょう。
校長からのメッセージ
企業がセラピストにアドバイスを求める場合、高い専門性だけでなく、その企業の目的に沿って考えられる柔軟性が求められます。
そして何よりも、その企業への理解がどれだけあるかも大切な条件でしょう。
その点で、「メーカーのファン且つセラピスト」である松田さんには条件が揃っていたといえます。
企業とのアドバイザー契約の多くは、都度1回の契約ではなく年間もしくは数年単位でのものがほとんどです。
アドバイザーには、企業の求めに応じて責任ある対応をとる力と、自ら提案できる力が同時に求められます。
日本には高い技術や開発力を持つ中小企業が数多くあります。
もとは大手メーカーの下請けだった中小企業が、別の分野に進出して成功した例や、異業種とタッグを組んで新規事業に取り組む例を最近はよく聞くようになりました。
しかし、技術はあってもアイディアがなかったり、アイディアはあるが洗練させられないことでブレークスルーできないでいる企業もたくさんあるでしょう。
松田さんのケースのような人材はメーカーにとっては得がたい存在です。
身の回りのものや自分が愛用しているものも、「セラピスト目線」で見れば「もっとこうすればいいのに」という点が見つかるのかもしれません。そうした新しい発想を企業はいつも求めているのです。
「ちょっとした勇気」を出せば、新しいセラピストライフが開けるのかもしれません。
@junmizukagami